タッピング奏法の名手逝く;Van Halen・Balance [音源発掘]

前回は、ギタリストSteve Lukatherの作品ことを取り上げ記事をUpいたしましたが、それから間もなく飛び込んできたのが10/7の Lukatherの在席したTOTOとはほぼ同時代に登場し一世を風靡した Van Halenのギタリスト兼リーダーとして名を馳せたEdward Van Halenの訃報ニュース。

しかもその報じられ方、普通ロック・アーティストの訃報のニュースというと新聞の片隅やネット・ニュースで知ることが多いように思っているのですが、Edy の場合は、異例とも思える定時のTVのニュースで何回も報じられるほどの大々的な扱い。
昨今、70年代ロックにおいてキーボードをメインに据えたバンド編成でそのあり方に大きな変革をもたらしたKeith Emerson他界のおりでも、そのよう扱いはなかったとの記憶から、Edward Van Halenというアーティスト、確かにバンドにグラミー賞受賞続いて2007年、ロックの殿堂入りをもたらした人として偉大なるロック・アーティストであることは認めるものの、Keith Emersonを越えるその扱いに私としてはちょっと戸惑いを感じてしまったのも事実。

しかし、彼のギター・プレーの最大の見せ場であるタッピング奏法が、日本においてのみライトハンド奏法と呼ばれ評判を呼んだことを考えると、そうした報道となったことは、日本においては彼に対する根強い人気が培われていて、またそれが大きな影響を与えていたということを意味するものだったと思え、私としてもそれも当然のことかもしれないととりあえず納得しているところ。

そうしたことで今回は、Edward Van Halenを偲びその作品に触れてみようと思うのですが、実は私にとってこのVan Halen、元々はロック・ファンであった私が70年代後半以降は、ジャズにのめり込んでしまい、以来20年余りロックと疎遠になってしまっていたところ、再びロックを聴くきっかけを作ってくれたのアーティスト。
その始まりは、たまたまTVで、彼らの大ヒット曲”Jump"のデモンストレーショ・ビデオを見、そこで聴いたストレートかつ馴染みやすいサウンドがえらく体にフィットしてしまったというのがそのきっかけ。
そうして、Van Halenが体にフィットしてしまった私が、とある日、中古CDショップを歩いていた時にそのジャケットが目に入りこれは良さげと気になって手に取ってみたところ出会い初GetしてしまったVan Halen”の作品が、彼らの10作目となる1995年の作品”Balance”だったのです。

van halen balance.jpg


ということで今回は、私のロック回帰を原点となった思い出の作品である、この”Balance”を聴きながら、Edyを偲ぶことしたいと思います。


さて、Van Halenといえば、やはりその魅力は無駄のないストレートさと乗りの良さを兼ね備えたそのサウンド。
至ってシンプルなバンド編成ながら、Edyのオーケストラを思わせる多彩なカラーを醸し出すギターとそれを支えるベースとドラムが生み出すサウンドにヴォーカルが絡み、カラフルかつ、いかにもアメリカンというべきドライブ感を生み出している。
テクノロジーが発達した現代においては、綿密なアレンジを施した重厚なサウンドがロックの主流になっているようにも感じるのですが、小さなユニットでサウンドに最大限の色彩感をもたらす彼らの手法は、今は古典ともいえるJimi Hendrixの世界と相通ずるものがあるように思え、また、そこには、Beatlesによって多様性を吸収したロック以前の、黎明期のロックン・ロール・スピリットをも内包しているにも感じられるのです。


それでは、論より証拠。
私が感じているそのイメージ、まずは、ここで1曲感じていただきましょう
曲は、1995年のライブ映像で、この作品の冒頭を飾る"The Seventh Seal"です。





兄Alex Van HalenのドラムとMichael Anthonyベースが織りなす重厚なサウンドに合わせ聴こえてくる、Edyの歯切れ良いギターサウンド。
聴き始めてすぐ、何も考えることなく自然のままに、その彼らの世界に引き込まれて行ってしまうような、実に、気分爽快極まりないロック・サウンドです。

そして、この作品を最後にバンドを脱退してしまったSammy Hagarの熱い歌声に、難しいことはすべて忘れいつのまにかそのサウンドの中に身を委ねてしまている自分、ここで昨今はすっかり忘れていた若き日の境地を思い出しました。

Van Halen初のグラミー受賞となった1991年発表の9枚目のアルバム『F@U#C%K』(原題:For Unlawful Carnal Knowledge)以来4年ぶりとなる本作品、Billboard 200で1位を獲得、イギリスでは彼らの作品としては初の全英トップ10入りを果たし、本作からシングルカットされた楽曲は、いずれもトップ100に入るなど、前作に続き高い評価を得ているのですが、こんなところにも彼らの次の作品が出ることを多くの人々が待ち望んでいた、その根強い人気のほどが窺い知れるように思います。

そうしたところで今度は本作からシングルカット曲を1曲、曲は、そのシングルカットの中でも私の最もお気に入りとなっている曲、"Can't Stop Lovin' You" を聴いていただくことにいたしましょう。



彼等の代表曲”Jump”流れを感じさせるこの曲、これを聴くとやはりあの”Jump”を聴かずにはいられなくなってしまいますョね~~~。

と言う訳で今度は、その”Jump”のPVを探してみたところ見つけた、私が彼らを知ることになったきっかけの懐かしいデモンストレーショ・ビデオをご覧いただくことにいたしましょう。



ローリング・ストーンによる歴史上最も偉大な100人のギタリストにおいて、2011年に第8位にに選ばれたという、Edward Van Halen。
今回、久々に彼らを聴いてみて70年代ロックの伝統を汲みながらも、それまで以上にギターがサウンド全体をけん引し、シンプルな構成でいて複雑な音楽世界を作り出していたことを強く認知することになりました。

ギター1本でカラフルなロック世界を生みした彼のプレーは、その歴史に大きな足跡を刻むもの。
最後に、Edward Van Halenの死を悼み、この美しいバラ-ド曲"Not Enough"をこの作品の発表とあわせて開催されたワールド・ツアー”Balance World Tour 1995”のライブ映像でご覧いただきながら、その冥福を祈ることにいたしましょう。





Track listing
All tracks are written by Eddie Van Halen, Michael Anthony, Sammy Hagar and Alex Van Halen.
1. The Seventh Seal
2. Can't Stop Lovin' You
3. Don't Tell Me (What Love Can Do)
4. Amsterdam
5. Big Fat Money
6. Strung Out
7. Not Enough
8. Aftershock
9. Doin' Time
10. Baluchitherium" (omitted from vinyl LP due to time constraints)
11. Take Me Back (Deja Vu)
12. Feelin’
13. Crossing Over"(Japanese bonus track)

Personnel
Van Halen
Sammy Hagar – lead vocals
Eddie Van Halen – lead guitar, keyboards, background vocals
Michael Anthony – bass guitar, background vocals
Alex Van Halen – drums, percussion

Additional personnel
Steve Lukather – background vocals ("Not Enough")
The Monks of Gyuto Tantric University – chants ("The Seventh Seal")

Recorded
1983 ("Strung Out");[citation needed] May 25 – September 2, 1994
Studio 5150 Studios in Studio City; Little Mountain Sound Studios in Vancouver





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きたろう

おはようございます(*^_^*)
前回『没』にした、『さだまさし市川市ゆかりの地の探索Ⅱ(寺川邸・中)』の書き直し版を昨夜アップしました。どうぞ、ご覧ください<m(__)m>

by きたろう (2020-10-24 06:15) 

きたろう

おはようございます(*^_^*)
『さだまさし市川市・・・ブログ』へコメントありがとうございました<m(__)m>
今回のブログは、地図マニア的記事でしたが、次回は、写真中心の気軽に読める記事にする予定です。乞うご期待!

by きたろう (2020-10-26 12:03) 

mk1sp

「Jump」はじめ、希望に満ちた感じ、いいですね。
Michael Jacksonの「Beat It」のギターもヴァンヘイレンだったのですね。そうと知らずに聴き馴染んでいたのだなと知りました。
by mk1sp (2020-10-27 23:54) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

mk1spさん

私も、久々に Van Halenを聴いてみて、Eddie のギターの面白さに気づかされることになり、もっとVan Halen以外での彼のギタープレイを聴いてみたくなってしまいました。

なにかいい演奏を見つけたらまた教えてください。



by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2020-10-29 14:45) 

ituki

あけましておめでとうございます。
親父さん、お久しぶりです(*^^*)
お元気そうで何よりです。

このアルバム大好きなんですよね。
「Not Enough」の静と動。イントロのピアノからギターで盛り上がる壮大な感じが大好きで、記事にのってて流石親父さん!って喜んでました。
相変わらず音楽を言葉に表すのが巧みだなあと惚れ惚れしながら読みました。
by ituki (2021-01-02 00:45) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

イッチー
明けましておめでとう。

ファースト・ネームの老年の名前の通り、今は、本当にコロナ危険年齢になってしまいましたが、懲りずに今だにブログ続けています。

元は、適当のつもりで始めたはずだったのだけど、イッチーにほめられて????、いや、おだてられてその結果、単純に乗り真剣(かなり鈍ってますが)になってしまったのがとどのつまり、果たしての今の結果となってしまった次第。(笑い)

そうしたこともあり、今年は、新年早々にコメントをいただいて元気百倍。

これからも、時折来ていただき、枯れそうな私の元気、煽ってください。



by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2021-01-03 20:46) 

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