異色のコラボが生んだ不朽の名盤:Kenny Burrell & John Coltrane [音源発掘]

今回の作品は、愛聴盤として若き日より聴き親しんで来たこの作品。

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ギタリストのKenny Burrell とジャズの巨人 John Coltranが共演した1958年制作の作品、”Kenny Burrell & John Coltrane”です。

この作品、愛聴盤と言いながらここ数年はほとんど耳していなかったのですが、ここのところの連日の異常な暑さ、毎日の通勤もちょっと動くだけで汗が噴き出、心がめげてしまうという有様。
ならば、軽快な音楽を聴きながら気持ちに弾みつけて乗りきればと考え、思い当たったのがこの作品。

まずはその感触、1曲お聴きいただき味わって頂くことに致しましょう。
曲は、ここでピアノを弾いている名手Tommy Flanagan作曲の”Freight Trane ”です。



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フュージョンの源から巣立った不世出のトランぺッター:Lew Soloff・Rainbow Mountain [音源発掘]

前回の記事の最後に、これからは、Blood, Sweat & Tearsで出会ったアーティストたちのその後の軌跡を探して、また聴いてみようかと考えているとお話をいたしましたが、さっそく実行。
今回は、前回のLarry Willisに続くその第2弾。

その作品は、1968年から1973年まで、このBlood, Sweat & Tearsのトランペットを担当したLew Soloffの1999年の作品

Lew Soloff Rainbow Mountain.jpg


”Rainbow Mountain”をご紹介することにしました。


と言ったもののBlood, Sweat & Tears(以下略してBS&T)、その全盛は遡ること半世紀前の1970年代。
そんな昔のことであるので、今では語られることもほぼなく、一体どんなアーティストなのかとお思いの方も少なくはないではと思います。


そこで、まずはそのBS&Tのこと [exclamation×2]

その始まりは、1967年。
ロックが時代をリードするミュージックとしてシーンに躍り出た、所謂ニューロック・エイジ黎明期、アメリカンにおいて、そのけん引役ともいえる存在だったキーボード奏者でソングライターであったAl Kooperによって、3名からなるブラスセクションをレギュラー・メンバー加えた、当時としては斬新な編成のバンドとしてデビューしたのがその始まり。

そのバンド、翌1968年には「”Child Is Father to the Man(邦題;子供は人類の父である )”でレコード・デビューをしたのですが、その直後、バンドの創始者であるAl Kooperが、バンドから追放ブラスセクションの一角も崩れ、バンドはAlの後任のヴォーカルとトランペット・セクションに新たメンバーを迎え再出発。
この年の12月に第2作目となる作品” Blood, Sweat & Tears(邦題;血と汗と涙)”を発表することになります。

そして、大胆にロックとジャズ,さらにはクラシックまでも融合させたこの作品、フュージョンなどという感覚がまだなかったこの時代、当時としてはかなり先進的で大きな反響を呼び、これもってBS&Tは、ブラス・ロック元祖としての地位を確立することになったバンドなのです。

そのこと、さらに、今の視点から見てみると、その試みがその後フュージョンやファンク、ソウル等の現代に続くジャンルを越えた音楽の生み出す礎になっており、忘れ去られたと言えど大きな歴史転換点を生み出す原動力となったバンドだと考えるのです。


それではその忘れられているBS&T、ここで1曲聴いて頂き思い起こしていただくことに致しましょう。
曲は、作品” Blood, Sweat & Tears(邦題;血と汗と涙)”から、彼等最大のヒット曲となった “Spinning Wheel”です。



聴き覚えの感触、いかがだったでしょうか。

ここでトランペット・ソロを取っているのが、今回ご紹介するLew Soloffです。


さてBS&T、この曲の収められた作品” Blood, Sweat & Tears(邦題;血と汗と涙)”以後、メンバーチェンジを繰り返しながら1980年”Nuclear Blues”、計10枚の作品を残しているのですが、その間、その後のジャズ界の礎となる多くの著名ジャズ・アーティストを輩出し続けているのです。

ちなみに、その名を挙げてみると、前回取り上げたLarry Willis、今回のLew Soloffの他に、フュージョン・トランペット界の重鎮であるRandy Breckerや、エレクトリック・ベースの革命児で伝説のフュージョン・バンドのWeather Reportに新しい息吹を吹き込んだベーシストJaco Pastorius、ジャズ・サックスの重鎮として今再評価をされ多くのファン獲得しているJoe Henderson、後にMiles Davisのバンドで活躍するギタリストのMike Stern等々、70年代以降のアメリカ・ジャズ界に名を刻んだ面々の名が連なり見えてくる。

そうしたことからも、このBS&T、今は半ば忘れられた存在となっているも、後のアメリカのジャズ界に与えた影響の大きさが窺え、その名前だけでもご記憶に留めていただければと思うのです。


さて本題のLew Soloff[exclamation]

1969年から1973年のBS&T在籍、それ以降は、Miles Davisの知恵袋として次世代のジャズを生出し提示した巨匠、Gil Evansが率いるMonday Night Orchestra,のサブ・リーダーとしてその責を務めあげ、1984年には、ピアニストのDavid Matthews率いるManhattan Jazz Quinteのトランペッターとして活動、このクィンテットが日本の企画で生まれたものであったことから、日本では母国アメリカ以上にその実力を評価され、その名を轟かすことなったアーティストなのです。


先の、BS&Tのお話が長くなってしまいましたが、この辺で、あらゆるサウンドの中で最良のパーフォマンスを聴かせてくれた名トランぺッターのLew Soloff、そのリーダー作品から1曲を聴いて頂くことに致しましょう。

曲は、アルバムのタイトル曲、”Rainbow Mountain”です。



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