パンチが効いた歌唱が快い 魅惑の女性ヴォーカリスト;大野えり Studio Live 1980 [デジタル化格闘記]

9月、いよいよ秋。

気象庁お墨付きとなった今年の夏の異常気象。
このままでは、9月になっても年寄りには耐えがたい灼熱地獄の日々が続くのではと心配していたところの、盆明け以降のこの陽気。

まだ、時折夏の残り火が顔を出す日はあるものの、確実に凌ぎやすさは増している。

ならば、当ブログのテーマともなっている、古を訪ねての散策を再開しようかと、まずは私の住む船橋の遺跡辺りから始めてみようと、市が発行する市内遺跡マップを見てみたところ、なんと驚いたことに我家周辺がその遺跡所在地の一つとなっている。

果たして、いつの時代の遺跡だろうかと、その案内を見てみると、ここは縄文の貝塚が眠っている場所だとのこと!!!!!!

そういえば、今、隣の敷地にある集合住宅を建てる前に、市の発掘調査が入る云々の噂が飛んだこともあり、今思えば、それにはこうした背景があったからなのだと遅ればせながらに納得。

確かに船橋という場所、10000年以上前の早期縄文期より人が暮らしていた場所で、多くの縄文遺跡が見つかり発掘されていることは知ってはいったものの、しかし、まさかそれがこんな超身近に存在していたとは、ちょとした驚き。

とは言いながら、考えてみれば、それは、縄文人の暮らした遥か古よりまほろばとも言える良い場所に住んでいるということ。

と、いい気分を味わったころで、なれば、この秋はもう少し私の住む船橋の歴史、もう少し深く掘り下げて調べてみようかなという気になっているところ。


余談はさておき、ちょっとした出来事の展開でいい気分に浸ったところで、今回のお話は。

前回の記事でもお話した、この盆休み中にその昔録りためたライブのカセット・テープ。
その中から、初めて聴いた時よりお気に入りなっていた、この夏も超久々に取り出し度々聴いていた過日のライブ音源から。

大野えり j.jpeg


日本の女性ジャズ・ヴォーカリスト大野えりの1980年のスタジオ・ライブ。
レコード化されていない音源であることから、この際、日々もっと身近に置いて聴きたいとデジタル化し何度も聴き返しているのですが、聴けば聴くほど新たな発見があって面白い。

一人だけでほくそ笑んでいるのはもったいないと考え、ここで、ご紹介させていただくことに致しました。

当時私は、オーディオ評論家 菅野沖彦さんが司会を務めていた”デンオン・ライブコンサート”と言うFM東京のラジオ番組をよく聴いていて、そこで聴くことが出来る日本はもとより来日アーティストたちによるスタジオでのライブ演奏が醸し出す、レコードや公開のライブ・ステージとはまた違った空気を持つサウンドが好きで、ジャンルを問わず毎回聴いていたのですけど、これからご紹介する演奏は、1980年12月にこのラジオ番組で放送され、これが私にとって大野えりとの出会いになったもの。

このライブが行われた頃の日本のジャズ界はというと、フュージョンの波が台頭、渡辺貞夫、日野皓正をはじめ、当時の日本ジャズ界の中堅どころにあった峰厚介、本田武廣 等によるフュージョン・バンドのNative Sonなどが現れ、大いに隆盛を極めていた時期。

さらにヴォーカルの分野でも、いち早くフュージョン作品を発表し波に乗っていた笠井紀美子をはじめ、阿川泰子、アンリ菅野が登場し、ジャズのポピュラー化が進み大きな高まりを呈していた時。

そうした時期に登場したのが、この大野えり。
それまで登場した女性ヴォーカリストとはまた違った、彼女のジャズには打ってつけな硬質な声質と管楽的かつパンチの効いた歌唱スタイルから繰り出されるサウンドで颯爽と登場したアーティストで、このライブは自己のレギュラーグループ Good Questionを結成し、3作目となる作品”Eri”を発表した直後のもので、日本ジャズに新風を吹き込み一躍脚光を浴び上昇の波に乗っていた時期の彼女の姿を捉えたものなのです。


さて、そんな彼女のライブ、私としては、以来その歌唱に好感を持ち続けて来たのですが、かなり久しぶりにそのカセットテープに手を伸ばし聴いたところで、改めて再び大嵌まり。

今度は、このスタジオ・ライブだでけではなく、これまでの発表されて来た彼女の作品も聴きたくなり
、それを探し片っ端から聴く羽目にとなってしまったのですが、こうやって聴き比べてみるとこの一発録りのスタジオ・ライブの躍動感がさらに際立ってくるという按配。

とまあ、こんな調子でかなり熱が入ってしまい一人悦に入る状態となってしまったのですけど、このままでは我田引水とも受け取られかねない。

やはり、この辺で演奏を聴いていただき、その真価を感じていただかねば

ということで、このステージから、まずは1曲。
曲は、”Living Inside Your Love”を聴いていただくことに致しましょう。









この曲、彼女の2作目の作品”Feeling Your Love”に収められいる曲ですが、オリジナルでは聴けない二人のゲスト・ミュージシャンのソロ・プレイが聴けるのが最大のツボ。

その二人とは、この後、日本のフュージョン・バンドのPRISMやドラマー村上“ポンタ”秀一の”PONTA BOX”で活躍することになるピア二ストの佐山 雅弘(p)と、日本の代表的フュージョン・バンドとなっていた本田竹廣率いるNative Sonの初代サックス奏者の峰厚介の後任として1985年より活躍することになるサックス奏者の藤原幹典。

80年代以降、日本のジャズ・フュージョン界の中核となるこの二人のソロが、この曲にジャズらしい緊張感をもたらし、えりのヴォーカルの魅力をさらに引き立てているという感じ。

この辺りにも、また耳を傾けていただければと思います。

さて、この日のスタジオ・ライブ、これまで発表された彼女のアルバム収録曲が中心だったのですが、ただ1曲、オリジナル・アルバムには収められていない、ゲストの佐山雅弘と、レギュラーグループ Good Questionのピアニストである大徳俊幸のピアノをバックにしたジャズのスタンダード・ナンバーの演奏が収められて、フュージョンとはまた違った色合いの、彼女のジャズ・ヴォーカルを聴くことが出来ます

そこで、次は、そのスタンダード・ナンバーの演奏を聴いていただこうと思います。
曲は、”'On Green Dolphin Street”。
ソウルフルなフュージョンとはまた違った、しっとりとした趣の彼女のジャズ・ヴォーカルの魅力をお楽しみください。



私は女性ジャズ・ヴォ―カリストには、硬質で管楽器的な響きを感じる声質であることが一つの要件のように思っている(女性ジャズ・ヴォーカルの巨星、Billie HolidayやSarah Vaughan、Ella Fitzgeraldのヴォーカルにそうした特性があるので、それが固定観念となってしまっているせいなのですけど)ことから、こうしたスタンダード・ナンバーでの彼女の歌唱を聴くと、その特性がより色濃く表れて聴き取れ、その特性を証するかのように80年代半ばには、海外のビッグネームをバックに本格的ジャズ・ヴォーカルに挑んだ作品を発表しているのです。

私に、彼女のヴォーカルに強い思慕を持たす結果を及ぼしたこのスタジオライブ、全部で7曲の演奏が収められているのですが、今回は、この中で、私お薦めの2曲を聴いていただきましたけど、いかがだったでしょうか。

私、お気に入り一押しの日本のジャズ・ヴォーカリストである大野えり。

よろしければ、本場アメリカの著名ベーシストのCecil McbeeとドラムにBilly Hartを迎え、ポップ・スタンダードを歌った彼女の第5作目となる1985年発表の作品”Eri My Dear"や、ジャズの神髄を奏でるHank Jones-Piano、Eddie Gomez−Bass、Jimmy Cobb- DrumsからなるThe Great Jazz Trioをバックに収録された作品”Easy To Love”、ビデオに登場したジャケットの諸作品を一度聴いていただき、さらに彼女のヴォーカルの魅力を楽しんでいただければと思っています。



それにしても縄文遺跡、我家の周辺に遺跡があることを知った途端、ここのところ生活のいたるところで我が家の周り眠る縄文人の導きか、縄文のに関する文物に出くわすことしばし。
まあ、大野えりのヴォーカルでで気分爽快を味わったところで頃合いも良し、この秋は、そのサウンドに乗りながら縄文の勉強をしてみるのもいいのではと、今は考えているところです。


Track listing
1,I Can)t Help It
2.Living Inside Your Love
3.Sweet Alibis
4.Melody In Flight
5.People Make The World Go Round
6.Live Hard, Live Free
7.'On Green Dolphin Street

Personnel
大野えり(vo)
大徳俊幸(p,syn)
作山功二(g)
岡嶋善文b)
鈴木“ウータン”正夫(ds)
Guest Musician
佐山雅弘(p)
藤原幹典(ts)

Recorded
1980-12-28 FM Tokyo







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