往年の仲間たちとの再会から生まれた心温まるジャズの響き: Art Blakey & All Star Jazz Messengers- Aurex Jazz Festival’83;本日の作品☆ vol.152 [デジタル化格闘記]

今月の初め、笹子峠を越え久々に山梨を訪れてみたところ、意外だと感じたのは、思いもよらぬ木々の秋の色付きの深さ。

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と思って山向こうに目をやると、そこには真白い衣装に身を染めた富士山が頭を覘かせています。

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この風景、これまで、毎年この時期この地を訪れていた私の記憶からすると、富士山が白く衣装替えをするのは11月半ばだったはず
しかし、そこで見たのは富士の山のみならず、木々の色までもが秋の最終末を告げているかのような風景。

考えてみれば、今年は、年の始まりから春の訪れを告げる梅・桜の開花が例年より10日以上早かったしなと思いながら、これもそうした気候の流れが、この秋の季節の変わり目にも影響を及ぼしているのかなとの思いを巡らしているところ。


とは言っても、コロナの猛威も沈静化したところでようやく出た旅の空の下、前回に引き続きその昔録り溜めたライブ音源に耳を傾けながらこうした自然の空気に触れられるのは, なんとも味わい深いもの。


そこで、今回は1980年代、前回聴いていただいた夏のジャズのライブ・イベントLive Under The Sky
と並び、秋のライブ・イベントとして開催されていたAurex Jazz Festivalの音源を取り上げ聴いていただこくことしようと思います。


さて、Live Under The SkyとAurex Jazz Festival、その内容は先のLive Under The Skyは、開放的な屋外ステージの下、その時期注目されているアーティストによる最新のジャズ・フュージョンがプログラムの中心のイベントだったのに対し、Aurex Jazz Festivalは、秋らしく円熟の境地にある大御所的存在のアーティストによる伝統的なスタイルのジャズがその中心のイベントと、その性格は大きく異なるものだったのですけど、今回はその落着いた雰囲気のステージで繰り広げられた白熱のライブ、まずはそのステージ、この演奏から、始めることににいたしましょう。



そう、Art Blakey & Jazz Messengersのファンキー・ジャズ金字塔とも言える名曲、”Moanin' ”ですよね。
ということで今回は、私のライブ収録したカセットテープ・ライブラリーから、Art Blakey & All Star Jazz MessengersのAurex Jazz Festival’83のライブを聴いていただくことにいたしました。



ところで、お気付きかもしれませんが、このバンド名称、本来は”Art Blakey & Jazz Messengers”のはずなのに、ここでは”Art Blakey & All Star Jazz Messengers”との記載、それ何かの間違いじゃないのと思われるかもしれませんが.........。

一見余計に見えるAll Starの文字[exclamation&question]

間違って書き入れた訳ではないのです。

その意味するところは..........................!





実は、そのAll Starの文字、このライブの前年の1982年、数々の日本発の名盤を生んだ名プロデューサー、木全信氏の発案によるレコーディング企画から生まれた作品に、その大元があるのです。

その作品は、50年代初めの結成より多くのスター・プレヤーを生んで来た Jazz Messengers、その往年のスター・プレヤーを集め、レコーディングしょうと思いついた木全氏が、プロデューサーとして最初にプロデュースを担当、その後も親交を深めてきた、初期Jazz Messengersのスター・プレヤーとして、また作編曲にも携わってきたテナーサックス奏者のBenny Golsonにこのアイディアを持ち掛けたところ、そのGolsonが、そのアイデアを御大Art Blakeyに打信、快諾を得て実現することになったもの。

そして、そのGolsonの人選により集まったのは、当のGolsonをはじめ、Freddie Hubbert(tp),Curtis Fuller(tb),Ceader Walton(p),Buster Williams(b)の、この当時のジャズ界をリードしていた爽々たる顔ぶれ。
そうした経緯により、制作発表されたのが、

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このAll Starを冠した作品、”Art Blakey All Star Jazz Messengers”だったのです。

Blakey自身、この往年の仲間とのレコーディングは、心地よいものであったのか、このレコ-ディングの翌年、このAurex Jazz Festivalの2か月前には、スイスのレマン湖の畔で開催されるモントルー・ジャズ・フェスティバルにも、 All Star Jazz Messengersとして出演しているです。

さて、Aurex Jazz Festivalに出演したAll Star Jazz Messengersのアーティストの顔ぶれ、さすがに当時ジャズの中核を担う存在になていてスケジュール多忙なっていた82年レコーディング時のメンバーによるものとはなりませんでしたが、それでもBenny GolsonとCurtis Fullerは参加、そしてトランペットには、82年までJazz Messengersに在籍し当時新進気鋭のトランぺッターとし注目を集めていた Wynton Marsalisの参加と、All Star にふさわしい顔ぶれ。

それに加えて、この時期Jazz Messengersの正式メンバ-であったTerence Blanchard(tp)、Johnny O'Neal(p)、Lonnie Plaxico(b)という新旧混成で奏される Messengersの名曲は、どんなサウンドを生み出してくれるのか、と多くの期待を抱かせるものがあります。

そこで今度は、現代を代表するトランぺッターであるWynton MarsalisとTerence Blanchardの二人がフロントを飾るBenny Golsonのペンになる名曲”I Remember Clifford”をここで聴いていただきたいと思います。



Wynton MarsalisとTerence Blanchardの二人が相並んだ本当に珍しい演奏。

ポスト・バップの旗手として、大いに注目されていた二人ですが、当時、彼らのリーダー作品で彼らに接した私としては、技巧的には極めて優れたトランぺッターであることは認めるも、技巧ばかりが前に出てハートが感じられないそのサウンドが好きなれず、聴く気になれずにいたのです。

しかし、ここでの彼らのプレーは艶やかさ憂いに満ちている。
そこに、彼らを包み込むようにバックを・サポートするArt Blakeyの、大きな力を感じました。


さて、このAll Star Jazz MessengersのAurex Jazz Festivalのステージ、現在では廃盤となっていますが、うち4曲がレコード化され発表されています。

これまで聴いて来た先の2曲も、そのアルバムに収められているものですけど、私のカセットにはあと2曲、アルバム未収録の曲が収められています。

そこで、次はそのアルバム未収録の曲を1曲、お聴きいただくことにいたしましょう。
曲は、Dizzy Gillespie作曲のバップの名曲”A Night in Tunisia”です。



今回も、録音してから40年近く経つ、ライブ・ステージ。
あの頃は仕事にかまけて聴くこと忘れていたその音源、何故か、一足早い冬を運んできた富士山を見て思い出し聴いてみて、すっかりその世界に取り込まれてしまいました。

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そうそうその富士山、その姿を眺めていたらその下を、中央線を走る特急あずさ号が駆け抜けて場面に出会いました。(クリックして写真を拡大してください)
この場所、何度も来ているけど初めてのこと。
これ、なにか良いことのある前触れかもしれません。

Track listing
1.Whisper Not*
2.Along Came Betty*
3.Moanin' *
4.I Remember Clifford*
5.A Night in Tunisia
6.Blues March
*アルバム収録曲 -

Personnel
Art Blakey, drums.
Terence Blanchard, trumpet
Wynton Marsalis, trumpet
Curtis Fuller, trombone
Benny Golson, tenor sax
Johnny O'Neal, piano
Lonnie Plaxico, bass

Recorded
"Nippon Budokan", Tokyo, Japan, September 2, 1983



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