カナダから出現したプログレ・メタルの新生・Inner Odyssey:The Void [音源発掘]

コロナ嵐が治まり、やっとのことで,心置きなく自由を謳歌できるかと思われた今年のお盆休み。

しかし、そこに待っていたのは予期せぬ二つの台風到来。
おかげで、この騒ぎに巻き込まれ、予定を変更したり悪くすれば足止めを食らったりと、その対応に疲れ果ててしまった人も多かったのではと思います。

その言う私の方は、この休み、帰省しなければならない田舎があるわけでもなく、わざわざ暑さを押して混み合う場所へ出掛けることもないしと、これを期に、盆前外に出ずっぱりの仕事の連続で疲れてしまった体を癒そうと、家で音楽を楽しみながらゆっくりと休養をすることにしたのですけど。

しかしながら、とは言っても、ただボケッとしてられない性分の自分。

ここのところジャズばかり聴いていたので、たまにはロックをと思い、ゆっくりと休養するはずがドタバタと、これまで聴いたことないロック作品を探し出し聴くことになってしまったのです

そして、これイケると感じ出会ったのがこの作品。

InnerOdyssey-TheVoid.jpg


カナダのプログレッシブ・メタル・バンドInner Odysseyによる2020年発表の作品”The Void”です。

休養を忘れて見つけたこの掘り出し物
なれば、皆さんにも是非とも聴いて頂きたいということで、今回はこの”The Void”をご紹介することに致しました。

さて、このInner Odyssey、2007年にギタリストのVincent Leboeuf Gadreauによって結成され。2011年に1stアルバム”Have a Seat”でCDデビューしたバンドなのですけど、本作は、”The Void”は2015年発表の2ndアルバムである”Ascension”に続く2020年発表の第3作目の作品。

一聴して好きになったこのサウンド、私も彼らを聴くのは初めてということもあって、どんな連中かと調べてみたのですけど、しかし、ネットを見ても記事は少なく動画も少ない。
上記以外にわかったことは、彼らが大きく影響を受けたのは、Dream Theater、Symphony X、Riverside、Portcupie Tree等のプログレ界のビッグ・ネームの連中だった言うこと。

そうしたことから私も、1stアルバムから最新作の3rdアルバムまで一通り聴いてみたところ、確かに1stアルバムには、これらプログレ界のビッグ・ネーム(特にDream Theater)の影響の痕跡が大いに感じられたものの、2ndアルバム以降からは、その影響の痕跡は薄くなり、急速に、アコースティックな側面を備えた独自の路線が濃厚となって来ている様子。

なんとも好ましいそのスタイル、おかげで、そのオリジナリティを指向する彼らのサウンドに、私は、釘付けとなることになってしまったのでした。


いろいろ御託を並べてしまいましたが、まずはInner Odyssey、なんと言っても、やはり話よりその音をに触れるのが一番。

そこで、曲は、数少ない動画の中から見つけた、スタジオライブの演奏で”Into the Void”。
まずは、聴いてください。



さあ 聴いてみましょう!!!!


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地味ではあるも1950年代ジャズといえばこの人あり:kenny Dorham・Short Story [音源発掘]

前回の記事の最後に、「この調子では、この夏はどっぶりと50年代ジャズに浸ることになってしまいそう。」と書きましたけど、以来50年代のジャズ・サウンドの心地良さが耳に残ってしまい、おかげで我がライブラリにある50年代のジャズ作品を物色し、かたっぱしから聴きまくったかと思えば、気になればそのアーティストの生い立ちを辿り、未試聴の作品を探し出し聴いてみたり。

そこで、今回の作品は、そうしたことをしながら探し見つけた作品から、昨今、何度も繰り返して聴いている、この作品をご一緒に聴いて行くことにいたしました。

kenny Dorham Short Story.jpg

その作品は、トランペッターkenny Dorham、1963年制作の” Short Story”。

その作品の主役のkenny Dorhamと言う人、ジャズに大きな影響与え、その在り方を大きく動かすことになったアーティストではないのですけど、50年代半ばに出現しその後ジャズをリードすることになるThe Jazz Messengersの初代トランぺッターであり、Charlie ParkerやThelonious Monk, Max Roach等、ジャズ・ジャイアントと呼ばれる人たちの下でサイド・マンとして数多くのレコーディングに参加、その軌跡を残す共に、彼自身もリーダーとして”Afro-Cuban”や”Quiet Kenny(邦題;静かなるケニー)”等の名作を残している同時代を代表するトランぺッター。

しかし、50年代と言うと、トランぺッターとしてはMiles DavisやClifford Brownが華々しく活躍し脚光を浴びていた時期。

それに比べるとDorhamの存在は、一歩引っ込んだ感じで人気の方は今一つ、世間では長らく1.5流のアーティストだとの評価を受けて来たというのです。

しかし、そうした世間の評価、私がDorhamに注目するようになったのが、1940年代Miles Davisの後任としてCharlie Parker クインテットに参加した演奏だったこともあって、私にとっては、地味ではあるけれどその人柄を感じさせる暖かく堅実なプレイに、当時のどこか稚拙な感じがあったMiles Davisにはない安定感を感じ、以後ずっと好感を持ち聴き続けて来た-アーティスト。

そうしたことから、その良さを再度見つめ直したいと、50年代のジャズに取り憑かれた今回、50年代と言えば真っ先にkenny Dorhamだと、それまで聴いていなかった彼の作品を物色、そこで出くわしたのがこの作品だったのです。


こうして出会ったこの作品、私がまず気を引かれたのは、ライブであるこの作品のレコ-ディングが行われた場所。

それは、デンマークはコペルハーゲンにある"Jazzhus Montmartre"と言うジャズハウスなのですけど、この”Montmartre"、1960年代アメリカのジャズの潮流が大きく変わり、それまでの隆盛をきわめたバップが衰退する中、多くのアメリカのバップ世代のアーティストたちが渡欧、多くのバップの名演が残されたという、欧州におけるジャズの聖地ともなっている場所でだったということ。

そして、さらに興味を引かれたのはDorhamをサポートするメンバーの顔ぶれ。
ピアノには、欧州のジャズを世界に広めたという評価のあるスペイン出身の盲目のピアニストTete Montoliu、そして、ベースとドラムには、後にピアニストのKenny Drewと共にこの"Jazzhus Montmartre"のハウス・ピアノ・トリオのメンバーとして活躍するベーシストののNiels-Henning Orsted PedersenとドラムのAlex Rielの名があったこと。

と、ここまで来ると、かなり以前より長き渡りこの”Montmartre”でのKenny DrewのトリオとDextor GordonやJohnny Griffin等のセッションの熱いサウンドに親しみ愛聴しで来た私にとっては、居ても立ってもいられない気持ち。

これは聴かずには終われないという様になってしまった訳ですが、それはともかく、大きな人気を博し高い評価を得た脚光を浴びたライバルたちに対し、いささか地味ではあるもいぶし銀の味わいがあると、現在に至るまで根強いファンを引き付けて来たkenny Dorhamというアーティスト。

この作品は、アメリカを離れヨーロッパの地という曇りない環境で、それまで過小評価気味であったDorhamのライバルたちにも勝るとも劣らない真の力量を見せつけた一枚だと思うのです。


それでは、待望の彼の真の姿を宿したサウンド、ここで皆さま方にも聴いて頂くことに致しましょう。




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