偉大なるバンド・リーダーは名ピアニスト:Duke Ellington・Money Jungle 本日の作品;vol.77 [デジタル化格闘記]
これまで書き綴って音楽記事、ここで取上げたピアニストの数もいよいよ今回で50人目。
その節目ということでもあり、今回ご登場を願うのは、長きに渡りアメリカ音楽の最高峰に君臨した偉大なるアーティストのDuke Ellington。
デューク・エリントンという人、どちらかというとその数、数千曲にのぼるといわれる作曲作品や、ビッグ・バンドでの演奏の名声が余りにも大きく、ピアニストして存在感は希薄な印象を受けるのですが、ジャズ・ピアノ黎明期からの奏法を受け継ぎながらも、また新しい時代にも受け入れられ続けているその手法は、ピアニストとしても超一流の存在であるといえる人だと思われるのです。
それでは、そのエリントンの珍しいピアノ・トリオ演奏、エリントンの音楽を知らないという人にもこの曲ならということで、一曲お聴きください。
あまりも有名なエリントンの代表的名曲、"Take The A Train・A列車で行こう”です。
ジャズ・ピアノ黎明期の巨匠、スライド奏法の創始者であるウィリー”ザ・ライオン”スミスに師事し、スウィング・ジャズ・エイジのスーパー・スター、ファッツ・ウォーラ―から大きな影響を受けたといわれるエリントンのピアノ、この演奏でも、その音の片鱗を見せながら、40年代バップ以降誕生したドラムを加えたピアノ・トリオのフォーマットで、心地よいスウィング感溢れる演奏を聴かせてくれています。
このエリントン、スウィング派のピアニストに分類されることが多いのですが、このA列車を聴いても分かる通り、スウィング・ジャズの域にはとどまらない、時代を超えた何かがあるのを感じれるのではないかと思います。
それは、彼の中に斬新でスケールの大きな楽想や、さらには新しいものを見事に咀嚼し自分のものとするその柔軟な音楽姿勢から来ているように思えるのです。
そうした彼の柔軟さの証と言えるのが、60年代モーダル・ジャズのパイオニアであるジョン・コルトレーンとの出会いによるこの演奏、、
この曲も、エリントンの代表的な名曲の一つ。
”In A Sentimental Mood”です。
20歳余りの年の開きのあるエリントンとコルトレーン、その音楽の質も全く違う二人なのですが、そのことを全く感じさせない一体感ある演奏。
エリントンの控えめながらのピアノが、何処かに飛翔してまいそうなコルトレーンの手綱をしっかりと握りしめ、コルトレーンに祈りにも似た奥行き深い歌を唄わさししめている、新しいものを見事に消化し、その大きな包容力で包みこむ、エリントンの偉大さが光る名演だと思います。
さて、ここまで2曲エリントンの代表曲における彼のピアノ・プレーを聴いていただいて来ましたが、この辺でアルバムの紹介を。
その作品は、そのエリントンのピアノにスポットを当てた、珍しいピアノ・トリオ作品で、1962年に制作された傑作の誉れ高い”Money Jungle”
このアルバムの聴きどころは、何と言ってもエリントンを敬愛し、自らの音楽にもエリントンの手法を取り入れ大きな功績を残してきた二人の巨匠、ベースのCharles Mingus とドラムのMax Roachとの共演にあると思います。
それでは、まずそのアルバムから、アルバム表題曲ともなっている”Money Jungle”を聴いてみましょう。
荒々しく登場するベースに続いて現れる猛々しく破壊的なドラム。それに続くエリントンのピアノもなんとも荒々しく強烈な勢いで迫ってくる。
前の2曲にあった格調高く流麗な印象とは全く逆の演奏で、大いなる戸惑いを覚えてしまったのではないかと思います。
かく言う私自身も、最初これを聴いた時には、かなり戸惑い、しばらくは聴くことに躊躇いを覚えてしまったほどでした。
しかし、よく聴いてみるとこの演奏、エリントンのピアノにおける打楽器的な奏法、そして、その重厚な持ち味がよく表れており、この辺、彼のピアノに大きな影響を受けたといわれるピアニストのセロニアス・モンクとの共通項が見いだせる点など、なかなか興味深いものあります。
セロニアス・モンクの作品についてはこちら→http://hmoyaji.blog.so-net.ne.jp/2011-01-22
そしてこのエリントンのピアノが、さらに良い形で聴けるのがこの演奏、
エリントン楽団の18番”Caravan”ですね。エリントンのオーケストラを彷彿とさせる、スケールの大きな演奏だと思います。
これらの名演、それを支え引き出しているのは、やはりエリントンを知り尽くしたミンガスとローチの二人のミュージシャン。
彼らの意表を突くサポートを得て、エリントンのピアノもさらに大きく新たな領域への一歩を踏み出している。
エリントンの個性を浮彫りしたこのアルバム、また一味違ったエリントンと出会える異色の名作ではないかと思います。
Track listing
1.Money Jungle
2.Le Fleurs Africaines (African Flower)
3.Very Special
4.Warm Valley
5.Wig Wise
6.Caravan .
7.Solitude
Personnel
Duke Ellington (piano)
Charles Mingus (bass)
Max Roach (drums)
Recorded
September 17, 1962
Sound Makers, New York City
(Music by Duke Ellington
その節目ということでもあり、今回ご登場を願うのは、長きに渡りアメリカ音楽の最高峰に君臨した偉大なるアーティストのDuke Ellington。
デューク・エリントンという人、どちらかというとその数、数千曲にのぼるといわれる作曲作品や、ビッグ・バンドでの演奏の名声が余りにも大きく、ピアニストして存在感は希薄な印象を受けるのですが、ジャズ・ピアノ黎明期からの奏法を受け継ぎながらも、また新しい時代にも受け入れられ続けているその手法は、ピアニストとしても超一流の存在であるといえる人だと思われるのです。
それでは、そのエリントンの珍しいピアノ・トリオ演奏、エリントンの音楽を知らないという人にもこの曲ならということで、一曲お聴きください。
あまりも有名なエリントンの代表的名曲、"Take The A Train・A列車で行こう”です。
ジャズ・ピアノ黎明期の巨匠、スライド奏法の創始者であるウィリー”ザ・ライオン”スミスに師事し、スウィング・ジャズ・エイジのスーパー・スター、ファッツ・ウォーラ―から大きな影響を受けたといわれるエリントンのピアノ、この演奏でも、その音の片鱗を見せながら、40年代バップ以降誕生したドラムを加えたピアノ・トリオのフォーマットで、心地よいスウィング感溢れる演奏を聴かせてくれています。
このエリントン、スウィング派のピアニストに分類されることが多いのですが、このA列車を聴いても分かる通り、スウィング・ジャズの域にはとどまらない、時代を超えた何かがあるのを感じれるのではないかと思います。
それは、彼の中に斬新でスケールの大きな楽想や、さらには新しいものを見事に咀嚼し自分のものとするその柔軟な音楽姿勢から来ているように思えるのです。
そうした彼の柔軟さの証と言えるのが、60年代モーダル・ジャズのパイオニアであるジョン・コルトレーンとの出会いによるこの演奏、、
この曲も、エリントンの代表的な名曲の一つ。
”In A Sentimental Mood”です。
20歳余りの年の開きのあるエリントンとコルトレーン、その音楽の質も全く違う二人なのですが、そのことを全く感じさせない一体感ある演奏。
エリントンの控えめながらのピアノが、何処かに飛翔してまいそうなコルトレーンの手綱をしっかりと握りしめ、コルトレーンに祈りにも似た奥行き深い歌を唄わさししめている、新しいものを見事に消化し、その大きな包容力で包みこむ、エリントンの偉大さが光る名演だと思います。
さて、ここまで2曲エリントンの代表曲における彼のピアノ・プレーを聴いていただいて来ましたが、この辺でアルバムの紹介を。
その作品は、そのエリントンのピアノにスポットを当てた、珍しいピアノ・トリオ作品で、1962年に制作された傑作の誉れ高い”Money Jungle”
このアルバムの聴きどころは、何と言ってもエリントンを敬愛し、自らの音楽にもエリントンの手法を取り入れ大きな功績を残してきた二人の巨匠、ベースのCharles Mingus とドラムのMax Roachとの共演にあると思います。
それでは、まずそのアルバムから、アルバム表題曲ともなっている”Money Jungle”を聴いてみましょう。
荒々しく登場するベースに続いて現れる猛々しく破壊的なドラム。それに続くエリントンのピアノもなんとも荒々しく強烈な勢いで迫ってくる。
前の2曲にあった格調高く流麗な印象とは全く逆の演奏で、大いなる戸惑いを覚えてしまったのではないかと思います。
かく言う私自身も、最初これを聴いた時には、かなり戸惑い、しばらくは聴くことに躊躇いを覚えてしまったほどでした。
しかし、よく聴いてみるとこの演奏、エリントンのピアノにおける打楽器的な奏法、そして、その重厚な持ち味がよく表れており、この辺、彼のピアノに大きな影響を受けたといわれるピアニストのセロニアス・モンクとの共通項が見いだせる点など、なかなか興味深いものあります。
セロニアス・モンクの作品についてはこちら→http://hmoyaji.blog.so-net.ne.jp/2011-01-22
そしてこのエリントンのピアノが、さらに良い形で聴けるのがこの演奏、
エリントン楽団の18番”Caravan”ですね。エリントンのオーケストラを彷彿とさせる、スケールの大きな演奏だと思います。
これらの名演、それを支え引き出しているのは、やはりエリントンを知り尽くしたミンガスとローチの二人のミュージシャン。
彼らの意表を突くサポートを得て、エリントンのピアノもさらに大きく新たな領域への一歩を踏み出している。
エリントンの個性を浮彫りしたこのアルバム、また一味違ったエリントンと出会える異色の名作ではないかと思います。
Track listing
1.Money Jungle
2.Le Fleurs Africaines (African Flower)
3.Very Special
4.Warm Valley
5.Wig Wise
6.Caravan .
7.Solitude
Personnel
Duke Ellington (piano)
Charles Mingus (bass)
Max Roach (drums)
Recorded
September 17, 1962
Sound Makers, New York City
(Music by Duke Ellington
「A列車で行こう」は何度聴いても良いですね!
Money Jungleは初めて聴きました。
すごく力強いピアノですね。
確かにモンクの影響が感じられますね。
by せいじ (2011-12-06 07:19)
せいじさん
エリントンのピアノ、音数が少なくシンプルなのだけど物凄い深みがありますよね。
おそらくモンクもエリントンのピアノにそうした深みを感じ、自己のスタイルにそれを取り入れたのではないのかなと考えています。
by 老年蛇銘多親父 (2011-12-06 21:19)
「A列車で行こう」私も好きです♪
「In A Sentimental Mood」は夜お酒を飲みながら聞いたら最高でしょうね(^。^)
by TAMA (2011-12-07 11:23)
TAMAさん
「In A Sentimental Mood」、間接照明の灯る部屋のカウンターに座りオン・ザ・ロックを片手に、聴く。
というイメージでしょうか。
私の場合、これをやるとちょと飲み過ぎてしまいそうです。
by 老年蛇銘多親父 (2011-12-07 20:42)
ねこのめさん
ぼんぼちぼちぼちさん
こーいちさん
niceありがとうございます。
しかし、エリントン、今になっては馴染みが薄いのですかね。
これ機会に、この人のサウンド気にかけていただければと思います。
by 老年蛇銘多親父 (2011-12-16 15:14)