長雨の鬱陶しさを吹き飛ばすポスト・バップ・サウンド;Red Records All Stars- Together Again For The First Time [音源発掘]

7月に入って梅雨末期の長雨続きとかと思いきや、コロナに悩ませられる人々の苦悩をあざ笑うかのように突然襲て来た超記録的大豪雨。
私の住む千葉県では雨よりも連日強い風が吹き荒れる程度で収まっているものの、九州・西日本を中心に岐阜県等で長時間に渡り激しい大量の雨が降り続き、人々の平穏な日常を破壊、多くの犠牲者が出ているとの報。

おかげで、いつもなら目玉となるはずの都知事選のニュースも、ただでさえ小池さんの圧倒的な強さがささやかれ感心薄であったところに、この大雨による災害のニュースとコロナの再感染拡大のニュースの裏に隠れてしまってその影も薄くなってしまった様子。

かくいう私も、南九州は若き日、仕事の都合で赴任、営業の一線で日々あちらこちらを駆け巡り多くの人にお世話になった思い出の地。
ニュースを等で見る、かって訪れたことのある土地の変わり果てた姿に心を痛めつつ、これから訪れるだろう酷暑の中での復興作業と不自由な暮らしのなかでの人々の無事をただ祈るばかり。


そうした、コロナの再拡大に合わせ、憂鬱な気分を誘うニュースばかりが耳の残る今日この頃、その不快な空気が鬱陶しく梅雨空同様になかなか心が晴れることはない日が続いていたのですが、そうもしてばかりはいられない、その鬱屈した心に元気を注入しようと、ここところ久々に私が聴き始めたのが50年代から60年代にかけてのバップ期のジャズ作品。
聴いてみると、洗練された現代のジャズ・サウンドには希薄となっている、粗削りだがプレーヤー同士の魂が激しくぶつかり合う、その熱い空気を感じるサウンドがなんとも心地良い。

と言う訳で、取り上げる作品は”そこで聴いたバップ期の作品”と、いつもならそうなるところなのですけど、今回は久しぶり聴いたバップの空気の良さに勢いあまって、いつの間にやら昨今のポスト・バップに嵌ってしまい、いろいろ聴いてみたところ見つけたこのポスト・バップ作品。

Bopbby Watson Together Again For The First Time.jpg


1996年制作のRed Records All Starsによる” Together Again For The First Time”。
今回は、この作品を取り上げ語ってみることにいたします。

さてこの作品の演奏者であるRed Records All Starsとは、1976年に設立されたイタリアのBlue Notet言われている名門のジャズ専門レーベルであるRed Records に所属するアメリカ出身アーティストを中心に結成されたグループで、本作はその彼らによる演奏作品。

この作品、ポスト・バップの名盤の一つに数えらているものなのだそうですが、実はこの私、イタリアのこのレーベルについては名こそ知れ不勉強でどんな作品があるのかを全く知らず、この盤に目を付けたのも、演奏メンバーに私のお気に入りアーティストであるアルトサックスのBobby WatsonとピアノのKenny Barron の名を見つけ、イタリアの名門レーベルならこの二人を中心に薫り高い伝統的ジャズに出会えるのではないかと思ってのこと。

果たしてその結末は...............
まずは、その演奏、聴いていただくことにいたしましょう!!!!










曲は”Out House”でした。
1970年代終わりArt Blakey率いるThe Jazz Messengersでメジャー・デビュー、このバンドでBenny Golson、Wayne Shoter等、歴代の強者の名が刻まれる音楽監督に就任その責務を果たしたというBobby Watson、この時期、自己のグループHorizonで共に活動していたドラムのVictor Lewisとの息もピッタリのそうしたキャリアを語るまでもない痛快なプレイで心の中のモヤモヤを吹き飛ばしてくれてます。
そして、ピアノのKenny Barron。テナー・サックスの巨匠Stan Getzの最晩年、その専属ピア二ストとして多くの名演を残した彼も、その好プレイさながらの期待にたがわないタッチで、サウンド全体を引き締めている。
一つ一つの音は新しいものの、50年代バップを彷彿とさせる、ポスト・バップと呼ぶにふさわしい演奏だと思います。

さ、私にとってこの作品の大きな拾い物であったのは、白人テナーサックス奏者のJerry Bergonzi 。
RoliinsやColtrane等の黒人テナーサックス奏者とは違う、クールで歯切れの良いプレーに耳がそばだてられます。

しかし、はたまた不勉強で申し訳ないのですが、私自身この人の名に覚えがなく。どんな経歴の持ち主かと調べてみると、80年代の初めに 60年代の初め変拍子ジャズで人気を博したDave Brubeck のグループに在籍、ここで9つの作品を残しているアーティストとのこと。
私としては、この時期のBrubeckの演奏は、聴くも全く馴染めず深追いしなかったことから知らないのも当然だと思ったのですが、今、その演奏を思い越してもこんないいテナーの音があったとの記憶がなく、Watson、Barronとの共演で、彼自身今まで以上の本領発揮に至った姿この演奏なのかも考えてしまった次第。
なんとはなしにGetzやZoot Simesの面影を感じさせるそのプレーに、彼とアルトサックスのWatsonとの共演に、かってのGetz、Sonny Stittの演奏が重なり合い聴こえてくるような心持になってしまいまったのです。

ちょっとした気まぐれから出会った今回取り上げたこの作品、Francesco Cafisoなどの今も注目すべきアーティストを世に送り出し、香り高いジャズを奏でいるイタリア・ジャズ界。
今回は、もう少しRed Recordsをはじめその周辺を探っていかなければと思いました。

さて、いろいろ収穫があったこの作品から、最後にもう1曲。曲は新しきバップの息使いを強く感じさせる、”New York Attitude”です。

Track listing
1. Out House
2. De Voyeur a Voyeur
3. Look at You
4. Neptunian Verses
5. That's All Folks!!!
6. New York Attitude
7. Out of the Frying Pan
8. Free Movement
9. Those Who Get from Having Not

Personnel
Bobby Watson (as/ss)
Jerry Bergonzi (ts)
Kenny Barron (p)
David Finck (b on 1-4,6,9)
Curtis Lundy (b on 5,7,8)
Victor Lewis (ds)

Recorded
Systems Two, Brooklyn, NY, June 24, 1996


それにしても今回の超大豪雨、聞くところによるとインド洋、南シナ海の海水温度が上昇、そこから発生した2018年の西日本大豪雨を大きく上回る大量の水蒸気が日本列島に流れ込み発生したものとのこと。
なんと!!、その量は毎秒50~60万tに達するものであったのだとか。
これも温暖化の影響なのだということなのですが、海水温が高いということは日本周辺も同様、となると、梅雨のが終わっても今度は巨大台風の発生襲来が懸念される様相にあるということ。
コロナと大災害への心配はまだまだ続きそうな今、警戒を怠ることなく過ごさねばと考えてしまいます。
皆様方に置かれましても気を抜くことあらじ、くれぐれにもご用心を!!


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