スパイスはアフリカの土の香り:Osibisa・Woyaya [音源発掘]

一時期、再び流行が騒がれ始めたコロナとインフルエンザ。

インフルエンザの方は、一時は小学校の学級閉鎖が相次ぎ大きな騒ぎとなっていたのだけど、どういう訳かここのところは、そのニュースもあまり聞かなくなってしまって。

11月にも夏日があった今年の異常気象のせいでインフルの方も活動が鈍ってしまったせいなのか、一応その流行が報じられなくなったのはとういのは良いことなのだけど。

しかし、コロナの大流行に明け暮れたここ数年、インフルが陰を潜めてしまっていたことを考えると、人々のインフル対する抵抗力も弱まっているように思え、これから訪れる冬には大流行となる恐れもあるのではと、ちょっと心配。

とにかく、”備えあれば憂いなし” か.....?


まだまだ油断できないコロナとインフル、来たる冬、そこでの流行の恐れに備えて、今は、しっかりと予防接種を受け日々の手洗いうがいを欠かさぬようにしているところ。

と、御託を並べながら、憂いが残る日常の中で今回取り上げる作品は、 

1960年代後半にロンドンで結成された、アフリカはガーナ・ナイジェリア、そして西インド諸島 出身の在英メンバーによる、アフリカの香り漂わせたロック・バンドの音楽。

バンドの名は、Osibisa。
その彼らの作品の中で今回選んだ作品は、その昔私が、友人より教えてもらい彼らのサウンドに初めて接することになった思い出の作品。

Osibisa Woyayacover.jpg


1971年発表の彼らの第2作目の作品、”Woyaya”としました。

今回、こうした昔の作品を思い出したのは、前々回ご紹介したMaduraを聴いたところ、その昔聴いた時にはわからなかった新な良さを感じたことから、その昔聴いたもののそれっきりとなっている作品を、今もう一度聴き直してみるのも一興と考え、記憶を辿ってみたところ思いあたったのがこの作品。

この作品、私が、初めて彼らのこの作品を聴かせてもらった時は、確かにアフリカの土着的色合いとロックが融合した面白いサウンドだなと感じたものの、当時は、アフリカ人によるロック・バンドという面ばかりが強調PRされていたこともあって、これは、ちょっと際物ではないかとの印象を強く持ってしまい、その後は半ば忘れかけてしまっていたもの。
土の香りがする
しかし、最初に聴いた時に感じたアフリカの土の香りが、強く脳裏に刻まれてしまっていたこともあって、今回、数十年の時を経て再び彼らを聴いてみると、そこで耳したのは、アフリカの土の香りとロックが破綻することなくブレンドした極めてクォリティの高いサウンド。

思いもよらなかったその出来に、今更ながら、
これは、ただ者ではない!!!!、と驚嘆し、

一体、何者なんだと、彼らについて調べてみると、

このバンド結成の中心人物であるヴォーカル、テナー・サックス、フルート、パーカッション担当のTeddy Oseiは、60年代初めに音楽活動を開始、その英国に渡りガーナ政府から助成金を得て正式に音楽教育を受けた人物だとのこと。

そして、その彼が英国での修行終了後、新たな活動を開始するべくガーナで活動を共にしていたトランペット、ヴォーカル、パーカッション担当のMac Tontohとドラムス、、ヴォーカル、パーカッション担当のSol Amarfioを英国に呼び寄せ、アフリカ民族音楽と西欧音楽の融合を目指し1969年に誕生したのが、このOsibisaだというのです。

それでは、彼らの目指した西欧音楽と土俗的アフリカ融合の結晶、まずは聴いて頂くことに致しましょう。

曲は、この作品の冒頭を飾る” Beautiful Seven”です。





この演奏、まず聴いて思い出したのが、彼らのデビューとほぼ同時期にデビューしたSantanaのこと。

そもそもロックという音楽、黒人の音楽であったブルースやR&Bに魅せられた白人たちがその模倣をしたことに始まり、その後クラシックやジャズなどの異なるジャンルの音楽を吸収して、新たなスタイルを生み出し発展して来た音楽なのですが、70年代初めになると民族音楽へのアプローチも盛んになり、そうした風潮の中、アメリカでラテンとロックを融合したサウンドを引っ提げ登場、大きな成功を収めたのが、Santana。

そしてもう一方のOsibisaは、英国にてアフリカ民族音楽とロックを融合したサウンドを引っ提げ登場したバンド。

ところが、SantanaとOsibisaの両者、共にそのルーツは違えども、そのサウンドに、強烈なパッカーションとどこか哀愁を感じさせるメロディといった特徴を備えているというあたりに、そのサウンドの底流には同質のエッセンスが流れていると感じたことが、こうした連想を生んだようなのです。

しかし、そうした似たエッセンスを持つOsibisaとSantanaですが、大きな違いはパッカーションのリズム質感。

洗練された情熱的な香りを放つSantanaのリズムに対して、Osibisaのそれは芯が太い野生的な響きを持つ、極めて土俗的な香りに包まれた感のあるリズム。

さらによく聴いてみると、共にジャズのスタイルも大きく吸収していも、Santanaの方はロック的要素の方がより強く前t面に現れているのに対して、Osibisaの方は、ジャズ的要素の方がより強く前面に出て来ているという違い。

この辺り、ジャズの本場アメリカのSantanaとロックの本場英国のOsibisaとの立場が逆になっていて、ちょっと面白いなと思いました。

それでは、OsibisaとSantana、妙な御託を述べてしまったところで、主役のOsibisa、ここで彼らのアフリカの風土とジャズ、ロックが融合したサウンドを、再びお楽しみ頂くことに致しましょう。
曲は、”Rabiatu”です。



日本では、Santanaに比べ知名度の低いOsibisaですが、この作品以後もコンスタントに作品を発表、2009年までの長きに渡り活躍、全17作品を残しているアーティスト。

それは、お聴きなって納得されたと思いますが、土俗的なアフリカのサウンドと西欧のジャズ・ロックを破綻なく融合させた特異な存在として根強いファンを獲得して来たことの証。

私も、今回彼らをしっかりと聴いてみて、半世紀も前の彼らのサウンドに、その後のファンク・フュージョン・ソウルへのエッセンスが多く秘められていることに気付かされ、その特異性により、彼らが後の音楽界に及ぼした大きな影響を感じることにことになりました。

そうしたOsibisa、最後にもう一つの彼らの魅力である、文明とは一線画した素朴な一面をご紹介したいと思います。
曲は、”Woyaya”で、心に染み入る素朴な歌の世界に浸ってください。



若き日に聴き、放置したままにしていたOsibisa。
今回は、その昔聴かしてもらた彼らの音楽に接してみて、ロックという音楽が抱える多様性の、これまで知らなかった一面に出会うことが出来たように思います。

ここ当分の間は、Osibisaの音楽の軌跡、さらに聴き進めて彼らの音楽世界の深淵に浸ってみようかと思っています。


いつまでも、終わりが見えなかった今年の夏。
この調子ではいきなりの冬の訪れとなるのではと思っていたら、その通りの季節の様相。

既に体調を崩している人も多いようですけど、我が身もくれぐれも体調の管理には気を付けて過ごさねばと考えています。



Track listing
1.Beautiful Seven Osei, Tontoh
2.Y Sharp Osibisa
3.Spirits Up Above  Roland Kirk
4.Survival Tontoh, Osei
5.Move On Richardson
6.Rabiatu  Amao
7.Woyaya Amarfio

Personnel
Osibisa
Teddy Osei – tenor saxophone, flute, African drums, percussion, vocals
Sol Amarfio – drums, fontomfrom, bongos, African drums, cowbells, percussion, vocals
Mac Tontoh – trumpet, flugelhorn, cowhorn, kabasa, percussion, vocals
Spartacus R (Roy Bedeau) – bass guitar, prempensua, assorted percussion
Wendell Richardson – lead guitar, vocals
Robert Bailey – organ, piano, timbales, percussion, vocals
Loughty Lasisi Amao – tenor saxophone, baritone saxophone, flute, congas, fontomfrom
Osibisa choir – friends and lovers

Recorded
1971 Air Studios, London



Woyaya

Woyaya

  • アーティスト: Osibisa
  • 出版社/メーカー: Reper
  • 発売日: 2008/10/24
  • メディア: CD





Welcome Home -Digi-

Welcome Home -Digi-

  • アーティスト: Osibisa
  • 出版社/メーカー: Talking Elephant
  • 発売日: 2019/05/10
  • メディア: CD



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mk1sp

力強いアフリカンな音楽ですが、どこか温かみのある音楽♪
身体が温まりそうで、寒い冬には、効果がありそうですね(笑)
by mk1sp (2023-11-18 21:27) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

mk1spさん

彼らを聴き出したのは、まだ暑い時期だったのですけど、この記事を書き終えたら急に寒くなってしまってね。

そこで、身体が温まりそうとのコメント。
ならばと、試しに彼らの作品を聴いてみたところ、なんとなく体が温まるような感じがするような。(笑い)

おかげで、この冬は寒さ対策を兼ねて、Osibisaのその他の作品も聴いてみることにしようと思うようになりました。

by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2023-11-19 10:54) 

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