2021年! 年の瀬に聴いていたお気に入り作品 [音源発掘]
久々に多忙となってしまった今年の年末。
今の職場に移ってから隠居よろしく、あちらこちら飛び回ることなく、バックで指導しながら、基本的には若手に仕事を任せ自身はのんびりと過ごして来たのに、どういう訳か今年は若手も仕事が忙しくそのうえ彼らの手の余る仕事が増えてしまったことから、私自身が出向き直接采配を振るわねばならなくなってしまったことからそうなってしまったようなのですけど。
しかし、これも良くしたもので、今年の秋口までは一昨年大腸疾患による入院手術の影響で体力が大きく減退、体が思うように仕事についてこれず、もどかしい思いが続く毎日だったところ、それがここに来て急速に回復、ほぼ以前の状態に回復、おかげで、今ではその忙しさも楽しみながらやれるようになってしまったという按配。
あらためて、健康のありがたさを一身に感じつつも、当初は久しぶりの出来事に多少の戸惑いを感じたものの、今では仕事の合間には散策しながら季節の風物を楽しむ余裕も出来て、忙しさの中にも日々久々の充実感に満ちた生活を送りつつ、この年の終わりに来てこんな街角のX’masの風景も明るい気分で出会え、喜ばしく思っているところ。
こうなってくると新しい年がどんな年になるのか、希望も湧いてくるのですけど、一足飛びにそこへ向かおうとするその前に
今年1年間出会い私を励ましてくれた様々な音楽について、ちょっと振り返ってみなけばと思い立ち、今回は、この年末を中心によく聴いていたお気に入りの作品を取り上げ語てみることにいたしましました。
それではその作品、
まずはロックの作品から始めることに。
今年は、IQやArena等 1980年代より活動を続けているネオ・プログレシッブのアーティストを皮切りに、さらに本場英国のみならず世界各地に広く目を向けて、オーストラリアのSouthern Empireや日本のプログレシッブ・ロック・バンドGerard、Teru's Symphonia等聴くなど、久々にプログレシッブ・ロック三昧に明け暮れる年となってしまったのですが、年の終わりに来て突如それらへの思い入れを越えて愛聴することになってしまったのがこの作品。
アメリカ出身のハード・ロック・バンド、Greta Van Fleetの2021年発表の作品””The Battle At Garden's Gate”です。
2017年にEPアルバム”Black Smoke Rising”を引っさげ登場したGreta Van Fleet、私は2019年に彼らを知り、強いインパクトをうけたことから、前作”Anthem of the Peaceful Army”を記事も取り上げ紹介したことがあるのですけど、その私が衝撃を受け彼らに大きく惹かれたのは、あの伝説となったハード・ロック・バンドLed Zeppelinの全盛期を彷彿とさせるそのサウンド。
初めて参戦したライブが、2回しかないLed Zeppelinの来日のうちの1971年の初来日であった私にとっては、あれから半世紀たった今もその衝撃がトラウマになってしまっているようで、そのサウンドを聴くと居ても立ってもおられない気持ちとなってしまうのですが、まさにGreta Van Fleetの本作品にもそのトラウマを刺激するものがある当たりに、再び彼らのこの新作を取り上げたくなってしまったもの。
という訳で、何はともあれ思い入れ深いそのサウンド、まずはお聴きいただくことにいたしましょう。
曲は本アルバムからEPカットされた”My Way, Soon”です。
Zeppelinの単なるコピーとの酷評もある彼等ですが、私としては、Zeppelin解散以後40年余りの時を経て、現代ロックの原点というべき70年代ロックを体現させる若者が出てきたこと自体が大きな驚きであり、現在低迷気味と言われるロック界において、これが次世代への新たなロック世界創出の起爆剤になればなとの期待を抱いているところ。
前作と比べ、彼ら自身のオリジナリティも増しているように感じられる本作、今後も彼らの動向には注意を払って行きたいと思っています。
さて、年末によく聴いていたお気に入り作品、まずはGreta Van Fleeの””The Battle At Garden's Gate”を紹介いたしましたが、この後は、ロックから2作品、ジャズから3作品をピックアップし、お話を進めてゆくことにしたいと思います。
そうしたことで、続いて取り上げるロックの作品は、
英国のネオ・プログレッシブ・ロック・バンドのPendragon、彼らの第5作目となる1996年発表の作品” The Masquerade Overture、邦題『仮面舞踏への序曲』”です。
そのPendragon、1978年に活動を開始、1983年レコード・デビュ-を果たして以来今も活動を続けている歴史のあるバンドだそうなのですけど、その彼等が大きく飛躍し注目を浴びるようになったのは自主レーベルを立ち上げた1991年以降だととのこと。
しかし、彼らにとって、それは商業的に惑わされず自己のサウンドを守るための当然帰結だった思うのですが、一方そうした姿勢が、ただでさえ華やかなロックシーンにあって、その存在が埋もれがちなプログレッシブ・ロックのアーティストの中のあって、その名を隠れがちなものとしてしまっているようにあるのもある意味事実。
そういう私も、IQやArenaの作品を追っていくうちに彼等の存在にヒット、最初はその名からプログレシッブ・メタル系のバンドかと思いながら接してみたところ、プログレッシブ・ロックの大御所であるGenesisの前期と後期が調和融合したような抒情美と心地よい躍動を備えたサウンドの虜になってしまったもの。
ということで、クオリティを求めたその演奏、ここで聴いていただくことにいたしましょう。
曲は、”As Good As Gold”です。
今年は、私にとって実り多かったプログレッシブ・ロック、いろいろ聴いてきた中でもこのPendragonとの出会いは、また格別なものがありました。
来年は、このプログレッシブ・ロック、さらに次世代を担う新生を追い求めつ聴き続けていこうと思っています。
そして、ロック3作目の作品は、
QueenのヴォーカリストFreddie Mercuryとスペインのオペラ歌手Montserrat Caballéによる”Barcelona (Orchestra Version)”。
本作は、1988年にリリースされた同名の作品”Barcelona”のオケを、シンセサイザーを中心とした小編成のバンドから、80人編成のクラシック・オーケストラに替え、2012年に再編集して発表されたものなのですが、かねがねこのMercury・Caballé二人のヴォーカルにはクラシックのフル・オーケストラの方がふさわしく、そうした音源があれば聴いてみたいと考えていた私は、遅ればせながら今年、それがあることを知り即Get!! 聴いてみたのがこの作品。
その結果は、音場空間の広がり増し、その空間に包まれて二人のヴォーカルもくっきりと浮かび上がりさらに深みが増していたというのがその印象。
私としては思い通りの出来に思わずニンマリ、この年末に聴き続けることになってしまったものなのですが、今度は原版発表後24年の時を経て実現したその演奏を、聴いていただくことにいたしましょう。
曲は、Caballéの希望を受けてMercuryが書いた彼女の故郷を歌った名曲”Barcelona”です。
この作品が発表されて以降、1990年代に入るとクラッシック・サイドからのロック・ミュージックへのアプローチが盛んに行われるようになり、英国名門クラシック・オーケストラであるRoyal Philharmonic OrchestraやLondon Symphony Orchestraが、ロックの楽曲を演奏した作品を相次いで発表、さらにはSarah Brightman、Gregorianが登場となっていくのですが、その出発点となったのがこのMercury・Caballéの”Barcelona”ではなかったのかと思うのです。
そうしたことから、2012年にOrchestra Versionとして発表されたこの作品は、Mercuryの偉業をさらに理想的な形で再生した名作と言ってもいいのではないかと考えるのです。
さて、一通りロック作品を取り上げたところで、お次はジャズの作品。
今年は、70年代、80年代に活躍した峰厚介・土岐英史・椎名豊・鈴木良雄・渡辺香津美等、日本人ベテラン・アーティストの近作を中心に聴いてきたのですが、そこで耳を惹かれたのがベテラン人をサポートする若手アーティスト達のフレッシュなプレイ。
中でも気に入りこの年末よく聴いているのが、今年6月に亡くなった土岐英史の下で、晩年の土岐に寄り添いサポートを続けてきたピアニストの片倉真由子のこの作品。
2020年発表の”Plays Standards”。
文字通り、多くのジャズ・アーティストによってカバーされているジャズのスタンダード・ナンバーの演奏集なのですけど、その聴きどころは、ピアニストそれぞれが見せるその曲への解釈と表現アプローチの違い。
そうしたジャズ・ファンの誰もが知る名曲を、女性らしい細やかなやさしさと強靭タッチという相反したイメージで紡ぎ聴かせてくれる彼女の独自のアプローチの心地良さに、好ましさを覚え私が聴いているのがこの作品。
というところで、ジャズ編最初の曲はこの片倉真由子の演奏から聴いていただくこといたしましょう。
曲は、Wynton KellyやModern Jazz Quartetの名演でも知られる”Softly, as in a Morning Sunrise(邦題;朝日のごとくさわやかに)”です。
1990年代の終りより大西順子、木住野佳子、上原ひろみ、山中千尋と世界に通じる女流ジャズピアニストを輩出してきた日本のジャズ界。
この演奏を聴きながら、片倉真由子もその流れを継ぐ者の一人であること確信することになりました。
来年は、今年聴きそびれた、もう一人の女流ピアニスト、峰厚介の下で活動している清水絵理子の作品にも触れてみたいと思っています。
そして、続いて二つ目ジャズ作品は、
ベーシストのCharlie Haden とハバナ出身のピアニストの Gonzalo Rubalcabaによるデュオ作品” Tokyo Adagio”です。
本作は、2005年に東京のブルーノート・ジャズ・クラブで収録されたライブ盤で、Charlie Haden が2014年に亡くなった翌年にその追悼の形で発表されたもの。
ここでピアノを弾くRubalcabaには、1985年にジャズの巨匠Dizzy Gillespieに見いだされ、その後アメリカ渡り1986年にCharlie Hadenとの出会いにより大きく飛躍アメリカでその評価を得ることになったという経歴があることから、この作品では、20年経て、いわば師弟関係にあるとも言える二人の緊密な心の交流が感じられる美しい対話の世界が大きな聴きどころ。
そこで、この二人のその演奏、曲は”En La Orilla Del Mundo”。
まずは、お聴きいただくことにいたしましょう。
Ornette ColemanやKeith Jarrettの下で手腕を発揮してきたCharlie Haden、私は、彼のプレイをKeith Jarrettのカルテットの一員として来日した時、ま近で接したことがあって、そこで見たベースのネックに目をつぶり耳を寄せ静かにベースを奏で歌うような彼のプレイに魅了させられてしまって以来、もっとも好きなベーシストの一人として彼を聴き続けてきたのですけど、ここでもそのプレイは健在で、Rubalcabaのピアノをその歌心を漂わせる王令で敬虔な歌の世界に導いている様子が印象的。
そして一方のRubalcabaも、90年代自己のトリオで見せた超絶技巧ともいえるテクニックは隠し、ひたすら静寂の美の世界紡いでいる。
1年を送るにふさわしい音世界をここに感じました。
さて、ラスト3作目のジャズ作品は、
トランぺッターJohnny Coles の1982年の作品”New Morning”です。
Johnny Colesは、けしてビッグ・ネームとは言えないアーティストなのですけど、1950年代後半のGil Evansのオーケストラのメンバーで、Miles DavisとGil Evansのコラボによる歴史的名盤”Sketches Of Spain”にもその名が見える、地味であるも1960年の”The Warm Sound”や1963年の”Little Johnny C”など今でもファンの間では根強い人気のある名盤を残している、燻し銀の味を持つアーティスト。
私も、”The Warm Sound”で初めて彼のプレイに接し以来、安定したトーンで溌剌としたメロディを奏でる彼のプレイが大いに気に入り、多いとは言えない彼の作品を見つけるたび即Getしてきたのですが、1982年作のこの作品ついては、長らくが発表されていたこと知ることなく、また知った時には入手困難となていたことから聴けないままでにいたところ、ようやく今年になって入手、聴くことが出来たもの。
そして聴いてみると嬉しいことに、Colesの溌剌したトランペットの音色がさも香る、ワン・ホーン作品。
それに加えて、サポートのHorace Parlan のピアノがその味をさらに引き立て絶妙の味わいを残してくれている。
それが、年末の慌ただしさの中で疲れた心にくつろぎを与えてくれる感がして好ましい。
そこで、今度は、やはりそのくつろぎの音、聴いていただきたい。
ということで、曲は"Super 80"でくつろぎのひと時、お楽しみください。
普段は感じていなかったのだけど、こうやって日常聴いている作品を取りまとめ並べ聴いてみると、その選曲の支離滅裂度、節操のなさに、我ながら呆れるばかりなのですが、その日の気分や天候に合わせ聴いていていた結末がこの結果。
これも、いろいろなことに興味を持ち一つ一つを調べ学んでいくこと、これが年をとっても老いず若さを保つ源になっているのかもしれない考えながら、来年もこのスタイルを続けていこうと思っています。
そして、2022年もいろいろな音楽を聴き旅をしながら、また語って行こうと思います。
それでは、2021年にお越しいただいた方、よいお年を!
今年はどうもありがとうございました。
また、明けて、2022年にお越しいただいた方、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
今の職場に移ってから隠居よろしく、あちらこちら飛び回ることなく、バックで指導しながら、基本的には若手に仕事を任せ自身はのんびりと過ごして来たのに、どういう訳か今年は若手も仕事が忙しくそのうえ彼らの手の余る仕事が増えてしまったことから、私自身が出向き直接采配を振るわねばならなくなってしまったことからそうなってしまったようなのですけど。
しかし、これも良くしたもので、今年の秋口までは一昨年大腸疾患による入院手術の影響で体力が大きく減退、体が思うように仕事についてこれず、もどかしい思いが続く毎日だったところ、それがここに来て急速に回復、ほぼ以前の状態に回復、おかげで、今ではその忙しさも楽しみながらやれるようになってしまったという按配。
あらためて、健康のありがたさを一身に感じつつも、当初は久しぶりの出来事に多少の戸惑いを感じたものの、今では仕事の合間には散策しながら季節の風物を楽しむ余裕も出来て、忙しさの中にも日々久々の充実感に満ちた生活を送りつつ、この年の終わりに来てこんな街角のX’masの風景も明るい気分で出会え、喜ばしく思っているところ。
こうなってくると新しい年がどんな年になるのか、希望も湧いてくるのですけど、一足飛びにそこへ向かおうとするその前に
今年1年間出会い私を励ましてくれた様々な音楽について、ちょっと振り返ってみなけばと思い立ち、今回は、この年末を中心によく聴いていたお気に入りの作品を取り上げ語てみることにいたしましました。
それではその作品、
まずはロックの作品から始めることに。
今年は、IQやArena等 1980年代より活動を続けているネオ・プログレシッブのアーティストを皮切りに、さらに本場英国のみならず世界各地に広く目を向けて、オーストラリアのSouthern Empireや日本のプログレシッブ・ロック・バンドGerard、Teru's Symphonia等聴くなど、久々にプログレシッブ・ロック三昧に明け暮れる年となってしまったのですが、年の終わりに来て突如それらへの思い入れを越えて愛聴することになってしまったのがこの作品。
アメリカ出身のハード・ロック・バンド、Greta Van Fleetの2021年発表の作品””The Battle At Garden's Gate”です。
2017年にEPアルバム”Black Smoke Rising”を引っさげ登場したGreta Van Fleet、私は2019年に彼らを知り、強いインパクトをうけたことから、前作”Anthem of the Peaceful Army”を記事も取り上げ紹介したことがあるのですけど、その私が衝撃を受け彼らに大きく惹かれたのは、あの伝説となったハード・ロック・バンドLed Zeppelinの全盛期を彷彿とさせるそのサウンド。
初めて参戦したライブが、2回しかないLed Zeppelinの来日のうちの1971年の初来日であった私にとっては、あれから半世紀たった今もその衝撃がトラウマになってしまっているようで、そのサウンドを聴くと居ても立ってもおられない気持ちとなってしまうのですが、まさにGreta Van Fleetの本作品にもそのトラウマを刺激するものがある当たりに、再び彼らのこの新作を取り上げたくなってしまったもの。
という訳で、何はともあれ思い入れ深いそのサウンド、まずはお聴きいただくことにいたしましょう。
曲は本アルバムからEPカットされた”My Way, Soon”です。
Zeppelinの単なるコピーとの酷評もある彼等ですが、私としては、Zeppelin解散以後40年余りの時を経て、現代ロックの原点というべき70年代ロックを体現させる若者が出てきたこと自体が大きな驚きであり、現在低迷気味と言われるロック界において、これが次世代への新たなロック世界創出の起爆剤になればなとの期待を抱いているところ。
前作と比べ、彼ら自身のオリジナリティも増しているように感じられる本作、今後も彼らの動向には注意を払って行きたいと思っています。
さて、年末によく聴いていたお気に入り作品、まずはGreta Van Fleeの””The Battle At Garden's Gate”を紹介いたしましたが、この後は、ロックから2作品、ジャズから3作品をピックアップし、お話を進めてゆくことにしたいと思います。
そうしたことで、続いて取り上げるロックの作品は、
英国のネオ・プログレッシブ・ロック・バンドのPendragon、彼らの第5作目となる1996年発表の作品” The Masquerade Overture、邦題『仮面舞踏への序曲』”です。
そのPendragon、1978年に活動を開始、1983年レコード・デビュ-を果たして以来今も活動を続けている歴史のあるバンドだそうなのですけど、その彼等が大きく飛躍し注目を浴びるようになったのは自主レーベルを立ち上げた1991年以降だととのこと。
しかし、彼らにとって、それは商業的に惑わされず自己のサウンドを守るための当然帰結だった思うのですが、一方そうした姿勢が、ただでさえ華やかなロックシーンにあって、その存在が埋もれがちなプログレッシブ・ロックのアーティストの中のあって、その名を隠れがちなものとしてしまっているようにあるのもある意味事実。
そういう私も、IQやArenaの作品を追っていくうちに彼等の存在にヒット、最初はその名からプログレシッブ・メタル系のバンドかと思いながら接してみたところ、プログレッシブ・ロックの大御所であるGenesisの前期と後期が調和融合したような抒情美と心地よい躍動を備えたサウンドの虜になってしまったもの。
ということで、クオリティを求めたその演奏、ここで聴いていただくことにいたしましょう。
曲は、”As Good As Gold”です。
今年は、私にとって実り多かったプログレッシブ・ロック、いろいろ聴いてきた中でもこのPendragonとの出会いは、また格別なものがありました。
来年は、このプログレッシブ・ロック、さらに次世代を担う新生を追い求めつ聴き続けていこうと思っています。
そして、ロック3作目の作品は、
QueenのヴォーカリストFreddie Mercuryとスペインのオペラ歌手Montserrat Caballéによる”Barcelona (Orchestra Version)”。
本作は、1988年にリリースされた同名の作品”Barcelona”のオケを、シンセサイザーを中心とした小編成のバンドから、80人編成のクラシック・オーケストラに替え、2012年に再編集して発表されたものなのですが、かねがねこのMercury・Caballé二人のヴォーカルにはクラシックのフル・オーケストラの方がふさわしく、そうした音源があれば聴いてみたいと考えていた私は、遅ればせながら今年、それがあることを知り即Get!! 聴いてみたのがこの作品。
その結果は、音場空間の広がり増し、その空間に包まれて二人のヴォーカルもくっきりと浮かび上がりさらに深みが増していたというのがその印象。
私としては思い通りの出来に思わずニンマリ、この年末に聴き続けることになってしまったものなのですが、今度は原版発表後24年の時を経て実現したその演奏を、聴いていただくことにいたしましょう。
曲は、Caballéの希望を受けてMercuryが書いた彼女の故郷を歌った名曲”Barcelona”です。
この作品が発表されて以降、1990年代に入るとクラッシック・サイドからのロック・ミュージックへのアプローチが盛んに行われるようになり、英国名門クラシック・オーケストラであるRoyal Philharmonic OrchestraやLondon Symphony Orchestraが、ロックの楽曲を演奏した作品を相次いで発表、さらにはSarah Brightman、Gregorianが登場となっていくのですが、その出発点となったのがこのMercury・Caballéの”Barcelona”ではなかったのかと思うのです。
そうしたことから、2012年にOrchestra Versionとして発表されたこの作品は、Mercuryの偉業をさらに理想的な形で再生した名作と言ってもいいのではないかと考えるのです。
さて、一通りロック作品を取り上げたところで、お次はジャズの作品。
今年は、70年代、80年代に活躍した峰厚介・土岐英史・椎名豊・鈴木良雄・渡辺香津美等、日本人ベテラン・アーティストの近作を中心に聴いてきたのですが、そこで耳を惹かれたのがベテラン人をサポートする若手アーティスト達のフレッシュなプレイ。
中でも気に入りこの年末よく聴いているのが、今年6月に亡くなった土岐英史の下で、晩年の土岐に寄り添いサポートを続けてきたピアニストの片倉真由子のこの作品。
2020年発表の”Plays Standards”。
文字通り、多くのジャズ・アーティストによってカバーされているジャズのスタンダード・ナンバーの演奏集なのですけど、その聴きどころは、ピアニストそれぞれが見せるその曲への解釈と表現アプローチの違い。
そうしたジャズ・ファンの誰もが知る名曲を、女性らしい細やかなやさしさと強靭タッチという相反したイメージで紡ぎ聴かせてくれる彼女の独自のアプローチの心地良さに、好ましさを覚え私が聴いているのがこの作品。
というところで、ジャズ編最初の曲はこの片倉真由子の演奏から聴いていただくこといたしましょう。
曲は、Wynton KellyやModern Jazz Quartetの名演でも知られる”Softly, as in a Morning Sunrise(邦題;朝日のごとくさわやかに)”です。
1990年代の終りより大西順子、木住野佳子、上原ひろみ、山中千尋と世界に通じる女流ジャズピアニストを輩出してきた日本のジャズ界。
この演奏を聴きながら、片倉真由子もその流れを継ぐ者の一人であること確信することになりました。
来年は、今年聴きそびれた、もう一人の女流ピアニスト、峰厚介の下で活動している清水絵理子の作品にも触れてみたいと思っています。
そして、続いて二つ目ジャズ作品は、
ベーシストのCharlie Haden とハバナ出身のピアニストの Gonzalo Rubalcabaによるデュオ作品” Tokyo Adagio”です。
本作は、2005年に東京のブルーノート・ジャズ・クラブで収録されたライブ盤で、Charlie Haden が2014年に亡くなった翌年にその追悼の形で発表されたもの。
ここでピアノを弾くRubalcabaには、1985年にジャズの巨匠Dizzy Gillespieに見いだされ、その後アメリカ渡り1986年にCharlie Hadenとの出会いにより大きく飛躍アメリカでその評価を得ることになったという経歴があることから、この作品では、20年経て、いわば師弟関係にあるとも言える二人の緊密な心の交流が感じられる美しい対話の世界が大きな聴きどころ。
そこで、この二人のその演奏、曲は”En La Orilla Del Mundo”。
まずは、お聴きいただくことにいたしましょう。
Ornette ColemanやKeith Jarrettの下で手腕を発揮してきたCharlie Haden、私は、彼のプレイをKeith Jarrettのカルテットの一員として来日した時、ま近で接したことがあって、そこで見たベースのネックに目をつぶり耳を寄せ静かにベースを奏で歌うような彼のプレイに魅了させられてしまって以来、もっとも好きなベーシストの一人として彼を聴き続けてきたのですけど、ここでもそのプレイは健在で、Rubalcabaのピアノをその歌心を漂わせる王令で敬虔な歌の世界に導いている様子が印象的。
そして一方のRubalcabaも、90年代自己のトリオで見せた超絶技巧ともいえるテクニックは隠し、ひたすら静寂の美の世界紡いでいる。
1年を送るにふさわしい音世界をここに感じました。
さて、ラスト3作目のジャズ作品は、
トランぺッターJohnny Coles の1982年の作品”New Morning”です。
Johnny Colesは、けしてビッグ・ネームとは言えないアーティストなのですけど、1950年代後半のGil Evansのオーケストラのメンバーで、Miles DavisとGil Evansのコラボによる歴史的名盤”Sketches Of Spain”にもその名が見える、地味であるも1960年の”The Warm Sound”や1963年の”Little Johnny C”など今でもファンの間では根強い人気のある名盤を残している、燻し銀の味を持つアーティスト。
私も、”The Warm Sound”で初めて彼のプレイに接し以来、安定したトーンで溌剌としたメロディを奏でる彼のプレイが大いに気に入り、多いとは言えない彼の作品を見つけるたび即Getしてきたのですが、1982年作のこの作品ついては、長らくが発表されていたこと知ることなく、また知った時には入手困難となていたことから聴けないままでにいたところ、ようやく今年になって入手、聴くことが出来たもの。
そして聴いてみると嬉しいことに、Colesの溌剌したトランペットの音色がさも香る、ワン・ホーン作品。
それに加えて、サポートのHorace Parlan のピアノがその味をさらに引き立て絶妙の味わいを残してくれている。
それが、年末の慌ただしさの中で疲れた心にくつろぎを与えてくれる感がして好ましい。
そこで、今度は、やはりそのくつろぎの音、聴いていただきたい。
ということで、曲は"Super 80"でくつろぎのひと時、お楽しみください。
普段は感じていなかったのだけど、こうやって日常聴いている作品を取りまとめ並べ聴いてみると、その選曲の支離滅裂度、節操のなさに、我ながら呆れるばかりなのですが、その日の気分や天候に合わせ聴いていていた結末がこの結果。
これも、いろいろなことに興味を持ち一つ一つを調べ学んでいくこと、これが年をとっても老いず若さを保つ源になっているのかもしれない考えながら、来年もこのスタイルを続けていこうと思っています。
そして、2022年もいろいろな音楽を聴き旅をしながら、また語って行こうと思います。
それでは、2021年にお越しいただいた方、よいお年を!
今年はどうもありがとうございました。
また、明けて、2022年にお越しいただいた方、明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
オーケストラをバックにしても遜色なく映えるFreddie Mercuryのボーカル良いですね♪
by mk1sp (2022-01-02 20:54)
おめでとうございます!当記事で紹介された曲、時間をかけて楽しませていただきます。本年もよろしくお願いいたします。
by yuzman1953 (2022-01-04 23:29)
mk1spさん
本年もよろしくお願いいたします。
初めてCaballéとの共演のことを知った時には、オペラ歌手との共演では、Mercuryが霞んでしまうのではと、思ってしまったのですけど、聴いて対等以上の出来に感動してしまったことを思い出します。
考えてみれば、今やオペラ歌手がメタルのリード・ヴォーカルを務めクラシックとの2足の草鞋を履き活動の例もある時代。
これもMercuryの功績ではないかと思っています。
by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2022-01-05 09:40)
yuzman1953さん
明けましておめでとうございます。
時間をかけて楽しんでいただいているとのこと、毎度の気まぐれ極まりい選曲に、こう言っていただけると大変恐縮です。
今年も相も変わらずこのペースで進んでいくつもりですので、よろしくお付き合いのほどお願いいたします。
by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2022-01-05 09:50)
お早うございます、夜の小町通りにコメントを
有難うございました。
こちらこそ、宜しくお付き合いお願いいたします。
by tarou (2022-01-06 07:10)