ロック新世界への開拓者;Vanilla Fudge・Keep Me Hanging On 本日の作品;vol.74 [デジタル化格闘記]

2回に渡って”60年代!!心に残る洋楽の記憶”ということで、書かせていただきましたが、ここで聴きたくなったの今回の作品。

ライブラリーから懐かしいLPレコードを取り出して、ターン・テーブルに乗せ聴き始めるも、なにせ当時音質最悪だったAtlanticレコード、厚味のないパリンパリンの音。

閉口しながら聴き終えたところで、リミキシングをしてデジタル化で聴き直そうとした次第。
そして、なんとかデジタル化を終えたその作品は。

Vanilla Fudge.jpg


Vanilla Fudge、1967年発表の彼らのデビューアルバム”Keep Me Hanging On”。
1967年といえばサイケデリック・ロック全盛時代、このジャケットも、かなりサイケデリックです。

しかし、Vanilla Fudgeというバンド、今ではちょと馴染みが薄いかもしれません。
そこで、彼の最大のヒットのこの曲を聴いてみてください。



いかがです、この曲CMでも使われたことがあるので、どこかで聴き覚えがあるのではないでしょうか。

全米6位のヒットとなったこの曲、当時日本でもかなりヒットしたように思いますが、この曲、元々は、この作品の発表される1年前にダイアナ・ロスとシュ―プリームスが歌って大ヒットしたもののカバーなのです。



ロスの軽快なアップテンポの歌とは対照的に、テンポを落としたヘヴィーでカラフルなサウンド。

器楽演奏にも重点置き、その表現の幅を広げようとした、それまでのポップとしてのロックとは異なった音楽を目指した彼らの意気込みを感じ取ることができるサウンドだと思います。

このアルバムに収められた曲、各曲の間に収められた短い間奏曲を除いてすべてカバーなのですが、一曲々に彼ら独自のアレンジが施され、また違った色付けでそれらの曲に新鮮な味わいをもたらしている。

ロックをアートとして昇華させようとした彼らの姿勢が、うかがい知れるものになっています。

そこで、有名なBeatlesの"涙の乗車券”、この曲も彼らの手にかかるとこんな風に。



R&B風のアレンジ、この曲こんなにソウルフルな曲だったのだなと感じられる演奏ですね。


さて、デジタル化ですが、とにかくこのパリンパリンの音、中域を膨らまして厚味を加えてやろうと思い作業開始。
しかし、何せ元が元ですからそれをするのは実に難儀なこと。

なんとか完成したのがこの写真。

DSCN4886.JPG


CDラベル、ちょとケバすぎたかもしれませんが。
音の方はって!!

ということで、このアルバム中で、私の一番お気入りの曲、ソニーとシェールでヒットした曲”Bang Bang"を試聴してください。



音の方、果たして私の意図どおりなっていると感じていただけたでしょうか。


このバンド、”Keep Me Hanging On”以後4枚のアルバム発表し1969年に解散していますが、メンバーのTim Bogert(ベース)とCarmine Appice(ドラム)の二人は、Jeff Beckとグループを組み”Superstition”(邦題:迷信)のヒットを飛ばし、1973年に来日しています。

Beck,Bogert & Appice の記事はこちら                                 http://hmoyaji.blog.so-net.ne.jp/2009-03-09

そしてその後は、1984年、2002年に再結成をしてそれぞれ1枚のアルバムを残し現在も活動中のこと。


いずれにせよこのアルバム、当時のシングル盤の枠にとらわれない自由な音造りした最初の作品として、またその手法が、後年のプログレッシブ・ロックへと引き継がれていったことなどから、ロックの歴史おいて重要な位置を占めている作品だと思うのです。


Track listing

1."Ticket to Ride" (John Lennon-Paul McCartney) 涙の乗車券
2."People Get Ready" (Curtis Mayfield)
3."She's Not There" (Rod Argent)
4."Bang Bang" (Sonny Bono)
5."STRA (Illusions Of My Childhood - Part One)" 少年時代の幻影 パート1
6."You Keep Me Hangin' On" (Brian Holland-Lamont Dozier-Eddie Holland)
7."WBER (Illusions Of My Childhood - Part Two)" 少年時代の幻影 パート2
8."Take Me For A Little While" (Trade Martin)
9."RYFI (Illusions Of My Childhood — Part Three)" 少年時代の幻影 パート3
10."Eleanor Rigby" (John Lennon-Paul McCartney)


Personnel

Carmine Appice - drums, vocals
Tim Bogert - bass, vocals
Vince Martell - guitar, vocals
Mark Stein - lead vocals, keyboards

Released

August 1967

DSCN4888.JPG



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コメント 8

せいじ

シュ―プリームスのヴァージョンはカヴァーだったんですね。
初めて耳にしたのはキム・ワイルドのダンスチューンでした。
by せいじ (2011-08-07 12:39) 

R8

キム・ワイルドのカバーで聴いていましたが、オリジナルは60年代の作品だったんですね~
by R8 (2011-08-07 19:01) 

TAMA

私はVanilla Fudgeで聞いてたかも。
懐かしいです[__わーい]
by TAMA (2011-08-07 21:40) 

老年蛇銘多親父

せいじさん
R8さん

キム・ワイルドの”Keep Me Hanging On”が聴こえて来た時、現代風になって若い人に受け入れられているのを知り嬉しく思いました。

新しいエネルギーを与えることで新鮮さを発揮する、やはり名曲ということなのでしょうね。


by 老年蛇銘多親父 (2011-08-08 05:45) 

老年蛇銘多親父

TAMAさん

60年代サウンドのサウンドって、懐かしい思いもあるのだけど、現代ににも通用する新しさがある。

ここのところ60年代を書き続けて、そう思うようになってきました。

by 老年蛇銘多親父 (2011-08-08 05:48) 

老年蛇銘多親父

みー☆さん
ねこのめさん
ヒサさん
かなっぺさん
yukihiroさん
podpodさん

niceありがとうございます。

by 老年蛇銘多親父 (2011-08-14 15:59) 

えい♪

太鼓のカーマイン・アピスは
この頃から派手なパフォーマンスをやってたんですね。(笑)
by えい♪ (2011-10-22 00:05) 

老年蛇銘多親父

えい♪さん

確かに4人とも動きが派手ですけど、とくにカーマインは小細工が入って気合いが入っている。

その上、ドラムの音の方も、当時のロックのドラマー中ではかなり先進的だったように思えますし。

好きなドラマーですね。
by 老年蛇銘多親父 (2011-10-23 16:05) 

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