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本家本元Britishロックの底力・Downes Braide Association (DBA):Skyscraper Souls [音源発掘]

4月になり、ようやく咲き始めた桜の花に元気づけられたところで、耳に入って来た海外における不穏なニュース。

それは、近年ウクライナをはじめ、これまでの増して世界各地で戦禍の嵐が頻発し続けるス安定な世界情勢のニュースの中で、ハマスへの報復攻撃に始まったイスラエルの戦争から新たに生まれたイランとの負の連鎖への懸念。

イスラエルが実行した言われるシリアのイラン大使館への空爆に端を発し、それにイランが報復、そしてそれにイスラエルも報復したという報道が、そうした懸念をもたらした元凶なのですが、今は双方とりあえず矛を収め一時休戦への兆しが出て来たものの、イスラエルとアラブの対立は歴史的に見て根が深く、またイランがハマスを支援している限りその火種は尽きることなく、人々を苦しめる戦禍はいつ再燃するかわからない状況。

とは言え、そもそも今起こっている戦争は、人間は生物の一種として、本能的に縄張りを守ろうとする闘争心を備えていると思うのですが、今起きている、ウクライナvsロシアとイスラエルvsハマスによるこれらの戦争の根底にあるのは、平和への理性を欠いた偏執的国粋主義者ともいえるプーチンとネタニアフが、自己の権力基盤防衛増殖のため、ただその生物的本能の趣くままに行動し、その一線を画すパンドラの箱を開いてしまった結果のように見えて来ます。

そして、その狂気が今も多くの人の生命を奪い、築き上げて来たもの破壊しつくしている..........。!!

ウクライナとイスラエル、共にこの戦争の要因は、歴史背景にした根の深いものがあることから、本質的解決することは容易ではなく困難を極めるものだと思われるのだけれども、せめて戦火を交えることだけは止められないものかと、つくづく平和を維持することの難しさを考えされてしまいました。



さて、物騒な話から始めてしまいましたが、今回の作品は、日々留めもなく伝えられる不穏な世界情勢の報道に、鬱屈とした気持ちが堆積してしまった心に潤いと癒しを与えてくれた、こんなロック作品を選んでみました。

downes braide association Skyscraper.jpg


英国のスーパー・デュオ・ユニット”Downes Braide Association(略してDBA)”の2017年発表の3作目の作品”Skyscraper Souls”です。

私がこのDBAと出会ったのは、本作の次作品である2021年発表の”Halcyon Hymns”だったのですけど、その作品に惹かれた理由はそのジャケット。

Downes Braide Association Halcyon Hymns.jpg


どことなく、英国プログレシッブ・ロックの元祖の一つである往年のYes作品の名ジャケットを手掛けたRoger Dean作との感触から、Dean作のジャケットならサウンドの方もイケるかもしれないと、食指が動き聴いてみたのがその始まり。

実際に聴いてみると、サウンド的にはプログレシッブ・ロックの色彩を多分に感じさせるものの、プログレにありがちな妙な小難しさはなくポップで親しみやすい感覚が快い。

そこで、一体どんな人たちが演奏しているのだろうと参加ミュージシャンを見てみると、

このDBAは、80年代英国のプログレをリードしたスーパー・バンドのAsiaや2011年に復活したプログレの名門Yesのキーボード奏者として知られるGeoffrey Downesと、Beyoncé、Britney Spears、Christina Aguilera、David Guetta、Sarah Brightman等への楽曲提供やプロデューサーとして活動するシンガー・ソングライターのChris Braideを中心したデュオ・ユニットだとのこと。

一見、異色の顔合わせのように思えるけれど、プログレにポップ感覚を付与しネオ・プログレへの道を開いたAsiaのヒットメーカー的存在であったDownesと多くのLAを拠点に多くのポップチューンを生んで来たBraide、考えてみればこの二人の力量ならば、プログレをベースに新たな感覚のポップ・チューンが生まれて来るのも自明の理。

というところで、そのプログレ感覚のポップ・チューン、ここで2018年の彼らのライブ映像からご覧いただくことに致しましょう。

曲は、”Lighthouse”です。




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愛の芽生えを感じるコラボ作品;John Hicks and Elise Wood・Luminous [音源発掘]

開花に一喜一憂した今年のソメイヨシノの花の饗宴も終わり、春らしい日々の訪れに、心も明るくどこからか漲る力が湧いてくるのを感じられるようになる季節。

そうした昨今、あまりTVのコメディ番組を見ない私が唯一見ている番組で、記憶に残ってしまったのが、超長寿人気のTV番組の「笑点」からの林家木久扇師匠引退を飾る最終回の放送。

この木久扇師匠、私は、亡き母が三味線の先生として教えを受けていたのがこの師匠のお母さんだったとのことで親近感を抱いていた人で、師匠ならではの面白きお馬鹿芸を楽しみにして来た者の一人。

その後継は、立川一門から55年振りの起用だという立川晴の輔師匠となった訳だけど、”笑点”という番組、他のレギュラーの噺家諸氏との阿吽の呼吸による即興の掛け合いから生まれる笑いの落ちが、笑いの大きなポイントの一つ。

そうした中で、木久扇師匠、1969年に”笑点”初出演以来55年簡に渡りこの番組を支えて来た偉大なる大功労者。

それは、その後を務める晴の輔師匠にとってはかなりの重圧だと思うのですけれども、師匠出演の初回を見た限りでは、木久扇師匠とはまた違ったキャラクターで、この番組を引き続き盛り立ててくれそう。

そうしたことでこれからの”笑点”、こてまでとは違った掛け合いの面白さへの期待は持つことが出来たなと思っているのですが、木久扇師匠の最後となる大喜利の舞台で記憶に深く残ったのは、師匠が放ったこのお笑いの一コマ。

そのお題は、「どうしようもない馬鹿な奴、それを越える馬鹿とは?」。
それに対する、木久扇師匠のその答えは...........................!!

「何度、注意しても同じ間違いをする馬鹿。そして、それを越えるのは、注意されるから、なにもしなくなる馬鹿!!」と、こんな回答だったと記憶しているのですけど、そこで思い出したのが、以前の私の職場にいたH君のこと。

この人、まさに木久扇師匠の答えを地で行く存在で、何をやらしても何一つ満足出来るものはなく、
それまで、10年に渡り5人の方が指導・教育に当たって来たのだけど、いつまでたっても本人になんとかしようという気は全く育たず、最後には全員が匙を投げてしまったという  存在自体が壮絶極まりなく信じられない人。

これ、お笑いの世界ならいいけれど、おかげで現実の職場では、彼一人のために問題百出、皆、毎度その後始末に振り回されるれることになってしまっていたのです。

とまあ、木久扇師匠に最後の最後で、忘れていたまがまがしい記憶を呼び起こされてしまいましたが、それはともかく、55年の長きに渡り皆を笑いの渦の中に招き入れてくれた木久扇師匠に、ご苦労様、そしてありがとうの気持ちを送りたいと思います。


さて、余談が過ぎてしまいましたけど、ソメイヨシノ咲き乱れる新年度を迎えたところで、今回選んだ作品は!!

ピアニストJohn Hicksの作品より、咲き誇り春を告げてくれたソメイヨシノに寄せて、フルート奏者とのコラボによるこの作品と致しました。

John Hicks and Elise Wood  Luminous.jpg


その作品は、女流フルート奏者のElise Woodとコラボによる1985年制作の”Luminous”。

今回このJohn Hicksの作品を選んだのは、ここのところ聴いているサックスやベースのアーティストのリーダー作品のピアニストが、どういう訳か、ことごとくJohn Hicksになってしまっていたことから、ならばと、彼のリーダー作品を聴き始めたところ、そのスタイル、フォーマットの多様性に驚かされると同時に、そのどれもにおいても現れる彼らしい個性的なプレイが印象に残ったことから、さらに彼の作品を聴きたいと思い調べたところ、フルート奏者とのオーソドックスなジャズの共演があることを知り聴いて、マイナーな作品だけどその調べ良さに、是非とも聴いて頂きたいと取り上げることにしたもの。


とは言っても、フルート奏者のElise WoodはともかくJohn Hicksというピア二スト、日本では彼の認知度は決して高いとは言い難く、初めてその名を聞いたという方多いのではと思うので、まずはその経歴を簡単にご紹介してみると、

1963年に、ジャズのメッカ ニューヨークに進出、1965年にはジャズの巨人 Art Blakey率いるThe Jazz Messengersのピアニストとして2年間活動、その後は Woody Hermanのビッグ・バンド、トランペット奏者Charles Tolliver下での活動を経て女性ヴォ-カリストBetty Carterの下でその力量を磨いてきたアーティスト。

そして、1970年代半にいささか遅咲きながら初リーダー作品を発表、1980年代以降は自己のリーダ作品を発表しつつ多くのアーティストの作品にサポートメンバーとして名を残して行くことになるのですが、その共演歴を見て驚かされるのは、そのスタイルはアヴァンギャルとからバップまで、そのフォーマットもソロに始まりスモール・コンボはもとよりビッグ・バンドからヴォーカルの伴奏までと、多彩ともいうべき間口の広さ。

また、さらに深く共演アーティストの方へと目を向けてみれば、サックス奏者 Hank Mobleyに始まり Pharoah Sanders,Archie Shepp、Sonny Fortune、Eric Alexander、Joe Lovano、トランペット奏者Lee Morgan、Charles Tolliver 、Roy Hargrove、ギタリストのLarry Coryell,  ベーシストのCharles Mingus、Richard Davis等、新旧相乱れ、そのスタイルも大きく異なる面々が名を連ねている。

ちなみに私も、昨今、Hicksの参加するこれらアーティストの作品を聴いていたのですけど、そのサウンドは、彼が影響を受けたMcCoy Tynerのピアノが聴こえたと思ったら、バップやクラッシックのピアノの音がが聴こえて来たり。

どの作品を聴いてもHicksは自己の持ち味を見失うことなく、リーダー・アーティストに輝きを与えていた、その懐の深さと凄味にすっかり引き込まれてしまったのです。


さて、前置きが長くなりましたが、そうしたJohn Hicks、この異色の作品から、ここで1曲お聴きいただくことに致しましょう。


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