我が息遣いが宿る思い出のライブ作品;Charles Tolliver Live In Tokyo 1973 [音源発掘]

いつまで経っても収まるこのないコロナの嵐。ここに来てさらに強力なデルタ株の蔓延で感染が拡大、それにも拘らず後手後手の感が強い国の対応。

それもリーダーであるはずのあのお方、本来は強力なリーダー・シップで、人々を感染防止へ行動を則す立場であるはずなのに、自らがおろおろとし、朝令暮改の如くの対応の連続に明け暮れている。

ブレーンとしては優秀な方だと思うのだが、以前より一国を背負う人材でないと感じていた通りの案の定、その馬脚を現してしまった結果が、今の実情じゃないかと憤懣やるかたない思いに、暑さに加え鬱陶しさを感じ悩まさられているこの夏................[バッド(下向き矢印)]


とまあ、今一つ晴れない気分を引きずりながら、あのサウンドならこうした気持ちを晴らしてくれるのではと思い当たり聴いたのがこの作品。

Charles Tolliver Live In Tokyo 1973.jpg


1973年の12月の新宿厚生年金ホールでのCharles Tolliver Music Inc.のライブの模様を捉えた作品 ”Charles Tolliver Live In Tokyo 1973”です。

実はこの作品に収められたライブ、私が参戦した日のもので、今でも、会場にに入り自分たち席のところまで来てみると、その席のすぐ傍にレコーディング用のミキサーが据えられていた、その光景が目に浮かび、聴いていると音楽と共に私と一緒に行った友人たちの息遣いまでもが聴こえて来るような気がしてくる思い出深いもの。

そうした思い出のCharles Tolliver 、この当時はニューヨークの若獅子と呼ばれ、日本でもその諸作品はかなりの評判となっていて、この来日公演もかなりの盛況ぶりだったのですが、その開演に際しさらに嬉しいハプニングの知らせが告げられていたのです。

それは、もとともと来日メンバーとして案内されていたピアニストは、この時期 Tolliver のカルテットのレギュラー・メンバーであったJohn Hicks だったですが、このライブ司会者であったジャズ評論家の悠雅彦氏が名を呼び上げたのはStanly Cowell。
Hicksがスケジュールの都合で来日出来ななくなっためのことだったようなのですが、このStanly Cowellという人、Hicks 以前のTolliver のカルテットのピアニストで、双頭リーダーとしてカルテット率いていた人物で、さらには共に自分たちのレコード・レーベルであるStrata-Eastを立ち上げた、Tolliver にとっては同志ともいえる存在のアーティスト。

そんなCowellが代役として参加という思いもせぬ吉報に、観衆も大喜び。
舞台に登場するやTolliver を遥かに凌ぐ歓声が上がり、演奏も始まってもいないのに会場は早くも興奮状態の体となってしまったほど。


それでは、自分にとってラッキーな思い出のライブ・ステージ、時空超えてその興奮覚めやらぬ会場へご案内することといたしましょう。













お聴きいただいた曲は、”Drought”でした。

あの日のステージを目の前に蘇がえさせてくれるトランペットの一声で始まるこの演奏、ジャズにおいてもすでにエレクトリック・サウンドが全盛なりつつあったこの時代にあって、アコースティックに拘りながらもそのパワーは、それを遥かに凌ぐもの。

ストレート・アヘッドなスタイルをベースにしながらも、ロック・フュージョンなどのエッセンスを内包したそのサウンドは、今聴いても新鮮さを感じます。

こうした彼らの音楽、今こうして聴いてみると、当時、影の薄くなりつつあった伝統的なジャズのあり方に一石を投じ、80年代に入ってからのストレート・アヘッド・ジャズの復活への大きな道標となっていたのでは、そんなことを考えてしまいます。[exclamation×2]

それにしても、いろいろ考えながらこうして聴いていると、次々とあの日の思い出が湧いて来て、さらに聴いて思い出に浸りたくなる。

ということで、次の曲は、あのバップの高僧と言われたThelonious Monkの名曲、”Round About Midnight”で時代を切り開いた彼らのサウンドに接してみることにいたしましょう。



なんとも熱い”Round About Midnight”。
12/7に収録されたこのライブ、確かこの日は冬の空気が忍び寄る肌寒さを感じる日だったように記憶しているのですが、会場はTolliver 以下メンバーの発する熱気に満ちた演奏で、冬の到来を忘れさせるほど。
おかげでコンサート終了後、外に出ると寒さが晩秋のまだ浅い寒さが身に染み堪えてしまったことが思い出されます。


半世紀ほど前、私が参加し偶然にも予期せぬ本命Cowellに出会えたライブ、これを聴いて、若き日の興味に対してまっしぐらに突き進んでいた我が姿を思い出し、今の鬱陶しさに立ち向かう力を得たような気がして来ました。
そして、今ではあまりに話題に上ることがなくなったCharles Tolliver、50年も前に今にも通じる熱くパワーフルなアコースティック・サウンドを繰り広げていたこと、また記憶に留めていただければと思います。

Track listing
1.Drought(Charles Tolliver)
2.Stretch" (Charles Tolliver)
3.Truth(Charles Tolliver)
4.Effi (Stanley Cowell)
5.'Round Midnight (Thelonious Monk, Cootie Williams)

Personnel
Charles Tolliver – trumpet
Stanley Cowell – piano
Clint Houston – bass
Clifford Barbaro – drums

Recorded
December 7, 1973 東京・新宿 郵便貯金ホール


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U3

総裁選に勝てないのでお辞めになりましたね。
by U3 (2021-09-03 18:13) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

U3さん

一生懸命に取り組んでいたのはわかるのだけど、非常事態のリーダーとしては力量が足りなかったということなかな。

平時なら、また違った展開となっていたのだろうけどね。
by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2021-09-05 09:53) 

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