天女が奏でる暖かな安らぎの調べ:宮本笑里・Birth [音源発掘]

前回は、超久々に、元は私本来であるはずのへヴィー・メタルの作品を取り上げ、語らさせていただきましたが、読んだ方の中には、いい年をして~~何~っ HMだって~~!!!。
「年寄の冷や水も、いい加減にしろ!!!!」 と、思われた方も多々いらっしゃるのではと思うのですが、私としても反論をしたいところなれど、やはり恨むべきは、その年齢。

若い時のようにHMこそでなければというエネルギーは悔しいながらも今はなく、今だ体にフィットし好きなサウンドなれど、激しさ満載のHM、こればかりを立て続けに聴いていると、頭が痛くなって知らず知らずもうちに逃げ出したくなる、拒絶の反応が出てしまうこともしばし。

そんな訳で今では、好きなHMを聴く時には、時折、合間合間に昂ぶり余った心を休めるために、ライト・クラッシック系のサウンドも聴きくようになってしまったのですが、こちらの方にも耳を傾けてみるとまた、HMにはない、また違った音楽の楽しみ方も発見でき、なかなか面白いもの。

そうした日常の中で、今回は、こうした出会い中で心に残ったライト・クラッシック作品から1作を選び、引き続きお話を進めて行くことにしようと思います。


そこで選んだのは、ヴァイオリニスト宮本笑理の2015年発表の作品。    
 ”Birth”。

宮本笑里 birth.jpg


本作は、前作”renaissance”以降、結婚、出産を経た笑里が、その後3年半ぶりに制作した作品なのですが、私は、そうした彼女のおかれた大きな生活環境変化を知らずに、初めてこの作品聴いてみて、即その大きな変化を感じさせらたのが、それまでの彼女の作品では聴けなかったヴァイオリンの音の肌ざわり。

特に、その傾向は、クラシックの曲やラテンの曲に顕著で、中でもこの作品でも演奏されている”リベル・タンゴ”の弦の響きは、これまでの彼女には聴かれなかった聴く者に前のめりを強いるほどの強靭さがあり、聴く者を強力なインパクトの渦に引き込みやまないものだったのです。

そして、そうして知り得たその響きには、これまで以上に研ぎ澄まされた鋭さが加わり、かつその音全体に厚みと奥深さが増していたそうしたサウンドの変化があることに気付かされ、さらに耳を澄まして収められた楽曲一つ一つを聴いてみると、その印象が作品全体に奥深く張り巡っていることを知るに至ったのです。


そうした、私の感じたこの作品の印象、それでは、私を惹きつけた演奏の一つから、まずはこの作品の表題曲”Birth"を、この作品のデモ映像で、ご覧ただき感じていただくことにいたしましょう。



豊かな余韻が名残りが空間に浸み響くヴァイオリンの音、この僅かなデモ映像からも、一つの命の母となって一段と暖かさと心の深みが増した、彼女の成長の跡が感じられるのではと思います。

さて、その宮本笑里、私が彼女を知ったのは、2007年、彼女の父であり世界的なオーボエ奏者だった宮本文昭が、オーボエ奏者として活動終えるにあたって開かれたファイナル・コンサートを見てのこと。

そのコンサートで、父 文昭氏の共演相手として招かれ登場したのが彼女だったのです。

娘との初共演を照れくさそうな口調で語り、紹介をする宮本文昭。
そして、登場したのは、まるで清楚で天女のような美しさ漂う一人の若き乙女。

普段の私なら、彼女の父があの宮本文昭であることを知らなかったならば、どうせルックス優先の可愛い娘ちゃんアーティスト、なにを聴かせてくれるのかお手並み拝見となってしまったはずなのですが、その父の彼女紹介の一言に「やっと一緒に演奏できるようになった。」という文昭氏の言葉があったことから、その父より人前で軽々しく演奏することを禁じられ、厳しい指導を受けて育てられた様子が感じられ、またこの演奏に挑む彼女の厳しい表情から、私としては、これは本物・いけると感じた聴いた結果、その思い通りのだったことに 以来」のシーンがずっと私の記憶に残ってしまったのでした。

それでは私にとって忘れられないライブ、ステージの一コマとなってしまった、父と初共演であると共に彼女のプロデビューとなったその演奏、そのビデオがありましたので、ここでご覧いただくことにいたしましょう。
曲は、オーボエ奏者 宮本文昭の代表曲で、NHK朝の連続テレビ小説『あすか』のテーマ曲、”風笛(かざぶえ)”です。








初めてこの演奏を聴いた後、私は、この娘はその美貌も相まって、将来音楽のうえでもお父さんの後を立派に継ぎ多くの人に愛されるヴァイオリニストなると直感し、彼女のデビュー作品が発表されるの待ち遠しく思うことになったのですが、いかがに感じられたでしょうか。

思うに、しっとりとした思いを胸い抱かれたんではというところで、今度は、この作品から、そのハイライトともいえる、平原綾香との共演による演奏に話を進めたいと思います。

その曲は、父 宮本文昭の代表曲である、”風笛(かざぶえ)”、インストメンタルによる原曲に、平原綾香自身が詩をつけ歌ったもののですが、それを聴く前に、彼女が、この作品の制作にあたっての子を授かってからの自分自身の変化と、平原綾香との共演の思いを語ったビデオ見つけましたので、その演奏をお聴きいただく前に、まずは、そちらの映像からご覧いただくことにいたしましょう。



彼女の、この作品制作におけるその心境、おわかりいただけたでしょうか。

ところでこの私、このビデオの中で彼女が、自分自身の音の変化について語っている場面がありましたけど、私もこれを見て、冒頭に私が、「彼女のヴァイオリンの響きに、さらに研ぎ澄まされた鋭さが加わりサウンド全体に厚みと奥深さが増していることに気づかされた。」と書いた通り、聴き手としてそれを感じれたこと、自分の耳もまんざらではないと、なんだかとても嬉しい気持ちになった次第。

と、自画自賛の如き余談はそれぐらいにして、平原綾香との演奏、今度はじっくりご覧いただきたいと思います。



親子二代によって引き継がれ演奏され来たこの、”風笛(かざぶえ”。
その時代と、それぞれの思いよって、いくつものヴァリエーションが生まれ、そのそれぞれが違った色合いを心を和ましてくれる、名曲というにふさわしいものだと思います。

さて、デビュー当時から彼女、父であり世界的なオーボエ奏者だった宮本文昭の厳しい指導を受けて育ったこともあって、そのテクニックはかなりものがあり、魅力的なアーティストだと思ていたものの、この私、今回その彼女のこの作品を聴いたことで、一人の人間の人生の転機が、そのサウンドがいきなり変わることがあること、頭の中では理解しているつもりっだったものの、聴いたとたんにズンとその衝撃が感じ、身をもってその真実を知らしめられました。

そして、それを感じさせてくれた宮本笑里、初めて聴いた時にその将来を期待した以上のアーティストだった。
そして今回は、さらに彼女から言葉ではなく、サウンドの中からその発信者の心を感じ取る、それがまた音楽の楽しみであることを教えられたように思います。

その宮本笑里、これからどんな道へと進むのか、再び期待を込めてそのこと、見極め続けてみたくなりました。

収録曲
1. birth
2. タイム・トゥ・セイ・グッバイ
3. 風笛〜Love Letter〜 featuring 平原綾香
4. めぐり逢い
5. レチタティーヴォとスケルツォ・カプリース 作品6
6. リベルタンゴ
7. SOLA[remix]
8. パッサカリア
9. ニュー・シネマ・パラダイス 愛のテーマ
10. ひばり
11. 星に願いを



nice!(11)  コメント(2) 
共通テーマ:PLAYLOG

nice! 11

コメント 2

yuzman1953

こんにちは。やっと当ブログをゆっくり鑑賞できました。
宮本笑里さんのことを私は全く知りませんでしたが、名を成す女性バイオリニストは美人が多いですね。私のバイオリン曲の唯一のコレクションはアンネ=ゾフィー・ムターですが、偶に聞くと癒されます。
by yuzman1953 (2020-02-17 14:10) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

yuzman1953さん

女性バイオリニストは美人が多い、確かそうですね。
でもね、これビジュアル化時代の前は必ずしもそうでないし、この当り、やはり売らんかな姿勢のレコード会社の陰謀のように感じています。

そう言いながら、ここで私が彼女を取り上げたは、彼女のお父さんのファイナル・コンサートで初めてそのヴァイオリンを聴いて、この娘いい音出してるなと感じ、その美貌も相まり、これはレコード会社がほっとくわけはないと直感したのがその始まり。
その後、発表された彼女のCDをやっぱりだったよねと思いながら聴いていたのですけど、この作品、それは彼女の意図したものではないにせよ、当初見えか隠れしていたアイドル的存在の空気、それが希薄となっていて、音楽家としてのさらへの成長の跡が著しく感じられたことが、デビュー時から彼女を聴いて来た私としては大変嬉しく筆をとってしまったのがこの結果。

まあ、そうした、爺の世迷言、そこからまた楽しんでいただけたこと、本当にありがたく思っています。


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2020-02-20 20:41) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント