新旧Fusionの名手が奏でる硬派のFusion Sound:Randy Brecker, Eric Marienthal:Double Dealin [音源発掘]

2022年も、その前半分が終わり後半へ突入。

それにしても、ウクライナでの戦争に始まり、元首相銃撃事件、そこに異常な猛暑と早々すぎの梅雨明け宣言、そしてコロナ禍の再到来と、世情だけでなく自然現象の方も、いつもの年に増してなにかと騒々しさ満載で過ぎていったこのこれまでの年月。

今は、残りの年月で平穏が戻ってくれればと、ひたすら祈ることにとにしようと考えたところで、今は夏本番

強い陽射し浴びながら、そうした鬱陶しさからの逃れ解放感に浸るには打ってつけの季節。

こうなると聴きたくなるのが、フュージョン系のミュージック[ぴかぴか(新しい)]

そんなわけで、ここのところそうしたフュージョン系のミュージックを探し聴いているのですが、今回の作品は、そうした中で出会った、硬派のフュージョン系のミュージック作品。

Randy Brecker, Eric Marienthal:Double Dealin.jpg

 
トランペット奏者のRandy Breckerとサック奏者の Eric Marienthalによる2020年発表の作品”Double Dealin”です。

この作品、昨年 現代のジャズをけん引してきた偉大なるピアニストのChick Coreaが亡くなった後、これを機に、これまで敬遠していたChickによる90年代のフュージョン系の作品にも耳を傾けてようとChick Corea Elektric Band の作品を聴いていたところ、そこで聴いたサックス奏者のEric Marienthalのプレイが耳に留まり、彼の作品を探してみたところ見つけたのがその出会い。

その作品には相方のメンバーとして、70年代半ば大いになる人気を集めたファンク・バンドの Brecker Brothersを兄のサックス奏者Michael Breckerと共に率いたフュージョン界の大物トランペット奏者Randy Breckerの名も見える。

それは、Chick Coreaにより見出され世に出たアーティストEric Marienthalと、フュージョン、ファンクというジャンルがなかった時代からジャズとロックを融合したブラス・ロック・バンドのBlood Sewat Tearsのメンバーとして活動し、1970年には自己のブラス・ロック・バンドDreams結成し、フュージョン黎明期より後にフュージョンと呼ばれる新たなるジャンルを提示、育てて来たアーティストRandy Brecker、そのフュージョン界のビッグ・スター二人による豪華なコラボ作品ということ。

しかも、2020年のリリース作品。

となれば、この二人のコラボというだけ魅力的なのに、その上直近の彼ら二人のサウンドに接することが出来るのではとあって、居ても立ってもおられず聴いてみることにしたものなのです。


さて、その期待のサウンド、一体どんなものだったか
まずは、ご一緒に聴いてみることに致しましょう。

曲は、”Double Dealin'”です。





Randy Breckerのスカッと抜けるトランペット・ソロの心地良さ。
私の場合、これまでRandyの技量は認めるも、そのソロにここまでの冴えを感じた覚えがなく、ようやくここに来て、これまで思い描いていた彼の真価にやっと出会えた思いで、気分は爽快。

後に続くMarienthalも、その余韻を崩すことなく、しっかりと後を継ぎ演奏全体をまとめ上げている。
さすが、あのChick Coreaが見染め世に出した逸材だけのことがあるなというのがその印象。

それにしても、バックを務めるサポート陣のリズムプレイの重厚かつ切れの良さ。

これはただ者ではない、一体誰なのかと思いそのメンバーに目を通してみると。
そこにあったのは、John PatitucciとDave Wecklの名前。

この二人、Marienthal同様、Chick Coreaに見出され Elektric Bandのメンバーとして活動、後にChickの Acoustic Bandのメンバーとしても活躍したアーティスト。

共に恐るべきテクニックと高い表現力を持つアーティストで、ここでも冴え際立ったサポートで、フロントのRandyとMarienthalを鼓舞しつつ彼らに大いなる刺激を与えている。

ここには、心地良いスタイリッシュなフュージョン・サウンドとは一線画す、本来のジャズらしい緊張感漂う音世界があったのです。


こうした、フュージョン界の新旧コラボによるこの作品、メンバーの全貌とそのサウンドが見えてくると、さらに聴いてみたくなってしまうもの。

ということで、今度の曲は、Randy Brecker作曲の”Sambop”。
早速、聴いていてみることに致しましょう。
     


90年代注目の的となった Elektric Bandの3人と、フュージョン黎明期より活躍するビッグ・ネームによるこの作品、こうやって聴いて行くと皆デビューしてから30年以上の年輪重ね、それぞれのプレーに円熟の味わいが滲み出てきているなという感じ。

そこには、フュージョン的な装いはあるも、それぞれが心の内に隠し持つ伝統的ジャズのスピリットを発散し、硬派なジャズの空気を生み出していると、そんなことを感じさせるものがあるように思いました。


アコースティックなジャズからフュージョン、さらにはクラシックまでと幅広い領域に作品を残したChick Corea。
今回は、その彼の作品を追い見直してみたところ、これまであまり聴いてこなかったフィールドで良い巡り合いにたどり着くことができました。

間もなくCorea没後1年半、この出会いを機会にもう一度Coreaの残した作品を洗い直し、新たな衝撃を探してみようと思います。



Track listing
1. Double Dealin'(Composed By – Eric Marienthal, George Whitty)
2. 3 Deuces (Composed By – George Whitty)
3. Fast Lane  (Composed By – Eric Marienthal, George Whitty)
4. Mind The Fire (For Chuck) (Composed By – Eric Marienthal, George Whitty)
5. Sambop Composed By – Randy Brecker
6.You Ga (Ta Give It) (Composed By – Randy Brecke)r
7.True North (Composed By – Eric Marienthal, George Whitty)
8. The Hipster (Composed By – George Whitty)
9. Jetlagged (Composed By – Ada Rovatti)
10. Habañero ( Composed By – Eric Marienthal, George Whitty)

Personnel
Randy Brecker: trumpet
Eric Marienthal: alto-saxophone, soprano-saxophone
George Whitty: keyboards
John Patitucci: el- bass, acoustic-bass
Dave Weckl: drums

Executive Producer – Danny Weiss

Release Date
August 21, 2020
 
 
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