20世紀を代表するエンターテイナー達、夢の来日コンサート☆ 本日の作品;vol.147 [デジタル化格闘記]

曇天の毎日が続いた今年の夏の始まり。
その日を遮る厚い雲の群れが去ったと思いきや、突如やって来た真夏の陽射し。
体も慣れぬ間もなく襲って来た猛暑の日々は、私のような老骨の持ち主にとって、かなりの厳しく辛いもの。

しかし、6月終わりから7月の間の長き曇天の日々から来る観測史上最長の記録的日照不足は、私のようなロートルには、1993年の夏、天候不順で低温が続きこれより冷害が発生、東北を中心に米の収穫が激減して日々食卓にのぼる米の入手が困難となった、平成の米騒動のことを思い出させることとなり、またそのような事態がまた来るのではと心配していたのところ、今度は一転しての好天とそこからそそぐ暑い日射し。
確かに体には堪えるものの、これで平成の米騒動ならぬ令和の米騒動は免れたと一安心。
やはり暑いとは言え夏の陽射しは生物の営みには欠かせないものと、今は積極的にその日差しを浴び(熱中症には注意して!)、自然に体を馴染ませ元気を養う日々を過ごしているところ。


とそんな毎日を過ごす中、これまで続けてご紹介して来た昭和の終わりから平成の初にかけてのライブ映像、これまで貴重な映像の数々の出会えたことから、以前より気付きながらも後回しにし来た”Super Concert”の見出しのついたビデオ・テープ。
「これ、何のライブ映像だったけ?Superと名があるならもしかすると掘り出し物かもしれない。」考え、そろそろ見てみなければと重い腰上をげテープをビデオ・デッキに差し込み見てみることにしたのです。
そしてそこに現れたのは、

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この写真の3人による来日ステージのライブ映像。

何とその3人とは!!


世界的シンガーであり俳優のFrank Sinatra、Sammy Davis JrとLiza Minnelliの 20世紀ブロードウェイを代表するエンターテイナー達!!!

「あれ!!これは凄い。超大物の3人が共演来にしていたなんて」といつ頃の来日公演かと見て行くと、平成になって早々の1989年2月のテロップが出てきたのです。

これまでの記事にも1989年のライブ映像がよく出て来ているので、私が意図してその年のものばかりを選んでUpしているように思われるかもしれませんが、私としては恣意的にそうしているわけではなく、たまたま見つけデジタル化作業をしようとした映像がどういう巡り会わせか1989年のものばかりなってしまっていつという状況。

もしや、平成の神様に見入られてしまったのかと思うも、そのこと視点を変えて考えてみれば、この1989年という年はバブル景気の真っ只中、そうしたことからスポンサーもつき易くなっていたマスコミ側もそうしたイベントへの取り組みに積極的になっていたことの証左と思われ、その順風を受け平成となってさも早い時期に収録されたのが、このビッグ・エンターテイナーのライブだったのでは思えるのです。


それはさておき、

それでは20世紀を代表するビッグ・エンターテイナー3人のステージ、四の五の語るよりはということで、豊かな表現力で彼らの世界に見る者を否応無しに引きずり込んでしまうそのエンターテイメント力、まずはご覧いただくことにいたしましょう。



一部の隙もない見事なステージ・ワーク
セット一つないステージであるはずなのに、セットの組まれたミュージカル映画のワン・シーンが見ているような気にさえなってしまいます。

歌だけでなく3人の優れた演技力の成せる技なのか。
さすが、50年代60年代を席巻した、ブロードウェイの大エンタ―テイナー達だからこそのステージ、私も知らなかった曲ばかりの演目でしたが、すっかりその魅力に惹きこまれてしまいました。


さて、そうしたビッグ・エンターテイナー3人、といっても30年前以上前に活躍したアーティスト。若い方々の中には、エンターテイナー言えばMichael Jacksonなら知っているけどこんな人達は知らないという方も多いかと思いますので、ここで簡単にその彼らのプロフィールに触れておきたいと思います。

まずは、軽やかな動きとハリのある歌声を聴かせてくれていた小柄ではあるけれどその存在感をステージ一杯に見せていた黒人男性歌手のSammy Davis Jr。

1954年にレコード・デビューしたSammy Davis Jr、その類まれな才能によりその作品は大ヒットとなり、その後はミュージカル、そしてこの時期、既に米国の音楽界の重鎮的存在となっていたFrank Sinatraの評価を得、シナトラ・ファミリーの一員として映画界に進出、そのどこか剽軽さを感じさせるキャラクターのあいまって、スターダムの地位を築き上げたアーティストなのです。
特にその彼の芸域の広さは歌や演劇だけ留まらず、絶妙なリズム感から生み出されるタップダンスや時には
SinatraやMichael Jacksonの物真似までするほど、実に多彩なエンターテイメントで大いなる人気を博していたのです。
そしてその人気は日本でも、1973年に放映されたサントリーホワイトのテレビCM出演での絶軽妙な演技で、当時、お茶の間深くまで浸透していたことが思い出されます。



そして、紅一点のLiza Minnelli。
彼女は、1939年に上映されたミュージカルの名作”オズの魔法使”で主演のドロシー役を務めた 女優Judy Garlandの娘で、1963年にブロードウェイでのデビュー、1973年、映画『キャバレー』で主演を務め、アカデミー賞主演女優賞とゴールデングローブ賞主演女優賞をダブル受賞、その歌唱力と演技力が高い評価を受けているアーティスト。
この1989年の来日でも、ただ歌うだけでなく、さりげない演技を付加した立ち回りでその歌の背後にある情景や空気を漂わせていたステージは、さすが母と子の絆は争えないものと深く印象に残りました。



と、ここまで来れば、もう何にも語ることはいらないと思うのですが、最後に控える超大物アーティストの、Frank Sinatra。

1930年代に登場以後 生涯を通じアメリカの音楽界を象徴するシンガーとして、その頂点に君臨し続けた偉大なるエンターテイナー、若い方々でも音楽ファンであるならば、どこかでその名を聞いた記憶があるのではないかと思います。


と、拙いプロフィール紹介でしたが、何とか全員を語り終えたところで、次に進むはそうした彼らが織り成すステージ・サウンドの万華鏡世界。
この辺で、それぞれの豊かな個性溢れる世界、そのステージをご覧に入れることにしたいと思います。

この顔ぶれからして、まずは今も多くのファンに馴染まれているSinatraの世界から、と行きたいところですけど、やはり大御所から始めるのはいかがなものというところで、それはトリの楽しみに残し、当時のステージへの登場順に従って、まずはSammy Davis Jrのステージからご紹介して行くことにいたます。

それでは、剽軽な物真似からシリアスな歌の世界、そしてダンス、そうした彼の多彩な才能を秘めたステージ映像、とくとご覧ください。












1982年にMichael Jacksonが、名作”Thriller”を引っさげ華麗なる新時代のダンスを披露し登場した時、ふっと思い出したがSammy Davis Jrのこと。
当時、私としては、確かにMichaelのスタイルには新しく新鮮なものを感じたものの、どこかこのSammy Davis Jrの影響の痕跡が見え隠れしていると、そうした何かを浮かべ感じていたのです。
そして、この映像を見た後、Michael の”Thriller”を聴いてみたのですが、やはりその歌の奥にはSammyの影が宿っていると、そのことに確信を得、そこから、Michaelの物真似と言ってここで歌い踊っていたSammyのこの映像、彼自身物真似と言いながら、逆に自分自身の中に Michaelの影響を宿し感じつつそれを自身の芸として身に着け演じていたのではと思ってしまったのです。

それはともかく、そのSammy Davis Jr、彼の芸域の広さはこれに留まらず、その凄さが発揮されるのがタップ・ダンス。
ということで、今度はその彼のタップ・ダンスの妙技、ここで見てみることにいたしましょう。



絶妙なリズム感から生まれる彼のタップの魅力。
実は、私が幼かった頃のかすかな記憶ですが、その昔タップ・ダンスが流行した時期があり、よく母や叔母がそれを好んでTVで見ていた時があったのですけど、それを見た私も幼な心にカッコいいと思い、見よう見真似でそれを演じ遊んでいたことがあったのです。
ところが、そんなある日のこと、確かTVでだったと思うのですけど彼のタップ・ダンス見たことがあって、幼心にその鮮やかなタップ捌きにいたく驚かされてしまったのです。
以来、Sammy Davis Jrという名前が私の脳裏深くに刻まれることとなり、それと共にその魅力が忘れられなくなってこれまでその妙技、また見てみたい思い続けていたのです。

その長年念願であった彼のタップ・ダンス・プレイ、ここで見れただけで私としてはもうここで何も言うことはない、この映像を見ての率直な心境なのですが、いかがだったでしょうか。


そして、Liza Minnelli。
彼女の場合は、何と言ってもお母さんが大ミュージカル・スターのJudy Garlandということもあって、気になるのが歌は当然のこと、そこに、ただ歌だけではなくどんな演劇的要素を加味し、舞台の魅力の幅をさらに大きなものにしているのかということ。

そこで、見ていただくのは、彼女が映画『キャバレー』で主演を務め、1973年のアカデミー賞主演女優賞とゴールデングローブ賞主演女優賞をダブル受賞した映画『キャバレー』から、その主題曲”Cabaret”をご覧いただくことにいたしましょう。



物凄くパワフルなステージ。
中央舞台にただ一人、歌と身一つ全力で、これだけの迫力と臨場感を生み出している。
それでいて、観客の反応にもかなりの気遣いを払いながらそのステージを盛り上げて行くその姿勢、まさにエンタテイナーの名にふさわしいステージだと思いました。

こうやって見聴く限り彼女、お母さんのJudy Garlandを遥かに越えた存在だ、そういっても過言ではないと感じました。


さて、続けて二人のエンターテイナーのステージを見てまいりましたが、いよいよ最後のアーティスト。
Frank Sinatraといえば、やはりこの曲。
Sinatraを知らないという方でも、この曲を聴けば歌い手の名は知らねど嗚呼と思われるのではないかと思います。
それでは、その今も多くの人に愛され歌われ続けているその曲、さっそく聴いてみることにいたしましょう。



この時、Sinatraの年齢は73歳。
既に往時の声量は失われてしまっていますが、人生の最終章を歩むその人自身から湧き出るその歌声は、その欠点を覆いつくして越え魂の叫びとなって、聴く者の深く胸に突き刺さるものがあると感じました。

このコンサートから、今や30年が過ぎ、Liza Minnelliは今だ健在であるも、Sammy Davis Jrはこのコンサートの翌年の90年5月に64歳で、そしてFrank Sinatraは98年5月に82歳で他界してしまったことを考えると、この映像は、アメリカの偉大なるエンタテイナー3人がそろってステージに立った様子を捉えた、ほぼ最後とも言える、貴重なものではと思うのです。

それにしても、この映像を見ながら私も、この翌年亡くなってしまったSammy Davis Jrのそうした未来を感じさせない溌剌としたステージをはじめ、それぞれの持ち味を発揮したMinnelli、Sinatraのステージは、さすが世界にその名を轟かせた20世紀のエンタテイナーと感じさせるものであり、20世紀に誕生したアメリカ発祥のジャズやロックなどに至る音楽の歴史そのものだという印象を深く感じ知ることになりました。

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お盆の帰省ラッシュの真只中の台風到来。
せっかくのお盆の楽しい思い出が、だいなしですね。

今年は、日本近海の水温が高いということで、まだまだ台風が発生しそう。
難に合わぬよう、くれぐれも情報には注意を払い対応していかなければならないと思います。

準備・心の構えをしっかりとして、お過ごしください。



さて、次回も1989年ライブ映像から。

11月に開催された、これまた渋いアーティストのステージ。
またのお越しをお待ちしております。







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yuzman1953

ゴージャスなライブですね。学生の頃、「キャバレー」を見ました。ストーリーは忘れましたが映画の中の台詞、”So
did I"は今も印象に残っています。
by yuzman1953 (2019-08-21 11:43) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

yuzman1953さん

ゴージャスなライブ、この顔合わせの凄さ、yuzmanさんならお分かりなり、また思い出もあろうかと思っていました。

私は、80年代までは、絶対的なカリスマ性を持った彼等みたいなアーティストが他の音楽ジャンルにもいて、ある意味時代を牽引したり歴史的な背景など体現してくれていたなあと思い出しつつ、情報が拡散しあっという間に伝播して行く現在では、こういったカリスマ性を持った人というのは育ちにくいのか思い当たらず、僅か30年ほどの前のことなのにその世相の変化の大きさに何か寂しさを感じながら、このライブを見ていました。


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2019-08-22 16:30) 

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