70年代プログレシッブ・ロックに新たな生命を与えたアーティスト・Fleesh:Eclipsed [音源発掘]

いよいよ梅雨入り。

今年の梅雨は、海水温度が例年に比べ高いことから、梅雨の間の台風発生が多くなり大雨となることが多くなる可能性が大の予報。

大きな災害とならなければいいなと思いながら、なんとも鬱陶しい気分になって来ます。

そんな鬱陶しさが忍び寄る6月、ここのところその鬱陶しさを少しでも忘れられればと聴きたくなってしまったのが、爽やかさを感じるロック・サウンド。

そう思うと困ったもので、自然に若き日に聴いた70年代のロック・サウンドへと食指が動きだしてしまうのですが、どうも今はその気分ではない。

なんとなく新鮮さを感じる現代のサウンドが欲しいということで、探し目に飛び込んで来たのがこのジャケット。

Flesh Eclipsed.jpg


なんとなく求めていたイメージと合致するそのデザインに惹かれて、作品のタイトルを見てみると”Eclipsed”とある。

なるほど、このジャケットは日食をイメージしたものなのだな思い、そこから70年代プログレの雄である Pink Floydの名作”The Dark Side of the Moon(邦題;狂気)”を勝手に連想、これならそのサウンドも求めていたものに違いないはずと、なにはともあれ早速聴いてみることにしたのです。


さて、一体どんな音が聴こえてくるものか。
まずは、ご一緒に聴いてみることに致しましょう。









曲は、ブラジル出身のマルチ・インストメタリストのCelo OliveiraとヴォーカルのGabby Vessoniによるロック・プロジェクトFleeshによる”Till the Morning Comes”。

何の予備知識なしに初めて聴いてまず感じたのは、そのサウンドのクォリティーの高さ。
英国の70年代プログレシッブ・ロックの香りを漂わせながら、新鮮かつ爽やかさを感じさせてくれる。

後から、これがブラジル出身の二人によるものだと知って、またびっくり!!

私が、特に気を惹かれたのはCelo Oliveiraのギター。
これまでいろいろ聴いて来たけれど、なかなか出会うことの出来なかったPink FloydのDavid Gilmourを彷彿とさせるギターの響きが、そこにあったのです。

こうなると、彼らによるPink Floydの楽曲のカバーも聴いてみたい。
ということで、彼についていろいろ調べてみると、なんと2022年に Floydのカバー作品”Home Again (A Tribute To PINK FLOYD)”を発表しているとあったのです。

fleesh home again a tribute to pink floyd.jpg

と知ると、これはなんとしても聴いてみたい。
そこで、いろいろ探して見つけたのがこの映像。

曲は、Floydの傑作として名高い1979年発表の作品”The Wall”より、Gilmourのギター・プレイが光っていた”Comfortably Numb”。

まずは、お聴きいただくことに致しましょう。



オリジナルの語り囁くような男性ヴォーカルに対するGabby Vessoni の歌声。
内容的には、苦悶する精神の内を歌っているこの曲に、女性の優しい抱擁に満ちた歌声が安堵と癒しを持たしているように思えます。

そこに、オリジナルと違った救いの世界がある、”Comfortably Numb”という名曲に、別角度からその良さを引き出した演奏のように感じました。

そして、Celo OliveiraのGilmourのスタイルのギター・ワーク、特にソロ最後の高音のソロ・プレイは、Gilmour全開の様相。

Fleeshの二人、やはり只者ではないとの印象を深めることになりました。


さて、このFleesh、調べてみると2014年の活動以来、これまでオリジナル作品の他、このPink Floydだけではなく、Rush、Marillion、Genesis、Renaissance等、プログレシッブ・ロックの大御所たちのトリビュート作品に取り組み発表して来ているとのこと。

その中で、私が興味を覚えたのは、Renaissanceのトリビュート作品。
Renaissanceと言えば、リード・ヴォーカルを掌る歌姫Annie Haslamの神秘的透き通った歌声と古典を内在した抒情的なサウンドが最大の魅力なのですが、Gabby Vessoniのヴォーカルには、どこかそのAnnie Haslamを思わせるものがあって、Fleeshの二人がRenaissanceに挑めば、往時のRenaissanceを再現出来るのではと感じたのがその理由、

そこで今度は、Renaissanceの1997年の作品””Novella(邦題;お伽噺)”より”The Sisters”を、この二人のカバー・ヴァ-ジョンで聴いてみようと思います。



私がイメージした通りの演奏。
Haslamと比べしっとりしたGabby Vessoniのヴォーカルにが曲に温かみを添えています。

ただ、HaslamのRenaissanceに感じた薄らと色付けを見せる古典的な英国の香りは、育ったお国の違いのせいもあってか、ちょっと希薄ではあるものの逆に今の時代には、この方がマッチングしているようにも思えて来ます。

なにはともあれ、Renaissanceを現代に甦らせたその手腕、70年代プログレが身に沁みついた者として、喝采を送りたくなってしまいました。

さて、Fleeshの往年のプログレシッブ・ロックの名曲カバーを続けて2曲聴いていただ来ましたが、今度は再び彼らのオリジナルに戻って1曲、聴いて頂くことにいたしましょう。

曲は、アルバムタイトル曲となっている”Eclipsed”です。



今回は、ここでご紹介した演奏の他、私としてはGenesisのカバーも聴いて来たのですが、こちらの方もオリジナルを大切にしながらも、新たな息吹が感じられ当り、70年代プログレ・フリークの私にとっては、なんとも嬉しい限り。

そうして、ここで聴いた彼らのオリジナル作品も、新たなプログレの息吹を発しながら、どこからかPink FloydのDavid Gilmourの他GenesisのギタリストSteve Hackettや同じくキーボード奏者Tony Banksのプレイを想起させる音も聴こえて来たりして、新鮮さの中に懐かしさを感じてしまう。

ちょっとした気まぐれがら見つけたFleesh。
今回は本当に良いものと出会うことが出来たとの満足を感じることが出来ました。

そして、彼らのカバーを聴いて、そのカバーされたアーティストのプログレ作品、棚の奥から引きずり出して、再度、聴き直してみようとの気持ちになりました。


昨年植えた、我が家の庭の百合も咲いて、

DSCN0908-m.jpg


その花を眺めながら、Fleeshの心地良いサウンドの浸って、今の気分は何とも爽やか。

_DSC8335-m.jpg


長引きそうな予感がする今年の梅雨も、なんとか元気を失わず過ごせそうな気分になってきました。

Track listing
1.Stuck
2.Eclipsed
3.Pile of Bones
4.One By One
5.All My Sins
6.No Rewind
7.'Till The Morning Comes
8.Down Below
9.Not Alone
10.Let It Burn
11.Epilogue

Personnel
Celo Oliveira, (g.b,key)
Gabby Vessoni (vo)

Released
2021


オマケ
調子ずいてFleeshを調べていたら、こんな動画を見つけたました。

彼らのカバーによるLed Zeppelinの名曲”Stairway to Heaven(邦題;天国への階段)”とGenesisの名曲”The Lamia”。

よろしければ、こちらにも耳を傾けてみてください。













20230613_092423mk.jpg






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yuzman1953

「天国への階段」のギターのクライマックスはジミーペイジのライブより安心して聞けますね。Fleeshを初めて知りましたが感動しました。
by yuzman1953 (2023-06-15 01:05) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

yuzman1953さん.

私が、この曲を初めて聴いたのが、Zeppelinの1971年の日本武道館だったので、その時に聴いたRobert Plant の粘っこいヴォーカルが耳に残ってしまっていて、どうしてもGabbyのヴォーカルとの比較に耳が行ってしまうのですが、そういう見方もあるよなあと思いました。

そこで聴き直してみたのですが、Celoのギター確かに安定感もありZeppelinを良く再現しているなと感じるも、Pageのギターにあった刺々しさが希薄だなという感じを受けてしまいました。

この辺り感覚、若き日に受けたZeppelinに対する強烈なイメージのせいかもしれませんね。





by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2023-06-15 20:08) 

mk1sp

優しい美声のVo.と適度に熱いGt.、癒し系ロックという感じでしょうか。良いですね。70年代風のアルバムジャケットも良いですね~。
by mk1sp (2023-06-17 11:56) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

mk1spさん

気に入っていただけたようでなりよりです。
最近は、プログレ・メタル系のロックばかり聴いていたので、久々に心休まるサウンドに触れ、すっかり嵌まってしまいました。




by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2023-06-18 15:55) 

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