今年もまた紅葉の季節:Autumn Leaves(枯葉) [名曲名演の散歩道]

先日新聞を見ていると、紅葉に染まった山の風景が載っている。
記事読むと、奈良や大台ケ原では、紅葉が始まったとのとこと。

今月に入ってからとみに忙しく、出張しても風景を味わう余裕もなく、もうこんな季節か、一年も早いものだと思いつつ、やはりこの季節にはこの曲がよく似合う。
そこで、その曲の名演のいくつかを取り出して聴いてみることにしてみました。

奥入瀬m.JPG


その曲、原題はLes Feuilles mortes 、日本では枯葉の名で有名でな曲
元は1945年にジョゼフ・コズマ(Joseph Kosma)が作曲し、後にジャック・プレヴェール(Jacques Prévert)が詞を付けたシャンソン曲。

1946年に製作されたマルセル・カルネ監督の映画「夜の門」(Les Portes de la Nuit )で挿入歌として用いられ、この映画に出演した当時新人歌手であったイブ・モンタンの歌唱によってヒット、シャンソンのスタンダードとなったもの。

それでは、まずその原曲を!!



このシャンソンのスタンダードが、世界的に知られるようになったのは、アメリカでのヒット。

英語詞が付けられ、1950年にその英語詞をビング・グロスビーが歌ったのが最初。
1952年には、ナタリー・コールの父君のナット・キングコールがこれを歌っています。
日本ではキングコールの歌唱が有名かもしれませんね。



こうして先行した歌物に対し、この曲がアメリカ国内で大ヒットし、世界的に知られるようになったのは、Roger Williamsのピアノによるインストゥルメンタル版だったそうで、1955年に4週連続でヒットチャート1位になったのだとか。



この曲のしっとりした漂いを生かしながらも絢爛豪華さを加えたこの演奏、ともすれば沈みがちになりそうなこの曲のイメージをうまい具合にカバーしている。

大ヒットなった理由も分かるような気もします。

この影響で以後この曲、器楽による演奏が定番となって行ったようなのですけど、ジャズの世界でもスタンダードとして多くのミュージシャンに取り上げられるようになって行き来ます。
そこでその代表的な演奏を聴いてみることに。



アルト・サックス奏者Cannonball Adderleyの”Somethin' Else”。
レコード会社との契約の関係でアダレーの名義なっている、事実上トランペットのMiles Davisの作品であるこのアルバム、その冒頭にあるこの枯葉は、その意表を突くそのイントロと、マイルスの美しいミュート・プレーが光る時代を越えた名演の一つ。
ハンク・ジョーンズの控えめでありながら壷を心得たピアノも、聞き物です。

そして、ピアノ・トリオの枯葉といえば忘れてはいけないのがこの演奏、



天才ベーシスト スコット・ラファロのいたBill Evansトリオのピアノ・トリオ作品中、最高傑作の一つに数えられている”Portrait In Jazzに収録されている枯葉です。
快調なテンポの乗せて、アドリブパートにおけるラファロとエヴァンスのソロの仕掛け合いが刺激的ですね。


さて、ここで私の好きな枯葉の演奏をひとつ、



テナー・サックス奏者Charles Lloydの作品”Dream Weaver”収録されている枯葉。
ロイドはフルートを吹いていますが、凄いのはこのリズムセクション。
今や現代ジャズ界の巨匠となってしまったピアノのキース・ジャレットとドラムのジャック・デジョネッット、その彼らが、新人としてロイドのカルテットで脚光浴び始めた頃の演奏なのです。

ロイドの宙踊りながら舞い降りてくる落ち葉も似たフルート・ソロ、それ続いて現れるジャレットの息を呑むピアノソロが新鮮です。
デジョネットのソリストを背後から押しまり続ける凄まじいドラムプレーも絶好調です。


ジャズ・ミュージシャン3組の演奏が、続きましたが最後は、ジャズ以外のジャンルから、こんな人の枯葉もいかがでしょうか。



Eric Claptonの枯葉、最初クレジットを見た時は??となったのですが、聴いてみるとなんともブルージーで味わい深い演奏。
これこそ現代の枯葉の名演といってもいいのではないでしょうか。


アーティストやその時代、それに合わせ形を変えながら演奏されて来たこの曲。
その形を変えながらも輝きを失うことなく語り継がれて来た。

さて、どの枯葉がお気に召したでしょうか。

この曲を聴きながら、心を休め、深まる秋をじっくりと味わえればと思います。

H05110002m.JPG

                            岡本太郎の彫像と奥入瀬の紅葉
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ituki

まさかエリック・クラプトンまで出てくるとは思いませんでした  笑

私もライブラリーを検索してみたら クラプトンとポール・デスモンドとジャッキー・テラソンが出てきました 
沢山のアーティストの演奏がありますが そういう歴史の古い曲なんですね

どれも豪華なアーティストの競演ですが・・・
キャノンボール・アダレイのサックスいいですね~^^[ラブラブハート]
ビル・エヴァンスのはベースに聴き入っちゃいますね スゴイ!
ロイドのも キースが新人とは思えないような演奏[目玉]

で・・私は何を出すかって?  笑
もちろん^^
Eddy Louiss & Michel Petrucciani  
http://www.youtube.com/watch?v=_zVWIMqJBtk
オルガンとピアノって合いますね
by ituki (2011-10-23 15:08) 

せいじ

原曲は初めて聞きました。
色々な人の様々なアレンジが聴けるのが
枯葉の魅力ですね!
by せいじ (2011-10-23 19:39) 

マチャ

クラプトン、昨年リリースされたときはびっくりしました。
でも、ここ数年の流れからすると自然なのかも。
先日はウィントン・マルサリスとのライブアルバムが出ましたね。
by マチャ (2011-10-24 13:00) 

yukihiro

この記事を読んで、何年ぶりかで
MJQのCDを聴きました。

by yukihiro (2011-10-25 19:31) 

老年蛇銘多親父


itukiさん
テラソンもペトルチアーニもフランス人ですから、枯葉はプレイしているだろうなと思って書いていました。

ペトルチアーニのピアノとオルガンとのデュオいけますね。

オルガンという楽器、ピアノと同じキーボードですけど、これを加えることで音の広がりがでて、さらにピアノが際立つ効果が出ていると感じました。

by 老年蛇銘多親父 (2011-10-27 21:08) 

老年蛇銘多親父

せいじさん

そうですね。最近はシャンソンの枯葉を聴く機会、本当に少なくなったなあと思います。
by 老年蛇銘多親父 (2011-10-27 21:11) 

老年蛇銘多親父

マチャさん

クラプトンも、ここまで来たかというのが第一印象でした。

マルサリスとの共演、どうもデキシーランド・ジャズ的要素が強い演奏のようですけど、その誕生の地ニューオリンズ出身のマルサリスの胸を借りて、クラプトンがデキシーに挑戦したのか、はたまた、クラプトンという素材を得て音楽家マルサリスが、新たなデキシーの境地を表現しようとしたのか、一聴の価値がありそうな作品ですね。
by 老年蛇銘多親父 (2011-10-27 21:28) 

老年蛇銘多親父

yukihiroさん

MJQというと古い人間なんもんで、モダン・ジャズ・カルテットを思い浮かべてしまいましたが、これはマンハッタン・ジャズ・クィンテットの演奏ですよね。

トランペットのルー・ソルフの40年来のファンということもあり、この枯葉は大好きな演奏の一つです。
by 老年蛇銘多親父 (2011-10-27 21:35) 

snowman

お久しぶりです。
貼られてる枯葉の中ではやはりBill Evansのものが一番好きです。Charles Lloydのは初めて聴きましたが、これもいいですね^^
Roger Williamsのはクラシックかと思いました^^;

これら以外だと、Chick Corea Akoustic Bandの枯葉がいい感じにぶっ壊れてて好きです。 ぶっ壊れた枯葉といえばこんなのも…
http://www.youtube.com/watch?v=xTdi2LYrqpA
by snowman (2011-11-01 17:15) 

老年蛇銘多親父

snowmanさん

PE'Zの枯葉、まるで現代の世情を反映しているかの演奏ですね。

めまぐるしく変わる世の中に動き、その日常の中、一枚の枯葉が舞い降りてくる様子に気付き、ほっと心の安らぎ覚えるといいたような感じがします。

コリアの枯葉もいいですね。

本当にこの枯葉、多くのプレーヤーが演奏していて、面白い。

自分の好きな枯葉を探して回るのも、何か楽しいものがあるように思います。

by 老年蛇銘多親父 (2011-11-04 03:40) 

老年蛇銘多親父

ぷにょさん
ねこのめさん
マチャさん
neoponさん
raccoonさん
TAMAさん
ヒサさん

niceありがとうございます。

ここのところ秋が急速に深まり、あちらこちらで紅葉が見られる時期になりましたね。
この枯葉を聴きながら、落ち葉を踏みしめながら散歩するのも一興かもしれません。


by 老年蛇銘多親父 (2011-11-10 06:16) 

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