2023年 束の間の秋 色付いた街の風情を訪ねて [音源発掘]

慌ただしく過ごしているうちに、気付いてみれば2023年も、早、もう終わり。

今年は、いつまでも夏が終わらず秋が本当に短かったのですけど、忙しかったおかげであちらこちら出向き、その道すがら、いい案配に遅まきながら色を染め変えた街の様子に出会うことが出来たのはなんともラッキーでした。

てな訳で、年末年始の休みとなった今は、音楽を聴きながら今年訪れ撮った秋色に染まった街の写真を眺めて、この一年の疲れを癒しているところで

そうした思い出、今年は秋が短かったので、ジャストタイムでの遠出の機会はなかったのですけど、日常何気なく過ごしている、人で溢れかえる東京周辺にも、その目で見ると自然の織りなす風物詩を楽しめる場所があるもの。

そこで、まず最初に向かったのは、横浜スタジアムのある横浜公園。
この公園、文明開化の嵐真っ只中の1876年(明治9年)に開園した、歴史ある公園なのですが、今回のお目当てはその園内にある日本式庭園。
この場所は、前回もご紹介したのですが、横浜市の中心部でこんな自然の美しさが見れたことの喜びも余って、残りの画像も再度掲載してしまいました。

とは言っても、毎日この周辺に通う方にはそうした感情は希薄なようで、ここを見た後に訪問した先のお客様’(とは言っても、昔の仕事仲間ですけど)にこのことを話すと、「そういえば、そうだねえ」程度の反応で、それは、当たり前の日常の一コマでしかないという様子。

これ、まさに灯台下暗しということなのでしょうね。

_DSC9068(1)m.jpg

さて、その地元に通う人にとって当たり前の景色となっている横浜公園内の日本庭園、1978年(昭和53年)に大規模な園内整備によって出来たものだそうなのですけど、開園より45年を経た今は、樹木も自然を感じるに程よく育ち、ここが都会のど真ん中であることを忘れさせてくれるほど。

_DSC9040(1)m.jpg

水辺を歩いているとこから、小川のせせらぎが聞こえて来るような気にさえなってしまいます。

_DSC9055(1)m.jpg

とこんな按配で、今年も乗り遅れることなく、まずは秋を満喫することが出来たのですが、横浜公園だけは何か物足りない。
とは言っても、当面出張の予定はないし、今年の紅葉の見頃は短かそうだし。

ならば意外こちらも横浜同様、灯台下暗し。
家の周辺も探せばいつもは見えなものが見えて来るかもしれないと、休日に出掛けてみたのが習志野市にある藤崎森林公園。
ここは、住宅地の一角にある、自然林の中に池がある公園なのですけど、その公園内にある小さな森の小道を歩いて行ると、目に入って来たのが、

DSCN1013km.jpg


枯葉が敷詰められた道と赤く染まった楓とのコントラストが何気に決まっていたこの場所。

DSCN1015hm.jpg


そして、その小道のベンチの向かい側へ目を移すと楓と木々の枝の隙間の先には池が見える。
その自然一杯を纏った風景の中に、不思議な落ち着きの空間を発見したような、そんな気分になってしまいました。


そして、ついでに立ち寄った寄った二宮神社。
ここは、嵯峨天皇の治世の弘仁年間(810年~823年)の創建と言われる歴史ある神社なのですが、その境内の入口前まで来てみると。

DSCN1020km.jpg

竹林といい案配に赤く染まった楓が、いい雰囲気を醸し出してくれています。
長年、近くに住みながらもこの季節にここを訪れたことがなかったことから、思いもよらなかった意外な風景との出会いに、ちょっと”びっくり””


境内に入ると社殿の前には、船橋市天然記念物である高さ25mの大銀杏(ご神木)が、秋の装いに身を整えて、ここ訪れる参拝者を出迎えるように聳え立っています。

DSCN1038(1)m.jpg

参拝を終え、森に覆われた参道の方を望んでみると、地面一面を敷き詰めた銀杏の葉の黄色とその情景を見下ろすかのように立つ赤く染まった楓が織りなす癒しの風景が。

DSCN1043(1)m.jpg

これでは、横浜の彼のことは言えない、わが方も、まさに燈台下暗し!!!
日頃、一体何を見ていたのかを思い知らされたひと時でした。


と新たな発見はあったものの、うかうかしているうちに、どんどん深まり行く今年の秋。
職場の前の銀杏並木もみるみるうちに葉を落としてしまって紅葉の時期はもう終盤。
しかし、そうであってもここまで見て来ると、毎年出掛け見ているあの場所にも行ってみなければ治まらない。

ということで、何とかスケジュールを合わせダメ元で出向いたのが、東京・両国にある旧安田庭園と横綱町公園。

紅葉は既に終わってるだろうと、あまり期待せず足を運んでみたのですが、

_DSC9148m.jpg

国技館前の銀杏並木は、皆既に葉を落としてしまっていたにも関わらず、ここにはまだその風情がしっかりと残っていた。

_DSC9167hm.jpg


この様子だといつもならこの季節、紅葉をバックに晴れ着姿で記念写真を撮る新婚さんがいるはずと、辺りを見回してみてみると、いましたよ!!

この写真の右下のところ、
 小さく二人の姿見えています。

これからの二人、私のような年寄りにも何か元気を与えてくれて、ホンノリとした気分になって来る。
知己なき二人なれど、末永く御幸せにとの言葉を掛けたくなってしまいます。

そして、横綱町公園。
ここは、今からちょうど100年前に起きた関東大震災の時、震災最大の犠牲者38000人を出した陸軍被服本廠があった場所で、その後、この震災で亡くなった方の遺骨
を納める納骨堂と御霊の鎮魂のための慰霊堂を中心とした場所として1930年に開園した都立公園。

その後、第2次世界大戦時の東京大空襲の犠牲者の遺骨もここに収められ今日に至っているのですが、以前、ちょうどの銀杏が黄色く染まるこの時期にこの地を訪れたことのある私にとっては、その時感じた、銀杏の葉一枚一枚から発せられる犠牲者たちの魂の叫びの感触が忘れられず、かねがね同じ時期にまた訪れてみたいと思っていた場所。

しかしながら、今年は見頃は既に終わりの時期、旧安田庭園の方は辛うじて紅葉を見ることが出来たが、果たしてこちらはどうかと心配しながら、公園内に足を踏み入れてみると、

_DSC9204m.jpg

間もなく散りそう雰囲気でありながらも、なんとか紅葉の季節には間に合った様子。

_DSC9179(1)upm.jpg


さらに、園内を巡ってみると楓の葉の色合いもいい感じです。

_DSC9193(1)upm.jpg

そして、さらにその楓の木の上を見上げると、色付いた木々の間にスカイツリーが、この地に起こった過去の悲劇を述懐し見守るような様子で立っています。

過去に悲劇を慰撫する地での、現代の東京のモニュメントとの出会い。
そこに、この地の紅葉には他の紅葉とは違った何か特別なものがあるような、そんな思いが浮かんで来ます。

犠牲者たちの魂の叫びを感じた私としては、今回ここを訪れたくなったのは、この地で散った人々の魂の導きだったと、そう思えて来ることになってしまったのです


さて、いろいろ歩きこれまでとは違った感慨に耽った今年の紅葉、冒頭に音楽を聴きながらその写真を見ていたとお話しをしましたが、その結果、その風情に一番合うと感じた音楽は、ジャズのピアノ・トリオのサウンド。

そこで今年最後は、そのお気に入りのサウンドと私が訪れた秋の風情を、ここで味わって頂こうと思います。
曲は、John Di Martino's Romantic Jazz Trioによる”Moment To Moment”です。





コロナが明けで、ようやく以前の日常が戻って来た感がある今年の年末。
しかし世界に目を移せば、ウクライナをはじめ新たにガザなど、多くの地域で悲惨な戦争の嵐が吹き荒れる一年でした。

さらに、根深いところに要因があると言われる中国経済の急激な失速も気になるところ。


不安要因が多い今だけど、来る2024年はそうした不安も緩和の方向に向かい希望へ向かっての一年になることを祈りたいものです。


そう言えば、今年は冬は、暖冬との予報。
それを示すかのように、我家の庭の水仙が、例年より早く可憐な花を咲かせていました。

_DSC9239(1)upm.jpg

果たしてこれは、来年は”吉”の年の暗示なのか?


本ブログにお越しいただいた皆様、今年一年、大変お世話になりました。 来る2024年も、引き続きよろしくお願い致します。



ソー・イン・ラブ

ソー・イン・ラブ

  • 出版社/メーカー: ヴィーナス・レコード
  • 発売日: 2015/11/18
  • メディア: CD






nice!(21)  コメント(2) 
共通テーマ:PLAYLOG

2023年 心に残ったお気に入り作品 その2 Rock編 [音源発掘]

本格的冬の天気が来たらと思ったら、その翌日は小春日和の天気となったり、相も変わらず気まぐれ極まりない激しい気候の変化に翻弄されることが多い今年の12月。

ただでさえ慌ただしさが増す時期なのに、気候の変化の方までここまで慌ただしいと、心も落ち着かず、いつも以上に疲れを感じてしまいます。

とは言いながらも、2023年もあと僅か。

ここは、もう一鞭入れて弱音を撃退。
今は、つつがなく新しい年2024年を迎えられるよう、気持ちを切り替え、もう一頑張りしているところ。

そうしたところで、今回の音源発掘は、その一頑張りで前回に引き続き「2023年 心に残ったお気に入り作品」そのロック編を取りまとめることにしたいと思います。

さて、今年のロックですが、まず大きく心に残ったのは、年の終りが近づいてきたところで報じられた、もう新作はないと思っていたロックの黎明期を切り開いた2大巨頭の新作発表のニュース。

その2大巨頭作品とは、Paul McCartney とRingo Starrが、故John Lennonが生前に残した未発表曲のヴォーカル音源に、これまた故George Harrisonが生前演奏し残したこの曲 のギータ―・パートと、新たにPaulとRingoが各楽器パートを演奏追加収録して編集制作した、The Beatlesの最後の新曲と言われる”Now and Then”と.........、

The Rolling Stonesのオリジナル曲による作品としては、2005年の”A Bigger Bang”以来18年振り(全曲古典的ブルース曲のカバーを収めた前作”Blue & Lonesome”からは7年振り)となる作品”Hackney Diamonds”。


The BeatlesにしてもThe Rolling Stonesしても1960年代初めに活動を開始したグループで、メンバーは皆80歳を迎えている頃のはずなのにと、ちょっと驚きながらも、老いても失せることない不屈のロック魂にひたすら感服脱帽。
両作とも、即、聴いてみたのですが、今もって多くの人々に愛され続けている彼らの音楽、共にこの新作も時代を越えた良さがある。

その両者の中でも、今私がとみに気に入ているのが、The Rolling Stonesの”Hackney Diamonds”。

the rolling stones hackney diamonds.jpg


それは、そもそも私が洋楽を聴く切っ掛けとなったのがThe Rolling Stonesと言うこともその理由の一つなのですが、それ以上に心を惹かれたのは、80歳の齢にして今だ衰えることのない創作力と演奏のクォリティの高さ。

さらに、新作発表記念のライブ映像も見たのですが、そのサウンドにはCDは違わぬクォリティがあり、また80歳を迎えようとしているメンバーの年齢を感じさせない若々しい動きがそこにあって、心の芯までロック野郎たちの凄味を感じたというのがその理由。

そこで、まずは心の芯までロック野郎たちの、熟しきった熱きロック・サウンド、ここで聴いて頂くことに致しましょう。
曲は。この作品の冒頭を飾る曲で”Angry”です。


続きを読む


nice!(22)  コメント(4) 
共通テーマ:PLAYLOG