南半球から登場したプログレの新星;A Southern Empire・Southern Empire [音源発掘]

1年の延期を経て開催された東京オリンピックも終わり、結果を見てみれば日本選手の金メダル獲得数27個で、参加国中第3位、総メダル獲数も、58個の第5位と予想を遥かに越える好結果。

またメダルに手の届かなかった競技でも、これまで”参加することに意義がある”の蚊帳の外状態から決勝に進出する種目が増えて、これまた頼もしい限り。

そんな大会を観戦しながら、たびたび私の脳裏を横切ったのは、50年前の東京大会での選手たちと今大会に選手たちの個々の表情の違い。

敗戦から20年の節目を迎えようとしていた先の大会では、選手各自、廃墟から立ち上がり復興を遂げ世界の檜舞台に躍り出ようとしていた国の威信を肩に背負い、その振る舞いもどこかぎこちなく悲壮感すら漂っていたような印象が心に残っているのですが、今回の大会では、皆競技を楽しみつ自己の力をフルに発揮し資力尽くして闘い抜こうとしている、明るく爽やかな姿が印象的で、見てる側にも心に優しさと希望に満ちた活力を与えてくれる、そんな思いを抱かせるものだったことが、深く印象に残ることになりました。

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さて、そうしたオリンピックの興奮も冷めやらぬ今日ですが、話はいつものお題に返って、
オリンピックで飛翔する若人たちの爽やかな闘志の空気を吸い乗せられて聴いていたロックの作品から。

それは、オーストラリアのプログレシッブ・ロック・グループによるこの作品。

A Southern Empire・Southern Empire.jpg


A Southern Empire、2016年発表のデビュー作品”Southern Empire”です。

元Unitopiaのキーボード、サックス奏者のSean Timmsによって結成されたこのA Southern Empire、そのサウンドは、Dream Theaterや IQ,の影響が感じられるも、親しみ易くしなやかなメロディ・ラインに加えて、さり気なくジャズやクラシックのエッセンスをも取り入れた変化に満ちた聴きどころ盛りだくさんの音楽。

私自身、初めは、あまり馴染みのないオーストラリアのグループということで、いさかか懐疑的な思いで聴き始めたのですが、ち密でありながら親しみと重厚さを兼ねた聴き応えのあるサウンドに、これぞ私が欲し続けて来た現代のプログレとすっかり彼らの世界に引き込まれてしまうことになったのです。


それでは、聴き応え満点のA Southern Empire、まずは、その究極のサウンド、聴いていただくことにいたしましょう。

曲は、”Forest Fire”です。





HM的なヘビーさを備えつポップな感覚を有したこの曲、しかし、インストメンタル部に入るとその様相は一変、超絶技巧を駆使した息をのむ展開となる、飽きる暇を与えない隙のなさ[exclamation]

いかがだったでしょうか。

こうした彼らのスタイル、1990年代に登場したDream Theaterの影響は極めて濃厚であることは明白なのですが、よく聴いてみると元祖プログレのYesやGenesisあたりの影響も見え隠れしていることが感じられます。

と、思いながら、彼らのライブと映像を見ていたことろ、見つけたのがこの映像。
演奏されていたのは、プログレ黎明期を代表するプログレ・バンドのあの名曲[exclamation&question]

なにはともあれ、まずはその映像ご覧ください。



曲は、70年代プログレ黎明期の中核的存在であったYesの名曲”Round About”でした。

元祖プログレとというと、Yesの他にはKing Crimison,Pink Floyd,Genesisの名が思い浮かぶのですけど、そのカバーの例となると、他の3者に対しYesの場合、その数は極めて少なくかなり珍しいように思います。
A Southern Empireのこのカバー演奏は、カバーというよりはその域を越えて、彼らのオリジナルのような感があり、この辺りに彼らのルーツとして、Yesも大きなウェイトを占めているという様子が見えてくるように思います。

それにしても、高度な演奏テクニックを有すプログレ・バンドの中で 当時その筆頭格の評価を受けていたYes。そのYesの楽曲をライブのアンコール曲として軽々と聴衆と共になって楽し気に演奏していること。
これを見ると各メンバー、特にその中心人物であろSean Timmsの経歴も気になってくるもの。
そこで、その彼がA Southern Empire結成以前在籍したUnitopiaの作品も聴いてみたのですが、A Southern Empireにある壮大な重厚さには欠けているものの、しなやかなメロディ・ラインはそのままに、緻密かつ繊細さが際立つ極めて魅力的。
A Southern Empireでの、サックスやピアノが活躍するジャズのようなインストメンタル・パ―トも健在で、ジャズ・ファンの私としては、思わず喝采。[ハートたち(複数ハート)]
その素晴らしいUnitopiaを解散して、A Southern Empireを立ち上げたSean Timmsの意欲がひしひしと伝わってきます。


ということで、次の曲は、サックス・ソロ・パートがフューチャーされた佳曲、”How Long”を聴いていただくことにいたしましょう。



オーストラオーストラリアにもこんな素晴らしいバンドが出てくるなんてというのが、聴き終えての率直な感想。
今回は、自分の不勉強、強く思い知らされてしまいました。
これからは、このA Southern Empireを皮切りに、拘ることない広い視野で南半球のロックの良さを味わっていこうと思います。

Track listing
1.Show Me The Way
2.Forest Fire
3.Hold
4.How Long
5.The Bridge That Binds
6.Dreams & Machines

Personnel
Sean Timms - Keyboards/Vocals/Saxophone
Danny Lopresto - Lead Vocals/Guitar
Cam Blokland - Guitar/Vocals
Brody Green - Drums/Vocals
Jez Martin - Bass/Vocals

Releases
2016年2月18日



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オリンピック雑感[かわいい]
メダル・ラッシュに湧いた今回のオリンピック。
その興奮の余韻が静まる中で、ふと思い浮かんだのは、50年前のオリンピックに向け東京という街を一新すべく働いた多くの人々のこと。
今回のオリンピックでは、オリンピックスタジアム(国立競技場)をはじめ水泳の競技会場となった東京アクアティクスセンターやバレーボールの会場なった有明アリーナなど、9つの新しい施設が建設がいつの間にか完成し、あっけなくオリンピックも終わってしまった、そんな印象が残ったのですが、50年前の建設ラッシュに明け狂う東京は、なんとも騒がしかった。
そうしたことがまだ幼かった私の心に刻まれ残っているのですが、考えてみれば、まだ新幹線も高速道路もなかった日本、競技施設だけでなくそれら交通インフラまで整備するという今を遥かに凌ぐビッグ・プロジェクトのはずなのに、コンピューターもなく建設機械の能力も低かった時代。
その多くが人力に頼ざるを得なかったと推察するのだが、そこで、思い出したのが、今回のオリンピック招致が決まったころ、縁あってお会いしたその当時コンクリート工場でその製造に携わった方の話。
それによれば、当時のコンクリート工場の標準的生産能力は現在のプラントの1/3以下であり、その数も半分以下だったとことから供給が間に合わず、工場は24時間操業で品物を現場に送り届けていたのだが、原料であるセメントや砂・砂利を運ぶトラックも当時は積載量が今に比べ小さく、常に綱渡り状態での操業であったとのこと。

そんな状態で、よく出来たものだ。
しかし、この東京大改造が現代の日本生み出す原動力なっったことも事実。
当時の人たちの世界の檜舞台に賭けた、不可能を克服しようとした熱い思いに脱帽の思いが宿ります。

コロナの中で開かれた今回のオリンピック。
果たして50年後の評価は、どうなっているのか。
明るい未来を築く座標軸になっていればと思います。[ぴかぴか(新しい)]
















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mk1sp

大作志向なプログレッシブバンドのようでもあり、超技巧的なハードロックバンドのようでもあり、ジャズバンドのようでもあり、クラシックのインストメンタルバンドのようでもあり、マルチジャンルな感じのバンドですね、全体としては、爽やかな後味ですね♪
by mk1sp (2021-08-17 21:26) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

mk1sp
マルチジャンルな感じのバンド、その通りですね。

私も、最初はプログレ・メタルのバンドかな思ったすけど、聴いてみると、ジャンルを越えたその展開、それでいて飽きさせることない表現力、その出来の良さにこれはと思い、この作品を取り上げさせていただきました。

2作目も発表されていますので、よければそちらの方もアクセスしてみてください。







by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2021-08-18 19:56) 

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