昨今聴いているネオ・プログレシッブ・ロックの精鋭たち [音源発掘]

コロナ感染拡大に明け、突然のロシアのウクライナ侵攻、知床での観光船沈没、等と世情を騒がす大きな事件に翻弄され続けているうちに気付いてみれば、2022年も間もなく半年を終えようとしているところ。

毎年この時期、「この間、正月を迎えたばかりなのもう6月、早いものだ!」との感を抱く私ですが、世情の騒がしさも手伝って2022年が半年が過ぎようとしているとの実感が今だ湧いてこないでいるのですが。

とは言っても、暦は6月。
そこで、今年に入ってこれまでUpして来た記事を振り返り見たところ、気が付いたのは今だロックの作品に関するを記事を一つもUpしていないということ。

とは言っても、ロックから遠ざかってしまったわけでもなく、昨今は現在一線で脚光を浴びているネオ・プログレやプログレシッブ・メタル系のアーティスト探し求め、その作品を聴き続けその数も貯まり、お気に入り作品も発見することが出来て来たところ。

であれば一年の半分が過ぎようとしていることでもあり、今回は、そろそろ今年探しあてたお気に入りのロック作品のいくつかを取り上げてみようと思い立ち、記事をUpすることに致しました。

まずその一つ目の作品は.............!!

Mystery Delusion_Rain.jpg


カナダのプログレシッブ・ロック・バンド、Mysteryの2015年発表の6thアルバム"Delusion Rain" です。

そもそもプログレシッブ・ロックとは、1960年代後半から70年代初頭、英国に現れたKing Crimson、Pink Floyd、Yes、Genesis、Emerson, Lake & Palmer(いわゆる5大プログレシッブ・ロック・バンド)等を中心にクラシック・ジャズ・現代音楽などの技法やエッセンスを積極的に取り入れ高度な演奏技術より未知のサウンドを模索し誕生したのがその始まりなのですが、70年代後半に一旦衰退するも、80年代に英国のMarillionをはじめとするネオ・プログレシッブ・ムーブメントの登場により脈々と受け継がれて来た音楽ジャンル。

そのサウンド精神は、今やメタルなどとも融合し英国のみならず全世界に広がり、多くのアーティストが登場しているのですが、私の不勉強のせいかもしれませんが、カナダにこのようなアーティストがいたことはちょっと意外でした。

さて、このMystery、マルチ・インストメンタリストの Michel St-Pèreを中心に1980年代中頃に結成、91年にレコードデビューを果たすも、その後メンバーの入れ替わりが激しく、この作品のメンバーはMichel St-Père以外は全員新加入のメンバーで、ヴォーカリストもこの作品がこのバンドでのレコード・デビューとなる3代目のJean Pageau eraだとのこと。

そして、その彼らが生み出すサウンドは、アコースティック・ギター、フルート、キーボードが織りなすメロウな優しさと安らぎに満ちたもの。

それは、5大プログレシッブ・ロック・バンドYesやGenesisを想起させるものがある等と評があるようですが、Pink Floydファンの私としては、ドラム叩き出すリズムやキーボード・アレンジ、ギターのフレーズの中に、Floydの影響が多分にあるように感じていて、他のネオ・プログレシッブ・ロック・バンドとは一線を画す存在であるように感じているところ。

ということで、まずはそのMystery、ここでそのサウンド、聴いていただくことに致しましょう。
曲は、アルバムのタイトルでもある曲で”Delusion Rain”です。










Pink Floydの影響が多分にあると言いましたが、Floydのサウンドの根底にあった鬱の感覚は希薄で、清涼感を湛えた美しさが際立つサウンド。

総じてネオ・プログレシッブ世代のアーティストに言えることだと思いますが、70年代を席巻した
プログレシッブ・ロックの巨頭たちに感じられた、どこか気負ったような小難しい感覚はなく、ストレートに耳に入り心を和ましてくれるポップな感覚は、このMysteryもネオ・プログレシッブ世代のアーティストだということを実感させられます。



さて、Mysteyをご紹介したとろで、今年探しあてたお気に入りのロック作品。
次なる作品は.......。

ayreon the final experiment.jpg


オランダのハードロック・バンドのVengeance のギタリストであったArjen Anthony Lucassenが主宰するロック・オペラ・プロジェクト Ayreonの1995年発表のデビュー作品 ”The Final Experiment(邦題;エイリオン 時空の探求者)”です。

ロック・オペラというと、70年代登場したThe Whoの"Tommy"や映画として上演された”Jesus Christ Superstar”がその始まりだと思うのですが、それらに対し、この作品は、観劇のようにきっちりとした第1幕から第4幕までの場面設定があり、またヴォーカリストにも配役を割り当てられているというクラシックのオペラと同様の構成が施された、かなり大掛かりでこれまでにない本格的なもの。

まあ、四の五の言うよりは、まずはその楽曲、聴いていただくことに致しましょう。



曲は、”Sail Away To Avalon”でした。
これまで、ロック・オペラというと、オペラという言葉から、どうしても、クラシックのオペラのオーケストラとオペラ歌手が放つ聴衆を圧倒するスケール感を連想してしまい、そのイメージで実際に聴いてみると肩透かしくらってしまう作品が多々あったのですが、このAyreonの作品はそのスケール感を見事に再現、大いなる聴き応えを感じさせる仕上がりが感じられます。


このAyreon、この処女作”The Final Experiment”に始まり、2020年発表の”Transitus”に至るまで11作品を発表しているのですけど、そのどれもが、クラシカルな響きとロックのパワーフルな響きが見事な調和した、まさにロック・オペラと言うに値するふさわしさが感じられるもの。

私の場合、Ayreonの直近の作品から聴き始めたですけど、どの作品もロックのオペラ化に拘り続け質の高い音声空間を生み出しているその姿勢に、このプロジェクトの最初期の様子が気になりこの処女作を聴いてみたところ、その完成度の高さに驚嘆し、ここに取り上げることにした次第。


てなわけで、私としてはこのAyreon、もっと味わていただきたい。
曲は”Ayreon's Fate”、是非聴いてみてください。



60年代後半に英国に誕生し70年代前半に隆盛を極めた、プログレシッブ・ロック。
一旦は廃れたものの、今は全世界に広がって新な道を歩み始めている。

昨今、この種の音楽に接してみて、それぞれが生まれたお国柄がまた違った様式のサウンドを生み出し進化を遂げているということ、それがプログレシッブ・ロックの面白さであることをあらためて認識することになりました。

そして、今は新たな出会い求めてさらに食指を伸ばし、英国のArena、Frost*、イタリアのTemprerance、日本のTeru’s Symphonia、スウェーデンのTherion、カナダのSaga 等々を聴きながら世界を巡っているところ。

年のせいなのか、最近はロックよりジャズを聴く機会の方が多くなってしまっているのですが、やはりロック・サウンドは活力の源、もう少し聴きこんでから随時ご紹介していきたい思っています。



ようやく、西日本も梅雨入りかと思ったら、沖縄は間もなく梅雨明けの兆しが見えて来たとの予報。
沖縄の梅雨が明けると、本土では前線が停滞し大雨による災害の危険性が出て来るということなのですが。

私の住む千葉では、まだまだ鬱陶しい天気の日が続きそうですけど、街を歩くとあちらこちらにこの季節恒例の紫陽花の花も日々色を添え、鬱陶しさの中にもひと時も心に潤いを感じているところ。

IMG_7830IMG_7830.m.JPG


今は、紫陽花のを楽しみながら、大きな災害が発生しないことを祈り過ごすことにしようと思っています。




Mystery "Delusion Rain"
Track listing
1.Delusion Rain Michel St-Père
2.If You See Her Michel St-Père
3.The Last Glass of Wine Michel St-Père
4.The Willow Tree Michel St-Père
5.Wall Street King Michel St-Père
6.A Song for You Michel St-Père

Personnel
Mystery
Jean Pageau - vocals, keyboards, flute
Michel St-Père - electric and acoustic guitars, keyboards
Benoît Dupuis - keyboards
François Fournier - bass guitar, Taurus pedals, keyboards
Sylvain Moineau - electric guitar, 12 string acoustic guitar
Jean-Sébastien Goyette - drums
Additional musicians
Antoine Michaud - guitars
Sylvain Descôteaux - piano

Released
November 1, 2015



Ayreon  ”The Final Experiment”
Track listing
All tracks are written by Arjen Anthony Lucassen.
1.Prologue
 A. The Time Telepathy Experiment
 B. Overture
 C. Ayreon's Quest
Act I: The Dawning
2.The Awareness
 A. The Premonition
 B. Dreamtime (Words Become a Song)
 C. The Awakening
3.Eyes of Time
 A. Eyes of Time
 B. Brainwaves
4.The Banishment
 A. A New Dawn
 B. The Gathering
 C. The Accusation
 D. The Banishment
 E. Oblivion
Act II: King Arthur's Court
5.Ye Courtyard Minstrel Boy
6.Sail Away to Avalon
7.Nature's Dance
Act III: Visual Echoes
8.Computer-Reign (Game Over)
9.Waracle
10.Listen to the Waves
11.Magic Ride
Act IV: Merlin's Will and Ayreon's Fate
12.Merlin's Will
13.The Charm of the Seer
14.Swan Song
15.Ayreon's Fate
 A. Ayreon's Fate
 B. Merlin's Prophecy
 C.Epilogue

Semi-acoustic bonus disc (2005 Special Edition)
1.Dreamtime
2.Eyes of Time
3.The Accusation
4.Ye Courtyard Minstrel Boy
5.Sail Away to Avalon
6.Nature's Dance
7.Waracle
8.Merlin's Will"
9.The Charm of the Seer

Personnel
Ayreon
Arjen Anthony Lucassen - vocals (tracks 7, 10, 11 & 15), guitar, bass, keyboards, synthesizer, drums, percussion, timpani, audio mixing, sleeve design & photography

-Vocalists-
Barry Hay on "Sail Away To Avalon"
Edward Reekers as Merlin on "Prologue," "The Awareness" and "Ayreon’s Fate;" as Ayreon on "The Awareness" and "Ayreon’s Fate"
Ian Parry as Nobleman on "Ye Courtyard Minstrel Boy", "Computer Reign" and as Merlin on "Ayreon’s Fate"
Jan-Chris de Koeijer on "The Banishment"
Jay van Feggelen of Bodine as Merlin on "Ayreon's Fate" and "Waracle"
Lenny Wolf on "Eyes Of Time"
Leon Goewie as Merlin on "Merlin's Will" and "Ayreon's Fate"
Robert Soeterboek as Villagers on "The Banishment" and as Merlin on "Ayreon's Fate"
Ruud Houweling as Ayreon on "The Charm Of The Seer"
Lucy Hillen on "The Charm Of The Seer;" as Chorus on several tracks
Debby Schreuder as Merlin, Women and Villagers on "Ayreon's Fate;" as Chorus on several tracks
Mirjam van Doorn as Merlin, Women and Villagers on "Ayreon's Fate;" as Chorus on several tracks
Irene Jansen (bonus)
Marcela Bovio (bonus)
Peter Daltrey (bonus)
John Cuijpers (bonus)
Esther Ladiges (bonus)
Rodney Blaze (bonus)
Astrid van der Veen (bonus)
Valentine (bonus)

-Keyboards-
Cleem Determeijer (tracks 2-6, 14)
Rene Merkelbach (tracks 4, 6, 11, 12)

-Drums-
Ernst van Ee (tracks 2-4, 6-10, 12, 15)
Davy Mickers

-Bass-
Peter Vink - acoustic bass (tracks 3-4, 7-8)
Jolanda Verduijn (tracks 4, 6, 15)
Jan Bijlsma (track 11)

-Cello-
Marieke van der Heyden
Dewi Kerstens

Released
27 October 1995




nice!(17)  コメント(4) 
共通テーマ:PLAYLOG

nice! 17

コメント 4

yuzman1953

こんにちは。
”Sail Away To Avalon”は良いですね。迫力があってスケールの大きさを感じます。
by yuzman1953 (2022-06-16 16:05) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

yuzman1953さん

スケールを感じていただきありがとうございます。

本当は全曲を聴いていただき、さらに迫力のスケールを感じていただければ良かったのですけど..........
その一端でも感じていたけたこと、嬉しく思います。


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2022-06-16 20:58) 

moriyoko

20年前に聞いていたイングヴェイ・マルムスティーンを思い出しました笑
次のレポート楽しみにしてます
by moriyoko (2022-06-21 15:10) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

moriyokoさん

クラッシック・オーケストラは、もとはヘヴィ・メタル系のギタリストでしたけど、20年ほど前にはクラッシック・オーケストラを従えての作品などを発表しているので
、このあたりにAyreonとの共通項を見たのかもしれませんね。

マルムスティーンを私が知ったのは、クラッシクの音楽雑誌で紹介されたそのマルムスティーンとクラッシック・オーケストラとの共演作品によってだったのですけどね.......。

by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2022-06-22 17:08) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント