ギター音楽の可能性を体現したギタリスト;Larry Coryel; Air Dancing [音源発掘]

前回はネオ・プログレシッブ・ロックの作品を取り上げご紹介させていただきましたが、今回はフュージョンが出現する前より、いち早くジャズとロックを融合したスタイルで登場した、一人の名ギタリストの作品を取り上げることにしたいと思います。

そのギタリストの名前は、Larry Coryell。
1960年代の半ばに登場した人なのですが、その初期より当時はまだ流行歌的扱いであったロックのエッセンスを自らのプレイに取り入れジャズ・ロックというべきサウンドをもって登場した、フュージョンのパイオニアともいえるアーティスト。

そして1967年、当時、新進気鋭のヴァイブラフォン奏者Gary Burtonとのカルテットの一員としてに制作に参加した作品”Duster”での、繊細な美しさを感じさせるBurtonのヴァイブに、衝撃的な荒々しいロック・エッセンスを感じさせるギター・プレイで応酬、これによりその名が大きくクローズ・アップされことになったアーティストなのです。


そうしたCoryell、今回選んだ作品は、

larry Coryel Air Dancing.jpg


1988年のパリでのライブを収めた作品”Air Dancing”です。

実はこの私、Gary Burtonの作品”Duster”でのLarry Coryell のプレイに衝撃を受けを、その後、60年代後半から70年代初頭の彼のリーダー作品のいくつかを聴いたことがあるのですが、どうもそれらの作品は肌に合わず、その後はバンド編成での彼の作品は余り積極的に聴くことはなかったのですけど、

今回この作品を選んだのは、ピアノのStanley Cowellの参加作品を探していたところ、このCoryell との共演作品を見つけ、フュージョンとは縁遠いCowellとCoryell のコラボ、それは一体どんなものかと興味が湧き聴いてみたのがその始まり。

これは、純ジャズのCoryell が聴けるのではと考え、実際に聴いてみると大当たり。

Coryell が、ロック的な荒々しい野性の暴を見せることなく真正面から音楽を語り紡ぎ続けている。
ソロにおける顛末構成力に優れるアーティストの一人という巷の評価の通り、聴き応え応えのある純ジャズ・サウンドがそこから聴こえて来たのです。


それでは、そのサウンド、早速ここで聴いていただくことに致しましょう。





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昨今聴いているネオ・プログレシッブ・ロックの精鋭たち [音源発掘]

コロナ感染拡大に明け、突然のロシアのウクライナ侵攻、知床での観光船沈没、等と世情を騒がす大きな事件に翻弄され続けているうちに気付いてみれば、2022年も間もなく半年を終えようとしているところ。

毎年この時期、「この間、正月を迎えたばかりなのもう6月、早いものだ!」との感を抱く私ですが、世情の騒がしさも手伝って2022年が半年が過ぎようとしているとの実感が今だ湧いてこないでいるのですが。

とは言っても、暦は6月。
そこで、今年に入ってこれまでUpして来た記事を振り返り見たところ、気が付いたのは今だロックの作品に関するを記事を一つもUpしていないということ。

とは言っても、ロックから遠ざかってしまったわけでもなく、昨今は現在一線で脚光を浴びているネオ・プログレやプログレシッブ・メタル系のアーティスト探し求め、その作品を聴き続けその数も貯まり、お気に入り作品も発見することが出来て来たところ。

であれば一年の半分が過ぎようとしていることでもあり、今回は、そろそろ今年探しあてたお気に入りのロック作品のいくつかを取り上げてみようと思い立ち、記事をUpすることに致しました。

まずその一つ目の作品は.............!!

Mystery Delusion_Rain.jpg


カナダのプログレシッブ・ロック・バンド、Mysteryの2015年発表の6thアルバム"Delusion Rain" です。

そもそもプログレシッブ・ロックとは、1960年代後半から70年代初頭、英国に現れたKing Crimson、Pink Floyd、Yes、Genesis、Emerson, Lake & Palmer(いわゆる5大プログレシッブ・ロック・バンド)等を中心にクラシック・ジャズ・現代音楽などの技法やエッセンスを積極的に取り入れ高度な演奏技術より未知のサウンドを模索し誕生したのがその始まりなのですが、70年代後半に一旦衰退するも、80年代に英国のMarillionをはじめとするネオ・プログレシッブ・ムーブメントの登場により脈々と受け継がれて来た音楽ジャンル。

そのサウンド精神は、今やメタルなどとも融合し英国のみならず全世界に広がり、多くのアーティストが登場しているのですが、私の不勉強のせいかもしれませんが、カナダにこのようなアーティストがいたことはちょっと意外でした。

さて、このMystery、マルチ・インストメンタリストの Michel St-Pèreを中心に1980年代中頃に結成、91年にレコードデビューを果たすも、その後メンバーの入れ替わりが激しく、この作品のメンバーはMichel St-Père以外は全員新加入のメンバーで、ヴォーカリストもこの作品がこのバンドでのレコード・デビューとなる3代目のJean Pageau eraだとのこと。

そして、その彼らが生み出すサウンドは、アコースティック・ギター、フルート、キーボードが織りなすメロウな優しさと安らぎに満ちたもの。

それは、5大プログレシッブ・ロック・バンドYesやGenesisを想起させるものがある等と評があるようですが、Pink Floydファンの私としては、ドラム叩き出すリズムやキーボード・アレンジ、ギターのフレーズの中に、Floydの影響が多分にあるように感じていて、他のネオ・プログレシッブ・ロック・バンドとは一線を画す存在であるように感じているところ。

ということで、まずはそのMystery、ここでそのサウンド、聴いていただくことに致しましょう。
曲は、アルバムのタイトルでもある曲で”Delusion Rain”です。








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