欧州に渡りての再出発・Art Farmer/Phil Woods ;What Happens? [音源発掘]

先日報じられていた、桜狂い咲きのニュース。
どうしてそんなことが起きたのかと聞いてみれば、桜の木、今年の異常な熱さに秋を待たず早々と葉が散ってしまい、それ以後も気温の高い日が続いたことから、冬が終わって春が来たと勘違いしてしまって、花をつけたのではないかとのこと。

そんな植物までが、いつもにのない生態を見せてしまっている今年の秋、おかげで人間様の方も、その急激な気候の変化に巧く体がついて行かず、体調を崩している人も多いよう。

そういう私も、極端な暑さが治まって気力を回復、一旦はさあこれからだと張り切ったところで、この極端な気候の変化にゲンナリ、体調を崩してしまったりして........。

幸い、大事に至ることはなかったのですけど、自分も自然界と共生する生物の一つだということを、しみじみ考えさせらてしまうことになってしまいました。


そうしたところで、前回は、そんな気候の中で急に頭の中で鳴り出した若き日に聴いたものの、今は忘れてしまっていたアーティストの作品をご紹介いたしましたが、今回はやっと来た過ごしやす季節の訪れを感じ、その空気に浸りながら聴くに良い作品はと探し見つけたのがこの作品。

Art Farmer - Phil Woods  What Happens.jpg


アメリカ出身のトランペット奏者のArt Farmerと同じくアルト・サックス奏者のPhil Woods が、ヨーロッパに渡り共演、制作した”What Happens?”といたしました。

そもそもこの作品、これはなんとしても聴かなければと思ったのは、Art FarmerとPhil Woodsの二人、共に1950年代半ばに登場した同世代のアーティストなのですが、指向する音楽性の違いからか共演した作品は見当たらず、その珍しい組み合わせに食指を動かされてのこと。

とにかく、黒人なれど白人的なクールで精緻さ備えたプレイが魅力のFarmerと、白人なれど黒人アルト・サックス奏者Chariie Parkerに傾倒し、黒人顔負けのブルー横溢の熱いプレイで知られる全く正反対のスタイルの二人!!

果たして、いかなる音が飛び出てくるのか。
ワクワクの思いで即Get、その内実を確かめてみることにしたのです。

それでは、なんだかんだ言うよりはそのサウンド、まずは皆さんにも聴いて頂き、私の抱いた興味への答え、いかがなものだったのか味わっていただくことに致しましょう。




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期待されるも、はかなく消えた思い出のアーティスト;Madura  [音源発掘]

ようやく本来の秋らしい穏やかさが訪れたところで始めたのが,その昔聴いていたアナログ・レコードのデジタル化作業。

アナログ・レコードが脚光を浴びている現在、流行に逆行しているかのように見えますが、確かに、アナログの機器の調整如何でデジタルでは味わえない些細な音の変化を見つけ出し味わうことの面白さには、格別なものがあるのも事実。

そうした折、どういう訳かこの夏、若い時にアナログで聴いた日本では無名のとあるバンドのサウンドが頭の中で鳴り始めたことから、そのアナログ盤を取り出し超久々(30年ぶりぐらいか)に聴いてみたところ、その昔、聴いた時はよく分からず自分の趣味とは合わないサウンドだなと思っていたにもかかわらず、なぜか今は妙に心にフィットしてしまって。

ならば、持ち歩き所を変え腰を据えて聴いてみたいと思うも、如何せんアナログでは気軽に持ち運びどこでも気軽に聴くという訳には行かず、やはり、それを可能にするのはデジタル化だと作業を始めることにしたという次第。

そうして聴いたそのバンド、持ち運び場所を変えて聴いてみると、また新たな良さが見えて来てなかなかいい。

と言うことで、今回、取り上げる作品は、そのとあるバンドの作品とすることに致しました。


さて、その作品が、これ!!!

Madura madira.jpg


アメリカ、シカゴ出身の3人組によるジャズロック・トリオ、Maduraの1971年発表のデビュー・アルバム”Madura”です。


しかし、Maduraと言っても、その名を知る人はそう大くはいないはず。
というのも彼ら、日本では、紹介され作品発表には至ったのですが、ほとんど話題に上ることはなく、いつの間にか忘れ去られてしまった存在なので、それは当然のこと。

しかし、そんな無名の連中、聴いてみると、それぞれの楽器を担当するメンバーの類い稀なテクニックから生まれ出るスリリングな音の絡み合いと、巧なヴォーカル・ハーモニーで隙のないサウンドを生み出している。
これは只者にあらず、埋もれさせておくわけには行かないと、ここで取り上げることにしたのです。

まずは、そのMaduraの経歴
1969年、Alan DeCarlo(ギター、リード・ヴォーカル)、Hawk Wolinski(キーボード、リード・ヴォーカル)を中心にトリオ結成。
翌1970年にはドラムをRoss Salomoneに替え、本デビュー作を発表。

とあるのですけど、それまでの活動でかなりの力量を示していたと思われる彼等、そのための彼らデビュー作品の制作発表に当ってはレコード会社も、かなりの力の入れようだったことが思い出されます。

その証拠に、プロデュースには、当時ブラス・ロックの旗頭として人気の頂点にあった、そして現在も活動を続けているChicagoを世に送り出し、敏腕プロデュサーとしての評価を得ていたJames William Guercioが当り、さらには、Chicagoの弟分として大々的なプロモーションが行われるなど、単なる新人アーティストとは思えないほどのものであったのです。



それではそのMadura、前置きはこのぐらいのして、センセーショナルなデビューを飾るも、大きく名を残すことがなかった彼らのサウンド、一体どんなものであったのか、まずは1曲お聴きください。

曲は、"Drinking No Wine(邦題;ワインも飲まずに)" です。



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