久々の解放感の中で聴いていた珠玉のサウンド;Phil Woods ・Live From The Showboat [音源発掘]
3年ぶりにコロナの足枷から解放されたゴールデン・ウィークも終わり。
しかし、コロナの嵐は収束したわけではなく、自由な空気が再び戻って来た人々の活気の中で、また感染の拡大が始まるのではないかという心配の気持ちも湧いて来るのだが。
そうは言っても、かれこれ3年間、何か重い空気をひきずり籠り毎日を過ごして来たことを思えば、解放された空気の中で羽を伸ばしたくなるのは当然のこと。
まあ、こうしたことを繰り返しながらコロナは収束に向かっていくのだろうと思え、今はその収束の第一関門に達したところなのかなと思っているところ。
しかしながら、かく言う私は、こうしてやっとのことで解放された日常を喜びながらも、人出の多い場所は大の苦手。
何処へ行っても人混みだらけはご勘弁と、このゴールデン・ウィークは家で音楽を聴きながらのんびりと過ごしていた次第。
そこで今回は、この休みの間、解放感に浸りながら気に入り聴いていた作品から、
n
アルト・サックス奏者Phil Woodsの作品、 "Live From The Showboat"を聴いていくことに致しまた。
さて、Phil Woodsという人、1940年代に隆盛であったビ・バップの後を受け登場した、楽理的要素を追求したジャズであるクール・ジャズの中心的存在であったLennie Tristanoの影響を受け、1950年代の半ばに登場したアーティスト。
しかし、その演奏スタイルは、Lennie Tristanoと共にい歩んだ同じアルト奏者Lee Konitzとは異なり、その一つ前の世代のビ・バップを生み出しけん引したCharlie Parkerを彷彿とさせるもので、ほぼ同時代に登場したCannonball AdderleyやSony Stitt等共に、偉大なる巨人のジャズ史の残る後継者といわれて来た経歴の持主だというのです。
実はこの私、Charlie Parkerにかなり夢中になっていた時期があって、そこからParkerを継承者と言われる彼らの存在を知り聴き始めたのですが、中でも先の上げた二人がParkerと同じ黒人であったのに対しWoodsは唯一の白人であることに加え、Parkerの死後、Parkerの内縁の妻であったChan Parkerと結婚しParkerの二人の遺児を育てたと人だという興味も手伝って、以来このWoodsを好みよく聴くようになった者なのです
それはさておき、Woodsのこの作品は、1968年に渡仏しThe European Rhythm Machine結成、大きな話題を呼びながらも1972年に帰米した後の1976年録音のもの。
そこで気になるのが、1950年代 Parkerの後継者としてそれを彷彿するプレイをしていたWoodsが、渡仏時には、60年代に現れたフリージャズやロックのエッセンスを感じさせる、またプレイ・スタイルにおいてもこの時期隆盛を極めたJohn Coltraneのテナーサックスの影響を多分に感じさせるスタイルに変貌していたことから、果たして帰米後のそのプレイはどんなものであったのだろうかいうこと。
そした訳で、この作品、まずは1曲!聴いてみようかと思います。
曲は、”Bye Bye Baby”です。
洒落た雰囲気を感じるこの演奏。
この辺りにヨーロッパ的な空気が感じられますけど、そこには、The European Rhythm Machine時代に感じられた気負いの雰囲気は希薄で、軽快なスウィングと爽やかなリラックスをしをもたらしてくれている。
私的には、70年代のWoodsが、音楽的、サックスの音色においても最も脂が乗りっていると思っていて好ましさを覚えているのですけど、この演奏でその感をさら深めることになりました。
ところで、Phil Woodsというとアルト・サックスに専念した作品がほとんどなのですけど、この作品ではアルト・サックス以外にも珍しくソプラノ・サックスをプレイを披露し、それが聴けるのがまたひとつの面白さ。
そこで、今度はそのソプラノ・サックスでプレイをするWoodsを聴いてみたいと思います。
曲は、”Rain Danse”です。
半世紀近く前の演奏だというのに、妙に新しさを感じるサウンド。
ソプラノ・サックスという楽器をポピュラーなものにしたのはJohn Coltraneで、その後登場した多くのアーティストが大きくその影響を濃厚に感じさせるスタイルであったのに対し、Woodsのそれはストレートで美しい歌を歌うジャズの定番となった前者のスタイルとは異なった感じを受けるもの。
これも西欧音楽の手法を取り入れ、現代へ至るジャズへの風を吹き込んだLennie Tristanoの影響なのか、アルト・サックスとは異質の彼のプレーに新鮮なものを感じることになりました。
そして、Lennie Tristanoの影響受けながらCharlie Parkerの継承者としてジャズ・シーン登場地位を築き上げたこのWoods、今回この連休を利用し彼の新旧の作品に接した中で、常に時代の音楽を探求しそれぞれ時代における最良のスタイルを築け上げていった、そうした生き方を教えられたように思いました。
そこで、このライブ作品から、私にそうしたWoodsへの思いに至らせた演奏、1971年発表のStevie Wonder作曲の”"Superwoman (Where Were You When I Needed You)"で、チャレンジ精神溢れるWoodsの姿を聴いてみることに致しましょう。
最晩年に至るまで精力的活動を続け、2015年 83歳でこの世を去ったPhil Woods。
その活動は、ビッグ・バンドの一員としてから、ジャズの範囲を越え Paul Simonや、Steely Danの作品までと幅広く、そのどこにおいても素顔のままで自己のサウンドを紡いでいた。
最後は、そうしたWoodsを偲んで、彼がゲストとして参加したあのロックの名曲を聴きながら終わるこにとしたいと思います。
曲は、Billy Joelの1977年のヒット曲”Just the Way You Are(素顔のままで)”です。
Track listing
Disc 1
1. A Sleepin' Bee
2. Rain Dance
3. Bye Bye Baby
4. Django's Castle (All Mien Almost)
5. Cheek To Cheek
6. Lady J
7. Little Niles
Disc 2
1. A Little Peace
2. Brazilian Affair: Prelude - Love Song - Wedding Dance - Joy
3. I'm Late
4. Superwoman (Where Were You When I Needed You)
5. High Clouds
6. How's Your Mama? (Phil's Theme)
Personnel
Phil Woods - alto saxophone, soprano saxophone
Mike Melillo - piano
Harry Leahey - guitar
Steve Gilmore - bass
Bill Godowin - drums
Alyrio Lima - percussion
Recorded
Recorded on November 2 or 19, 1976
at The Showboat Lounge, Silver Spring, Maryland
しかし、コロナの嵐は収束したわけではなく、自由な空気が再び戻って来た人々の活気の中で、また感染の拡大が始まるのではないかという心配の気持ちも湧いて来るのだが。
そうは言っても、かれこれ3年間、何か重い空気をひきずり籠り毎日を過ごして来たことを思えば、解放された空気の中で羽を伸ばしたくなるのは当然のこと。
まあ、こうしたことを繰り返しながらコロナは収束に向かっていくのだろうと思え、今はその収束の第一関門に達したところなのかなと思っているところ。
しかしながら、かく言う私は、こうしてやっとのことで解放された日常を喜びながらも、人出の多い場所は大の苦手。
何処へ行っても人混みだらけはご勘弁と、このゴールデン・ウィークは家で音楽を聴きながらのんびりと過ごしていた次第。
そこで今回は、この休みの間、解放感に浸りながら気に入り聴いていた作品から、
n
アルト・サックス奏者Phil Woodsの作品、 "Live From The Showboat"を聴いていくことに致しまた。
さて、Phil Woodsという人、1940年代に隆盛であったビ・バップの後を受け登場した、楽理的要素を追求したジャズであるクール・ジャズの中心的存在であったLennie Tristanoの影響を受け、1950年代の半ばに登場したアーティスト。
しかし、その演奏スタイルは、Lennie Tristanoと共にい歩んだ同じアルト奏者Lee Konitzとは異なり、その一つ前の世代のビ・バップを生み出しけん引したCharlie Parkerを彷彿とさせるもので、ほぼ同時代に登場したCannonball AdderleyやSony Stitt等共に、偉大なる巨人のジャズ史の残る後継者といわれて来た経歴の持主だというのです。
実はこの私、Charlie Parkerにかなり夢中になっていた時期があって、そこからParkerを継承者と言われる彼らの存在を知り聴き始めたのですが、中でも先の上げた二人がParkerと同じ黒人であったのに対しWoodsは唯一の白人であることに加え、Parkerの死後、Parkerの内縁の妻であったChan Parkerと結婚しParkerの二人の遺児を育てたと人だという興味も手伝って、以来このWoodsを好みよく聴くようになった者なのです
それはさておき、Woodsのこの作品は、1968年に渡仏しThe European Rhythm Machine結成、大きな話題を呼びながらも1972年に帰米した後の1976年録音のもの。
そこで気になるのが、1950年代 Parkerの後継者としてそれを彷彿するプレイをしていたWoodsが、渡仏時には、60年代に現れたフリージャズやロックのエッセンスを感じさせる、またプレイ・スタイルにおいてもこの時期隆盛を極めたJohn Coltraneのテナーサックスの影響を多分に感じさせるスタイルに変貌していたことから、果たして帰米後のそのプレイはどんなものであったのだろうかいうこと。
そした訳で、この作品、まずは1曲!聴いてみようかと思います。
曲は、”Bye Bye Baby”です。
洒落た雰囲気を感じるこの演奏。
この辺りにヨーロッパ的な空気が感じられますけど、そこには、The European Rhythm Machine時代に感じられた気負いの雰囲気は希薄で、軽快なスウィングと爽やかなリラックスをしをもたらしてくれている。
私的には、70年代のWoodsが、音楽的、サックスの音色においても最も脂が乗りっていると思っていて好ましさを覚えているのですけど、この演奏でその感をさら深めることになりました。
ところで、Phil Woodsというとアルト・サックスに専念した作品がほとんどなのですけど、この作品ではアルト・サックス以外にも珍しくソプラノ・サックスをプレイを披露し、それが聴けるのがまたひとつの面白さ。
そこで、今度はそのソプラノ・サックスでプレイをするWoodsを聴いてみたいと思います。
曲は、”Rain Danse”です。
半世紀近く前の演奏だというのに、妙に新しさを感じるサウンド。
ソプラノ・サックスという楽器をポピュラーなものにしたのはJohn Coltraneで、その後登場した多くのアーティストが大きくその影響を濃厚に感じさせるスタイルであったのに対し、Woodsのそれはストレートで美しい歌を歌うジャズの定番となった前者のスタイルとは異なった感じを受けるもの。
これも西欧音楽の手法を取り入れ、現代へ至るジャズへの風を吹き込んだLennie Tristanoの影響なのか、アルト・サックスとは異質の彼のプレーに新鮮なものを感じることになりました。
そして、Lennie Tristanoの影響受けながらCharlie Parkerの継承者としてジャズ・シーン登場地位を築き上げたこのWoods、今回この連休を利用し彼の新旧の作品に接した中で、常に時代の音楽を探求しそれぞれ時代における最良のスタイルを築け上げていった、そうした生き方を教えられたように思いました。
そこで、このライブ作品から、私にそうしたWoodsへの思いに至らせた演奏、1971年発表のStevie Wonder作曲の”"Superwoman (Where Were You When I Needed You)"で、チャレンジ精神溢れるWoodsの姿を聴いてみることに致しましょう。
最晩年に至るまで精力的活動を続け、2015年 83歳でこの世を去ったPhil Woods。
その活動は、ビッグ・バンドの一員としてから、ジャズの範囲を越え Paul Simonや、Steely Danの作品までと幅広く、そのどこにおいても素顔のままで自己のサウンドを紡いでいた。
最後は、そうしたWoodsを偲んで、彼がゲストとして参加したあのロックの名曲を聴きながら終わるこにとしたいと思います。
曲は、Billy Joelの1977年のヒット曲”Just the Way You Are(素顔のままで)”です。
Track listing
Disc 1
1. A Sleepin' Bee
2. Rain Dance
3. Bye Bye Baby
4. Django's Castle (All Mien Almost)
5. Cheek To Cheek
6. Lady J
7. Little Niles
Disc 2
1. A Little Peace
2. Brazilian Affair: Prelude - Love Song - Wedding Dance - Joy
3. I'm Late
4. Superwoman (Where Were You When I Needed You)
5. High Clouds
6. How's Your Mama? (Phil's Theme)
Personnel
Phil Woods - alto saxophone, soprano saxophone
Mike Melillo - piano
Harry Leahey - guitar
Steve Gilmore - bass
Bill Godowin - drums
Alyrio Lima - percussion
Recorded
Recorded on November 2 or 19, 1976
at The Showboat Lounge, Silver Spring, Maryland
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