希望の年への願いこめて;Bridge Over Troubled Water・明日に架ける橋 [名曲名演の散歩道]

お正月も今日で3日目、今年は元旦が日曜日だったのでお休みは少なめ、明日からお仕事という方も多いと思いますが、いかがお過ごしなされたことでしょうか。

さて、かく言う私も、明日から仕事なのですが、その前に今年初めの音楽の話題。
昨年は、震災をはじめ大きな暗い出来事に振り回された年だったなと思いながら、元旦に新聞を読んでいると目に入って来たのが、天皇陛下の「新年のご感想」。

その中にあった「今年は、復興に向けて様々な計画を立て、将来への指針を選択していく年」というお言葉.
実にその通りだ思いつつ、今年は明日への希望に繋がるような意義のある年になって欲しいものだと思い、そこから浮かんで来たのが、この曲だったのでした。



サイモンとガーファンクル、1970年に発表の、”Bridge Over Troubled Water・明日に架ける橋”。
今や知らぬ人がいないというほどの名曲ですが、この曲の発表されたこの時代、時は、ロックがサイケデリック・ロック~ニュー・ロックへと急成長を遂げる中、讃美歌のような神聖さと、静けさと裏腹にある強い説得力に、当時は、その新鮮さに大きな衝撃を覚えたものでした。

ゴスペル的響きを持つ祈りの空間と、後にさだ・まさしをして、アメリカでのレコーディングを決行させたジミー・ハスケルの手によるカラッとした明るさを持つストリングス、それらが醸し出す微妙な音の色彩から、強いインパクトを受けたことが思い出されます。



さて、この曲、これまで多くのアーティストがそのカバーを手掛けて来ていますが、今日はその中でもちょっと変ったところで、ジャズのアーティストによる演奏、そのいくつか取上げお話をしていきたいと思います。

実はこの曲、ジャズの素材としては、ちょっとアプローチしにくい曲のようにも思えるのですが、その辺は一流のインプロバイザー達。
それぞれ独自のアプローチでどう料理していくのか、そのへん、じっくりとお楽しみいただきたいと思います。

それではまず最初は、テナー・サックス奏者のGeorge Adamsの演奏 。



ブルジーな香りが漂う演奏、テナーの落着きはらった音色が、印象的ですね。
この、ジョージ・アダムスという人、ご存知の方少ないかと思いますが、この曲を収めた1988年のアルバム”
Nightingale”は、当時ジャズのアルバムとして、かなり話題になった作品。

この曲の他、 ”この素晴らしき世界”、”バークリー広場のナイチンゲール ”や、”ムーン・リヴァー”等、お馴染みの名曲を、渋いでテナー語っている味わい深いアルバムです。

nightingale george adams.jpg


二人目の演奏者は、美しい音色と華麗なるテクニックを兼ね備えた、現在最高のフルート奏者と言われているHubert Laws。
そのソウルフルなフルート演奏を聴いてみましょう。



2002年、サイモンとガーファンクルの曲の演奏で構成した作品、”Bridge Over Troubled Water”からの演奏。

hubert laws 明日に架ける橋.jpg


ゴスペルの味を満々と湛えたフルートというのも、またいいものだと思います。

サイモンとガーファンクルの曲の演奏で構成した作品といえば、もう一方。
あの、Take Fiveで有名なこの方も、こんな演奏を残しています。

http://nicoviewer.net/nm8443618

Dave Brubeck Quartetで一世を風靡したアルト・サックス奏者Paul Desmondの1969年の作品、”Bridge Over Troubled Water”からの演奏。

こちらは、白人らしく、さらりとした清楚感漂う演奏。
甘い美しさを持ったアルトの音色は、ここでも健在です。


ここまで、3人の器楽奏者の演奏を聴いてまいりましたが、お次はヴォーカル。
”愛は面影の中で”、”やさしく歌って”のヒットで有名なRoberta Flackの歌を聴いてみましょう。



1971年彼女の3作目の作品”Quiet Fire ”からの演奏。

roberta flack Quiet Fire.jpg


デビュー前は教会のコーラスで賛美歌を歌っていたという彼女。
遅めのテンポで歌われるこの曲も、どこか讃美歌のような祈りの風景がこもっているように感じられます。



さて、こうして聴いてきた明日への希望への祈りの歌。
今年という年、その希望の明日への礎となるように、ひとつひとつを大切に暮らしていきたいものだと思います。
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コメント 7

マチャ

どれも素晴らしい演奏ですね。
Hubert Lawsのフルート演奏が気に入りました。
by マチャ (2012-01-04 22:08) 

老年蛇銘多親父

マチャさん

フルートの音色がアート・ガーファンクルの繊細なヴォーカルと重なって聴こえる、そこの良さを感じるのかもしれませんね。
by 老年蛇銘多親父 (2012-01-05 06:11) 

せいじ

ロバータ・フラックの歌声に聴き惚れました。
しかし笑えるジャケット写真ですね!
by せいじ (2012-01-05 19:43) 

powapowa

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします<(*_ _)>

どのアレンジもとても素敵ですね!
フルートの曲を聴いて、尺八と琴で和風のアレンジも
良いだろうな~と思いました。
最後のボーカルは本当に「祈りの曲」という感じに
なっていますね。
by powapowa (2012-01-05 22:42) 

老年蛇銘多親父

せいじさん

実は、フラックの歌、初めて聴いた時はピーンとこなくてね。

しかし、何故か耳に残って、以来愛聴しているのですが。
私も今回、久々に聴いたけど、心に残りますね。

ジャケットは真剣に考えたことありませんでしたが、確かにちょっと変ですね。
by 老年蛇銘多親父 (2012-01-07 09:35) 

老年蛇銘多親父

powaちゃん

尺八と琴の”明日に架ける橋”、そういえば尺八の”ジュピター”を聴いたことありますけど、そこから連想すると結構いいかもしれませんね。
by 老年蛇銘多親父 (2012-01-07 09:41) 

老年蛇銘多親父

ねこのめさん
R8さん
こーいちさん
mk1spさん
TAMAさん
marthaさん
thisisajinさん
抹茶さん
ヒサさん
かなっぺさん

皆さんどうもありがとうございます。
by 老年蛇銘多親父 (2012-01-15 10:56) 

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