異色のコラボが生んだ不朽の名盤:Kenny Burrell & John Coltrane [音源発掘]

今回の作品は、愛聴盤として若き日より聴き親しんで来たこの作品。

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ギタリストのKenny Burrell とジャズの巨人 John Coltranが共演した1958年制作の作品、”Kenny Burrell & John Coltrane”です。

この作品、愛聴盤と言いながらここ数年はほとんど耳していなかったのですが、ここのところの連日の異常な暑さ、毎日の通勤もちょっと動くだけで汗が噴き出、心がめげてしまうという有様。
ならば、軽快な音楽を聴きながら気持ちに弾みつけて乗りきればと考え、思い当たったのがこの作品。

まずはその感触、1曲お聴きいただき味わって頂くことに致しましょう。
曲は、ここでピアノを弾いている名手Tommy Flanagan作曲の”Freight Trane ”です。






私がこの作品と初めて出会ったのは、まだ若かりし学生時代の頃。
友人の下宿に遊びに行ったところ、友人より「いいレコード(当時は皆アナログ盤でした。)を手に入れたよ。」見せられたがこの作品。

そのタイトルを見ると、”Kenny Burrell & John Coltrane”とある。

しかし、共に私の好きなアーティストなれど、崇高なスピリチュアルが漂う Coltraneのサウンドと、軽快さの中にも、奥深いブルースの香り漂わせるBurrellのサウンド、二人とも超一流ではあるも、最初は、その二つがちゃんとリンクするとは思えず、友人の「いい」と言う言葉に大いなる[exclamation&question]を抱いてしまったのです。

そして、そんなことを思いながらレコード盤に針を下ろしてもらうと、あにはからんや。
聴こえて来たのは、二人の個性が見事にリンクした快くスィング感に満ちた絶妙のサウンド。

考えてみれば、Coltraneと言う人、1955年にMiles Davisのクインテットの一員として世に出、1967年に亡くなるまで12年という短い活動期間の中で、絶え間なく自己の音楽を求めその変革を模索し続け、ジャズの巨人の一人なったアーティスト。

この作品の制作された1958年という時期のColtraneは、その前年に在籍したThelonious Monkのバンドでの活動を通じて多くの啓示を受け大きな変貌、50年代バップ・ジャズのルーツを保ちながらそれまでにない自己のスタイル確立の端尾を掴んだ時期。

そうであれば、この共演のGoodな仕上がりは至極当然のこと。

当初、どうしてあんな疑念が湧いたかと言うと、この作品を初めて聴いた当時、まだジャズを聴き始めて日の浅かった私は、まだ日々劇的な変化を遂げて行ったColtraneのことをあまり知らなかったことがその要因。
そのため、ジャズの巨人の道を歩み始めた60年代のColtraneのスタイルでKenny Burrellとのリンクを考えてしまったことが、こんな疑念を抱くことになってしまったのです。


ところで、この作品のColtrane。

今回、久々に新旧Coltraneの作品も併せて腰を入れじっくりと聴いてみると、ここでのColtraneは、前年の1957年制作の作品でのプレイから、格段の進歩を遂げていることが見えてきます。
そして、その翌年の作品”Giant Steps”で見せる、急速なテンポで細かい音を敷き詰めるように奏する「シーツ・オブ・サウンド」と呼ばれる、次にColtraneが切り開き行くスタイルの飛躍を予見させるものがあることに気付かされことになりました。

そんな感じで、Coltraneの進歩の跡と未来を感じた後、さらにこの作品を聴き進み、さらに未来を感じたのが、この作品に収められていたバラード曲のプレイ。
そこで聴いたは、後年Coltraneが発表した超名作”Ballads”の中で聴かれた神々しささえ感じられる深淵な響きの萌芽とも思える音の断片。

そこで今度は、そのバラード曲、"Why Was I Born"を聴いて頂くことに致しましょう



Coltraneのことばかりが先行してしまいましたがこの作品、相方のKenny Burrellをはじめリズム・セクションを担う3人もその後のジャズの歴史に大きな足跡を残すことになる、当時若手であった人ばかりで、そのプレイも甚だ魅力的。

いつもクールで淡々と味わい深い余韻を残すプレイしているKenny Burrellも、Coltraneを迎えほのかな熱さを発している。

そして、この時期、既に時代を代表するアーティストとしてセッションに引っ張りだことなっていたTommy FlanaganとPaul Chambersの、二人の名手もフロントの二人を盛り立てながらも味わい深いソロを展開している。

半世紀前の作品ながら、聴けば聴くほどに新鮮な感動が湧いてくる。
不朽の名盤と言われる由縁を大いに堪能することになりました

そして今回は、この作品と合わせ新旧Coltraneの作品を作品を聴いてみて、絶え間なく己を磨きつつ、急速に時代を切り開く己のスタイル築き、この当時のMiles Davisをして「ColtraneはSonny Rollinsと並ぶ2大テナー奏者だ。」と言わしめ高く評価した真の意味を理解することが出来ました

この調子では、この夏はどっぶりと50年代ジャズに浸ることになってしまいそうです。



Track listing
1.Freight Trane (Tommy Flanagan)
2.I Never Knew (Ted Fio Rito, Gus Kahn)
3.Lyresto (Kenny Burrell)
4.Why Was I Born? (Oscar Hammerstein II, Jerome Kern)
5.Big Paul (Tommy Flanagan)

Personnel
Kenny Burrell – guitar
John Coltrane – tenor saxophone
Tommy Flanagan – piano
Paul Chambers – bass
Jimmy Cobb – drums

Recorded
March 7, 1958 Van Gelder Studio

今年の暑さ、ちょっと半端じゃないですね[むかっ(怒り)]

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街角で見たひまわり。
この2日後に、見てみたら皆枯れてしまって。
夏の花と言えど、この暑さ、耐えることが出来ないほどの厳しさなのかも。

とにかく今年この暑さ、10月まで引きずるとの予報があるよう。
となれば、過ごし易くなるのはまだまだの長丁場。

しっかりと覚悟して、乗り切らねばと思っています。



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