大都会に春を告げる靖国のソメイヨシノ [仕事の合間に]

真冬と初夏の間を彷徨った今年の早春。

3月初めの頃は、おりしも訪れた冬逆戻りの様相から、桜の開花もいつになることかと考えていたところに、突然の初夏の如くの陽気の到来。
そのせいで、固く閉じていた蕾もにわかにその結びを緩めることになったのか、あれよあれよという間に桜開花宣言近しのニュースが巷を賑わすようなっていたように思うのです。
そして、東京では3月17日に開花発表、続いて早24日午前には満開宣言の発表、平年より7日早い開花に合わせ今度はさらに平年より10日、1953年以来3番目に早い満開との、矢継ぎ早に報じられる桜の動向の変化に、昨年まで朝夕桜並木の下を日々その移り変わりを楽しみながら職場に通っていた私は、今は他の職場に移りここ歩くこともなくなってしまっていたら、このまま過ごせば、今年は辺り一面に咲き誇る桜の風景を見ることもなく終わってしまうのではとの焦燥感を抱いてしまっていたのです。



とは言っても開花宣言はまだ出ていないし、ちょっと今の開花状況だけでも見ておこうと思い、帰宅時に日々利用する最寄の駅周辺を歩いてみたところ、そこで出会ったのが全身に花を身につけ咲き誇る駅前広場に立つこの桜の木。

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それも、なんと満開の様子!

それにしても、今の駅舎と、この駅前の広場が出来てから間もなく20年が経つというのに、日々この駅を利用しながら、今までこうした風景があることに気付かなかった私。
確かにこの場所、家の方向とは逆の出口も場所であり、ここを通る機会も少なかった場所とはいえ、20年もの間ここに桜の木があることを知らずにいたとは、自分のそのうかつさに情けない思いを抱きながらその花の前へと足を運ぶことにしたのです。

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しかし、この満開の桜、東京より3日ほど開花宣言の遅かった千葉県で、東京の満開宣言がまだでもあるにも関わらず、こうした満開の桜の木があるのは何故と思い、さらに足を延ばして周辺の桜の開花状況を見てみると、そちらの方はどの木も3分咲き程度の様子。

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もしかすると、駅前のあの桜はソメイヨシノと別に種類の桜........................[exclamation&question]



すると考えられるのは、彼岸の頃に花を咲かせるという、日本の桜の古来種でソメイヨシノお母さんであるエド・ヒガン!!
ソメイヨシノが オオシマザクラ(父方)とエド・ヒガン(母方)の交配種であることから、ちょっと見ではソメイヨシノだと思ってしまうのですが、よく見てみると花の根元にエド・ヒガン特有の赤く丸いがくの形が見て取れます。
これで、一足早い花の盛りの謎も氷解。

それにしてもわずか20年前に出来た広場にソメイヨシノではなく古来種のエドヒガンとは、思いも寄らない身近な街の小さな発見に今年の桜との縁にの行方に、幸先を見たような気がになって来ます。


そして翌日出社をすると、早速その効が現れたのか、前に在籍していた外堀公園桜並木の横の職場からの仕事応援のための来訪依頼の電話があったのです。。

いやこれはラッキーとばかりに二つ返事で承諾し、打ち合わせの後に靖国神社まで足を延ばし、桜の饗宴に身を浸してこようと出掛けることにしたのです。

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かくしてその当日...........[exclamation][exclamation]








四ツ谷外堀公園に咲く満開の桜を愛でながら、かっての事務所に赴き懸案の打合せ終えて時計を見ると、時刻は11:30少し前。

間もなく昼休みの時刻、この時間を利用して靖国神社の桜の饗宴を浸りに出掛けるにはちょうどいい頃合いと、早速JR市ヶ谷駅の方向へと歩みを開始したのです。
そして神社の横を走る靖国通りに差掛かると、広い4車線道路の両側には.........

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延々と満開の花をつけた桜並木が続いています。(1.5㎞ほど続いています。)
これならば、神社境内はさぞかし見事なものだろうと、その様子を心に描きながら進み神社の正門である神門前に到着。
大勢の人が、満開の桜を見ようと訪れ来る中、門越しに境内を覗くと、

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その奥の拝殿を包み込むかのように桜の花が群れ咲いています。

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そして、神門から境内へ足を踏み入れ、まず最初に向かうことしたのは、拝殿ではなくその右対面にある能楽堂。

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そのお目当ての場所がこちら[ひらめき]

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東京のソメイヨシノの開花を掌る「東京管区気象台 桜の標準木」です。

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たくさんの人が、この木の周り集っていて、共に春の訪れを祝い喜び、記念写真を撮っています。

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それにしても拝殿前広場の喧騒と人の多さ、もう少し静かな雰囲気の中で桜の花と語り合いたい、と考え今度はいつもはあまり人行かない、拝殿・本殿裏へ廻ってみることに。

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行ってみると案の定、いつもは閑散としたこの辺りも人の数は多いも、先ほどの場所と比べれば人数はぐっと少なく、それでいて、桜の花の見事さは変わらない。
そこで、さらに足を進めてさらにその奥にある、1999年に復元・整備されたという境内の日本庭園、”神池庭園”とへ向かうことにしたのです。

そこで見たのは!!!!!!!

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池へ注ぐ水が湧き落ちる小滝の岩場を天幕のように覆う、ソメイヨシノと枝垂桜。
何回もこの場所訪れたことのある私も、こうした光景を見るのは今回が初めて...........[exclamation×2].

大都会の中に出現した密かな艶やかさ宿したやすらぎの空間の思いも寄らぬ出現に、しばし佇み見とれてしまったのでした。


さて、この桜に彩れた靖国の春の情景、今年も映像に仕立て上げてみました。
それでは、私とご一緒に、過ぎ去った靖国・春爛漫の園への散策に出掛けることにいたしましょう。








それから1週間後!!

再びかっての事務所を尋ねることになったのですが、打合せを終え帰路に着こうとしたところ、1週間前に見た桜の園の今の様子が気にかかり、再び靖国を訪れてみることにしたのです。

しかし!!

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当たり前のことなのですが、既にソメイヨシノ花はほぼ散てしまっていて、命溢れる新緑が、時折境内をよぎる深まる春を運ぶ風に吹かれ心地よさそうに揺れていました。

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そして代わって、境内を彩っていたのは...........

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八重桜と山桜!!

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ソメイヨシノは終わったけど、春を彩る花々の饗宴はまだ始まったばかり。
そう気付くと私は、まだまだ見るべき春の情景があるはずと考え、これで終わらず、これからも目を凝らしてその情景を探しだして行くことにしようと決めたのです。

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それにしても靖国神社、軍神を祀っている等、その存在に賛否両論があるけれど、本来は幕末、欧米列強の魔の手から国を守ろうと散って行った人々の御霊を鎮め祀り、その労をねぎらった招魂社がその起源のはず。

そのことを思いながら桜の花満ち溢れるこの靖国の姿を見てみると、そこには戦争の悲惨さと平和の大切さを伝える心が満ち宿っていることが見えて来るように思えるのです。

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そうしたことから今の靖国は、先人たちの築こうとした繁栄と平和に感謝祈願する、平和の根本を象徴する存在のように思えて来るのでした。

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コメント 4

yuzman1953

老年蛇銘多親父さん、こんばんは。
靖国神社の桜、きれいですね。私が大学生のとき、4年間東京に住んでいたのに、靖国神社に関心かなかったことが悔やまれます。
by yuzman1953 (2018-04-19 01:16) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

yuzmanさん

私など18年間、この靖国近くの事務所に通っていたのに、この時期ここ訪れたのは1回きりなんです。
近いといつでも行けると思ってか、なかなか足が向かないものですね。
とくにyuzmanさんの場合学生時代のこと、私もこの頃は靖国はおろか桜にも全く関心ありませんでしたし。

と言っても、この辺りの桜、近くに千鳥ヶ淵もあって大変見事です。
機会があったら、是非一度訪れてみてください。

by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2018-04-22 17:46) 

きたろう

老年蛇銘多親父さんコメントありがとうございます(*^_^*)
江戸の名所をおとずれ、少しでも昔の痕跡を見つけたとき、一人ほくそえんでいます。
by きたろう (2018-04-23 12:45) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

きたろうさん

私も、この外堀公園・靖国辺りは昔の写真を持ちながら、良く歩いているのですが、多少その面影を見るところもあるのですが、ほとんどが大きく変わってしまっていましてね。

少しでも昔の痕跡を見つけたとき、一人ほくそえんでいる、その気持ちよく分かります。

また、そのような場所ありましたら教えてください。



by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2018-04-25 20:04) 

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