初雪残る新年の街角が届けてくれた和楽の響き [仕事の合間に]

松の内も明けて、2022年もいよいよ本格始動。

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年明け早々、コロナ禍 第6派到来の兆しが見えて来たようなとの声も聞こえる、不穏な空気がある新年の幕開けとなったけれど、私の方は、今年は珍しく5日まで休みを取ることが出来、かなりゆっくりとした正月を過すことが出来たところ。

そうしたことから、6日から出社、コロナ騒動が大きくならないうちにと都内の得意先に新年の挨拶回りに出掛けたのですけど........。

しかし、出発の時は曇り空で何もなかったのですけど、外に出て30分ぐらいすると、なにやら空から白いものがひらひらと舞い降りて来る。
まあ、天気予報では都心では薄っすらと雪化粧となる程度でしょうとの報を信じ、客先での打ち合せを終え、外に出てみると降りは衰えずことなく、むしろ勢いも幾分増している様子。

この日は、とにかくロートルの身、この調子では長居をしてはいかなろ禍に出くわすかわからないと、早々に退散。
翌日、氷で滑りやすくなった路面に足を取られぬよう気を配りながら再び都心を訪れたところ、まだお昼前だというのに、まず立ち寄った日本橋界隈はこの通り。

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訪問先で聞くと雪は朝の通勤時にはかなり残っていて難儀したというのですが、それからわずか2時間弱の間にまるで何事もなかったようなってしまっていたとは!!!!

雪の街の情景を見れなかったことにいささかがっかりしながら、気付いてみると、間もなく昼休み。
考えてみれば、午後からは飯田橋方面に行く予定。ならばということで、その空き時間を利用して九段下の靖国神社に立ち寄ることに。

そして到着、入り口の大鳥居の前まで来てみると。

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期待していた、日頃は見れない薄らと雪化粧を残した鳥居の風景がそこにあったのです。



と、ひとまず目的達成、一安心したところで、新年最初の曲をお聴きいただくことにいたしましょう。

お正月というと、何故か恋しくなるのが和楽の音。
そこで、当ブログ聴き初めとなるその演奏は、ヴァイオリン、津軽三味線、篠笛、小鼓からなるユニットの竜馬四重奏による誰もが知るあの名曲で始めることにいたします。




そう、曲は美少女戦士セーラームーンの主題歌”ムーンライト伝説”でした。
楽器の構成から見て、純邦楽のようなサウンドを思い浮かべたのではないかと思いますけど、聴こえて来たのはフュージョンまがいの現代的サウンド。

これだけ聴くと一見受け狙いの連中にも見えますが、その本来の姿は、「日本の伝統楽器の響きを新しい形で伝えたい」をモットーとする革新的ユニット。

という訳で、彼らの音楽、今度はそのオリジナル曲の演奏をお届けすることにいたしましょう。







曲は、彼らのメジャー・デビューとなった2016年の作品”Neo Zipang”から

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”YAMATO”でした。

三味線という朗々と艶やかなメロディを奏でるには不向きと思える楽器と、小鼓という洋楽のリズムにとてもマッチしそうもない楽器を備えたこのユニット、三味線を音階を放なつリズム・セクションとしてに加えてその力をサウンドに生かし、小鼓という音色・音階を自由に操れる打楽器を要し西洋音楽にはない幽玄の境地に導いていってくれる、それらをただ扱うだけでも難しいのにも関わらず、いとも簡単かつ縦横無尽に現代の音の狭間に新しい境地を切り開いている、私としては、その演奏技術の高さとそのセンスの非凡さに、完全に打ちのめされてしまいました。


さて、新年早々、打ちのめされてしまったサウンドをご紹介したところで、仕事の合間に訪れた靖国。
参拝の後、まずは訪れ見に向かったのが、新年のみ立つ神社拝殿横の冒頭写真の大絵馬。

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さすが拝殿前には雪は残っていなかったものの、すぐ横の大絵馬周辺には雪が残っていて、これがまたいい感じ。
この調子なら、いつもとは違う雪の境内そのにも出会えるかもしれないと、足を進めていくと、先に見えた木々の枝に何やら紅いものが!

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確かあの辺りは、小さな梅林があるところ。
靖国の梅は、例年お正月の頃には花をつける早咲きの梅なのだけど、この寒さではさすがにまだだよなと思いながら、あれは花?と半信半疑で傍に寄ってみると、

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間違いなくそれは紅い梅の花。
そして驚いたことに枝についている花の数。
いつもの年なら、まだまばらでようやく咲き始めたなという程度なのに、どの枝も多くの花、蕾をつけている。
新年早々、いいものに出会ったと気を良くして、時間の許す限りさらに境内のみならず江戸城北の丸周辺にまで足を散策することにしたのです。


そこで私の歩いた薄らと雪残る大都会の風景、こんな映像に仕立て上げてみましたので、それを見ながらご一緒に散策することにいたしましょう。



BGMは、ジャズ・クラリネット奏者のTony Scott、尺八 山本邦山、箏 唯是震一による1964年の作品”Music For Zen Meditation And Other Joys(禅瞑想のための音楽)"より、

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”Is Not All One”でした。

この作品のリーダーであるTony Scottという人、Buddy De Francoと並び1950年代を代表するクラリネット奏者として活躍した人で、当時はまだ駆け出しであった、後のジャズ史に輝くBill Evans、Scott LaFaro、 Paul Motianからなる名ピアノ・トリオをバックに従え、彼らを世に送り出すなど大きな功績を残したクラリネット奏者なのですけど、1960年代入ると東南アジアを文化を求め旅をして、特に日本の仏教文化に大きく傾倒し、その精神を自己の音楽に反映することに拘り続けたアーティスト。

この演奏にも、こうしたScottの日本文化への拘りと愛情が感じられます。



さて、新年早々の降雪、北国の人たちはさぞかし大変だったろうと思うものの、日頃喧騒に満ちた都会では、多少難儀はあるものの、街を清浄な空気に包みこみ束の間の風情を感じさせてくれた。

オミクロン株の脅威で始まった2022年。
この雪のようにコロナ騒ぎも、始まりは難ではあるも今年こそはそれを克服し、一夜明ければ平穏が訪れる、そんな年になって欲しいと思います。

NEO ZIPANG
Track list
1.YAMATO
2.暁
3.雫
4.Esperanza
5.#2
6.疾風迅雷
7.春花想
8.ハルカカナタ
9.いにしえの道
10.未来飛航
11.空城の乱

Personnel
竜馬(violin)
雅勝(三味線)
翠篠(笛)
仁鼓(鼓)

Release
2016.07.27


Music for Zen Meditation
Track list
1.Is All Not One? (Tony Scott, Hōzan Yamamoto, Shinichi Yuize)
2.The Murmuring Sound of the Mountain Stream (Scott, Yuize)
3.A Quivering Leaf, Ask the Winds (Yamamoto)
4.After the Snow, the Fragrance (Scott, Yuize)
5.To Drift Like Clouds (Yamamoto, Yuize)
6.Za-Zen (Meditation) (Scott, Yamamoto)
7.Prajna-Paramita-Hridaya Sutra (Sutra Chant) (Scott, Yuize)
8.Sanzen (Moment of Truth) (Scott, Yuize)
9.Satori (Enlightenment) (Scott, Yuize)

Personnel
Tony Scott - clarinet
Shinichi Yuize - koto
Hōzan Yamamoto - shakuhachi

Recorded
February 1964





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コメント 6

mk1sp

明けましておめでとうございます。
尺八の音色と、雪景色と、梅の花、良いですね~♪
by mk1sp (2022-01-16 21:20) 

yuzman1953

お正月にぴったりの選曲ですね。心が落ち着きます。
本年も宜しくお願い致します。
by yuzman1953 (2022-01-18 01:50) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

mk1spさん
本年もよろしくお願いいたします。

尺八の音色、いいですよね。
ここで尺八を演奏して山本邦山という方、この後、ジャズの世界に進出し和楽器の新しい可能性を聴き開き、人間国宝にもなった人なのですけど、この”Music for Zen Meditation”は、その早初期のものなんです。

新境地を切り開いた邦山も凄いけど、米国人でありながら和楽器の可能性を啓示したTony Scottも本当に凄いなと思っています。


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2022-01-22 10:02) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

yuzman1953さん
こちらこそ、本年もよろしくお願いいたします。

私の母が箏を嗜んでいたこともあってか、純邦楽も結構好きでして、お正月になると、どういう訳か無性に和楽を聴きたくなってしまうことから、こうした記事になってしまいました。

今年1年、どういう展開になるかわかりませんが、ひき続きよろしくお願いいたします。


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2022-01-22 10:13) 

tarou

こんにちは、臨港パークにコメントを
有難うございました。
時間が有る時は、山下公園から横浜駅まで
歩きますが、車が走る道を歩かずに移動
できるのが良いです(^^♪
これからも、宜しくお願いいたします。

by tarou (2022-01-22 16:39) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

tarouさん

私も、横浜に行った折は、海を山下公園から桜木町まで歩いて季節ごと変わる風景を楽しむようにしています。

今度行く時は、また別の視点で風景を眺めながら歩いてみようと思っています。

by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2022-01-28 09:17) 

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