プログレシッブ・メタルのパイオニア、老いてなお盛んなロック魂・Kansas;The Prelude Implicit 暗黙の序曲 [音源発掘]

コロナの鎮静により、日々日常を取り戻しつつある今日。
まだまだ、第2波に備えて油断は禁物なれど、そう言う私はというと、解禁宣言以来次から次へと湧き上がる来る仕事にあちらこちらへと飛び回るはめとなり、挙句果てには、その時はまだ県をまたいでの不用の外出は自粛の時期でもあったにも関わらず、軽井沢にまで出向かねばならなくなってしまう始末。

とはあれ、少々唐突な日常の変化ではあったけれども、以前のような日常の空気を浴びることが出来るようになったことは、私にとっても喜ばしいこと。
その喜びに浮かれ過ぎぬよう、せいぜいコロナに侵されぬよう注意を払いながら過ごすようにしている
しているところ。

しかし、いきなり来たハードな日々に長らくの在宅勤務でがついていかない!!

そこで、その鈍った体に活を与えるためここのところ聴いているのがロックの作品。

と言う訳で、今回の選んだ作品は前回に引き続き、昨今聴いているロックの作品の中から特に印象に残った70年代半ばにアメリカで産声をあげ名声を残したバンドの、前作以来16年ぶりとなるスタジオ作品であるこの作品を選び語ることにいたしました。



Kansas;The Prelude Implicit 暗黙の序曲.jpg



Kansasの2016年発表の作品 ”The Prelude Implicit(邦題; 暗黙の序曲)”です。






70年代半ば、英国のプログレシッブ・ロックの隆盛を見て、アメリカン・ハードにプログレシッブのエセンスを加味したプログレシッブ・ハードというスタイル確立したKansas、その全盛期にはSteve WalshとKerry Livgrenを中心に英国のプログレシッブとは一線を画した独自のスタイルで、1976年の”Leftoverture (邦題:永遠の序曲 )や1977年" Point Of Know Return (邦題;暗黒への曳航 )など、ロックの歴史に名を残す名盤を生み出し、今やプログレシッブ・メタルの原点とも言われているている彼らなのですが、ここで取り上げた2000年発表の”Somewhere To Elsewhere”以来16年ぶりのスタジオ作品となる本作は、全盛期を支えその中心となったSteve WalshとKerry Livgren、二人の参加なしで制作されたもの。

とはいうものの、私自身、この作品が発表されたことはその直後に知っていたのですが、中心人物二人が欠けたKansasいうことで、この作品の出来に一抹の不安を感じ長らく積極的に聴いてみる気にはなれないでいたのです。


ところが、今回のコロナ騒動で訪れた在宅勤務の日々、時間的にも余裕が生まれたことから、昔親しみよく聴いていたKansas、Steve WalshとKerry Livgren二人の参加なしとは言え聴かず嫌いののままにはすべきではないと、聴き始めると流れ響いてきたのは、アメリカ・ロックらしい明るいドライブ感と英国のプログレシッブ・ロックの荘厳さを兼ね備えた、70年代半ばの彼らの全盛を彷彿とさせるサウンド。
さらにそこには、往年の懐かしさだけではなく、現代的かつ新鮮な響きも入り混じったサウンドが耳に届いてきたのです。

これはなかなかイケる!!!。
聴かずじまいで終わらせないで良かったと思いつつ、私はそのまま彼らの世界に深くのめり込んでしまうことになってしまったのです。

そして聴き終えると、今度はこの往年のサウンドを蘇らせたのは誰なのかと思いが巡り、あらためてこの作品の演奏メンバーを調べてみると、そこで見たのはKansas73年結成時のメンバーであるギターのRichard WilliamsとドラムのPhil Ehartの名前。
なるほど、この二人いるならば往年のKansas魂が聴けるのもある意味当然かもしれないと納得!!Steve とKerry不在でもこれだけのサウンド生み出している、往時のメンバーの中に今も脈々と流れ受け継がれるKansas魂を感じることになったのです。

さて、前置きが長くなりましたが、ここでこの作品から1曲聴いてみることにいたしましょう。
曲は、この作品の冒頭を飾る”With This Heart”で、まずはそのKansas魂をご堪能下さい。



さて、Kansasというと、そのサウンドの魅力は、全盛時当時ロックとしては珍しいヴァイオリンをフューチャーした楽曲で、ハードではあるも心に潤い抱かせるそのサウンドがまた一つの大きな魅力。
そのヴァイオリンがソロを奏でる1976年の発表の”Dust In The Wind(邦題;すべては風の中に)”は、その彼ら代表曲として今も多くの人に愛される名曲となっているわけですが、この作品ではそのヴァイオリンがこれまでの作品以上に多く登場し、それぞれの楽曲の中で重要な役割を果たしているのが、また一つの聴きどころ。

というところで、その聴きどころ、今度はそのヴァイオリンが定番のギターに代わり、ロック魂一杯に歌いまくっている、その曲を聴いてみることにいたしましょう。



曲は”The Voyage Of Eight Eighteen”でした。

今回、共に聴いていただいたKansasの”The Prelude Implicit”、こうやって聴いてみると彼らこそ今やあのDream Thiatorに代表されるプログレシッブ・メタルの草創期を飾る存在であることを確信し、今や全世界を席巻したプログレ・メタルのバンドのそれぞれに、その生誕の国のお国のエッセンスを感じさせるものがあることと同様、このKansasの最新作でも、そのお御国柄ともいえるアメリカンの香りを30年前の全盛期と同様に強く放ち続けていることに、鬱屈したこのご時勢、懐かしさと共になにやら痛快な気分を感じることなりました。


さてさて、コロナに翻弄され続けている2020年も、早その半分が終わるところで、私の軽井沢行きの仕事も9月末に決定。
先日訪れた時は、人の流れも絶え絶えで閑散としていたこの町も、次に訪れるその時までには、コロナ嵐も鎮静化、以前の活気を取り戻していてくれたらなと願うばかりです。


Track listing​
1. With This Heart ( Zak Rizvi, Ronnie Platt, Phil Ehart, Rich Williams, David Ragsdale )
2. Visibility Zero ( Rizvi, Platt, Ehart )
3. The Unsung Heroes ( Geoff Byrd, Platt, Ehart, David Manion, Ragsdale, Rizvi, Williams )
4. Rhythm in the Spirit ( Rizvi, Platt )
5. Refugee ( Mike Slamer, Billy Greer, Ehart, Manion, Platt, Ragsdale, Williams )
6. The Voyage of Eight Eighteen ( Rizvi, Platt, Ehart)
7. Camouflage ( Rizvi, Greer, Ehart, Platt)
8. Summer ( Rizvi, Greer, Ehart, Williams, Manion, Ragsdale )
9. Crowded Isolation ( Rizvi, Platt, Ehart, Greer, Manion, Ragsdale, Williams)
10. "Section 60" (instrumental) Rizvi, Ehart 4:01
Bonus tracks (Deluxe edition)
11. Home on the Range ( John H. Lomax Daniel Kelley )
12. Oh Shenandoah -instrumental‐ (traditional )

Personnel​
Ronnie Platt – lead vocals, piano on "The Voyage of Eight Eighteen"
Rich Williams – electric and acoustic guitars, producer
Zak Rizvi – electric guitar, vocals, producer, mixing
David Manion – piano, keyboards, organ and sound design
David Ragsdale – violin, vocals
Billy Greer – bass, vocals, lead vocals on "Summer"
Phil Ehart – drums, percussion, producer

Recorded
January–February 2016  Real 2 Reel Studios, Jonesboro, Georgia


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