王子様はどこに?:Someday My Prince Will Come(いつか王子様が) [名曲名演の散歩道]
名曲名演の散歩道、第2回目の曲は、”Someday My Prince Will Come”(いつか王子様が)。
言わずと知れた、1937年 ウォルト・ディズニーの制作の世界初のアニメ長編映画『白雪姫』(原題:Snow White and the Seven Dwarfs)の挿入曲として有名な曲ですよね。
軽やかな3/4拍子のリズムに乗せて、流れてくる気品に溢れた美しいメロディが、王子の出現を夢見る少女の心の内を優しく歌っている、心に和みを与えてくれる名曲だと思います。
それでは、まずその原曲が歌われていた映画のワンシーンを見てみましょうか。
歌っているのは、この映画で白雪姫の声を演じていたAdriana Caselotti(アドリアナ・カセロッティ)。
いつか現れる王子様を夢みて白雪姫が唄うこのメロディに、うっとりと聴き惚れる小人達の姿が、なんとも微笑ましく、また暖かく感じられますね。
さて、この、”Someday My Prince Will Come”を最初にジャズのスタンダード・ナンバーとして演奏したのが、以前に”4ビートだけがJazzじゃない” の記事 http://hmoyaji.blog.so-net.ne.jp/2011-10-08 で紹介したDave Brubeck。
彼の名曲”Take Five" と同じメンバーにより制作された1957年のアルバム”Dave Digs Disney”の収められていました。
このアルバム、タイトルの通りディズニーアニメの音楽を集めたジャズの演奏集で、この曲の他、白雪姫から”Heigh-Ho”や不思議の国アリス、ピノキオの主題歌が演奏されており、ジャズ・ファンならずともディズニー音楽に好きな方なら十分に楽しめる内容の作品だと思います。
その後、このブルーベックの演奏がきっかけとなり、この曲のコード進行がジャズのアドリブに適していることが示された結果、その後、多くのジャズの演奏家によりこの曲を取り上げることになっていきます。
そうした中、その一番手の名乗り上げたのがこの人、
Bill Evans 1959年発表のピアノ・トリオの名盤中の名盤”Portrait In Jazz”に収められていたこの演奏でした。
原曲よりテンポをアップしたスウィング感溢れるこの演奏、後のピアノ・トリオによるこの曲の演奏の模範となっているもの。
この曲の良さを、さらに磨きあげているところなど、さすがエヴァンスですね。
そして、Bill Evansとくれば次はこの人。
トランペットに続いて現れる、二人のテナー・サックス奏者のプレーにご注目ください。
Miles Davis 1961年のアルバム”Someday My Prince Will Come”に収録されている演奏です。
ポール・チェンバースの王女の気品溢れる歩みにも似たベースに導かれて現れる、マイルスの美しく刺激なミュート・トランぺットの美しい響きが魅力的な演奏ですね。
その後に続く、テナー・サックス奏者は、当時マイルス・クィンテットのレギュラーだったHank Mobley。
この人50年、60年代を代表するサックス・プレヤーでBlue Noteレコードに20枚余りの作品を残し、特に1965年の盟友でトランぺッタ―のLee Morganを伴って制作されたアルバム、”Dippin'”の中の”Recado Bosa N
oba"の演奏は、この曲をジャズのスタンダードにもしてしまったという名演の持ち主。
そんなモブリー、ここでもタンタンと暖か味のあるソロを聴かせてくれているのですが............。
ところがこのあと悲劇が彼を待ち受けているのです。
その源は、彼のソロに続きウィントン・ケリーのピアノ・ソロ、そしてマイルスのテーマに続いて現れるもう一人のテナー・サックス奏者のソロ。
そのプレヤーはJohn Coltrane。
たまたまこのレコーディング現場に来ていたところ、マイルスの誘いでレコーディングに加わったものなのだそうですが、そこで繰り広げられた鋭くスピードと緊張感を溢れるトレーンのソロに、先のモブリーのソロは、気が抜けたものようにされ、聴く者にトレーンとの格の違いを印象づける結果となってしまったのです。
そして、この後モブリーは、ジャズ・ファンから50年、60年代を代表する二流テナー・サックス奏者といわれるようになってしまったのでした。
モブリー氏受難の巻、この”Someday My Prince Will Come”、そうした曰くがこの演奏にはあったのです。
さて、受難の巻の次に来る”Someday My Prince Will Come”は、追悼の”Someday My Prince Will Come”。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
デンマークのベーシスト Niels-Henning Orsted Pedersen(ニールス・へニング・エルステッド・ペデルセン)、1997年制作の”Friends Forever: In Memory of Kenny Drew ”からの演奏。
この作品は、1993年に他界した名ピアニストKenny Drew、そのトリオのベーシストして1970年代初めから行動を共にして来たペデルセンが、ドリューへの追悼の意を込めて、ドリューが生前好んで演奏した曲を集めて収録した演奏集なのです。
この”Someday My Prince Will Come”、カナダ出身の女流ピアニスト Renee Rosnes(リニ―・ロスネス)の明るみのあるビル・エヴァンス・タッチのピアノのテーマに続く、ペデルセンの、その豊かな音色とギターのような軽快さをあわせもつのベースの調べ中に、ケニ―への深い思慕の念が込められているのを感じてしまうような。
ふと、そんな思いがよぎっていく、これまでに挙げた演奏と、また違った趣がある演奏のように思います。
そして、締め括りは、やはりヴォーカルもの。
現代的表現のこの演奏などいかがでしょうか。
青山 テルマさんですね。
彼女、ソウルフルないいヴォーカリストだと以前より思っていましたが、この”Someday My Prince Will Come”には大いなる夢を感じるように思います。
”Someday My Prince Will Come”、夢と安らぎを与えてくれる名曲。
どのアーティストの演奏にも、それぞれの夢や思いがこもっていて、甲乙つけがたい魅力がある。
じっくりと耳を傾けながら、皆それぞれの夢の世界に浸っていただけたらと思います。
言わずと知れた、1937年 ウォルト・ディズニーの制作の世界初のアニメ長編映画『白雪姫』(原題:Snow White and the Seven Dwarfs)の挿入曲として有名な曲ですよね。
軽やかな3/4拍子のリズムに乗せて、流れてくる気品に溢れた美しいメロディが、王子の出現を夢見る少女の心の内を優しく歌っている、心に和みを与えてくれる名曲だと思います。
それでは、まずその原曲が歌われていた映画のワンシーンを見てみましょうか。
歌っているのは、この映画で白雪姫の声を演じていたAdriana Caselotti(アドリアナ・カセロッティ)。
いつか現れる王子様を夢みて白雪姫が唄うこのメロディに、うっとりと聴き惚れる小人達の姿が、なんとも微笑ましく、また暖かく感じられますね。
さて、この、”Someday My Prince Will Come”を最初にジャズのスタンダード・ナンバーとして演奏したのが、以前に”4ビートだけがJazzじゃない” の記事 http://hmoyaji.blog.so-net.ne.jp/2011-10-08 で紹介したDave Brubeck。
彼の名曲”Take Five" と同じメンバーにより制作された1957年のアルバム”Dave Digs Disney”の収められていました。
このアルバム、タイトルの通りディズニーアニメの音楽を集めたジャズの演奏集で、この曲の他、白雪姫から”Heigh-Ho”や不思議の国アリス、ピノキオの主題歌が演奏されており、ジャズ・ファンならずともディズニー音楽に好きな方なら十分に楽しめる内容の作品だと思います。
その後、このブルーベックの演奏がきっかけとなり、この曲のコード進行がジャズのアドリブに適していることが示された結果、その後、多くのジャズの演奏家によりこの曲を取り上げることになっていきます。
そうした中、その一番手の名乗り上げたのがこの人、
Bill Evans 1959年発表のピアノ・トリオの名盤中の名盤”Portrait In Jazz”に収められていたこの演奏でした。
原曲よりテンポをアップしたスウィング感溢れるこの演奏、後のピアノ・トリオによるこの曲の演奏の模範となっているもの。
この曲の良さを、さらに磨きあげているところなど、さすがエヴァンスですね。
そして、Bill Evansとくれば次はこの人。
トランペットに続いて現れる、二人のテナー・サックス奏者のプレーにご注目ください。
Miles Davis 1961年のアルバム”Someday My Prince Will Come”に収録されている演奏です。
ポール・チェンバースの王女の気品溢れる歩みにも似たベースに導かれて現れる、マイルスの美しく刺激なミュート・トランぺットの美しい響きが魅力的な演奏ですね。
その後に続く、テナー・サックス奏者は、当時マイルス・クィンテットのレギュラーだったHank Mobley。
この人50年、60年代を代表するサックス・プレヤーでBlue Noteレコードに20枚余りの作品を残し、特に1965年の盟友でトランぺッタ―のLee Morganを伴って制作されたアルバム、”Dippin'”の中の”Recado Bosa N
oba"の演奏は、この曲をジャズのスタンダードにもしてしまったという名演の持ち主。
そんなモブリー、ここでもタンタンと暖か味のあるソロを聴かせてくれているのですが............。
ところがこのあと悲劇が彼を待ち受けているのです。
その源は、彼のソロに続きウィントン・ケリーのピアノ・ソロ、そしてマイルスのテーマに続いて現れるもう一人のテナー・サックス奏者のソロ。
そのプレヤーはJohn Coltrane。
たまたまこのレコーディング現場に来ていたところ、マイルスの誘いでレコーディングに加わったものなのだそうですが、そこで繰り広げられた鋭くスピードと緊張感を溢れるトレーンのソロに、先のモブリーのソロは、気が抜けたものようにされ、聴く者にトレーンとの格の違いを印象づける結果となってしまったのです。
そして、この後モブリーは、ジャズ・ファンから50年、60年代を代表する二流テナー・サックス奏者といわれるようになってしまったのでした。
モブリー氏受難の巻、この”Someday My Prince Will Come”、そうした曰くがこの演奏にはあったのです。
さて、受難の巻の次に来る”Someday My Prince Will Come”は、追悼の”Someday My Prince Will Come”。
再生できない場合、ダウンロードは🎵こちら
デンマークのベーシスト Niels-Henning Orsted Pedersen(ニールス・へニング・エルステッド・ペデルセン)、1997年制作の”Friends Forever: In Memory of Kenny Drew ”からの演奏。
この作品は、1993年に他界した名ピアニストKenny Drew、そのトリオのベーシストして1970年代初めから行動を共にして来たペデルセンが、ドリューへの追悼の意を込めて、ドリューが生前好んで演奏した曲を集めて収録した演奏集なのです。
この”Someday My Prince Will Come”、カナダ出身の女流ピアニスト Renee Rosnes(リニ―・ロスネス)の明るみのあるビル・エヴァンス・タッチのピアノのテーマに続く、ペデルセンの、その豊かな音色とギターのような軽快さをあわせもつのベースの調べ中に、ケニ―への深い思慕の念が込められているのを感じてしまうような。
ふと、そんな思いがよぎっていく、これまでに挙げた演奏と、また違った趣がある演奏のように思います。
そして、締め括りは、やはりヴォーカルもの。
現代的表現のこの演奏などいかがでしょうか。
青山 テルマさんですね。
彼女、ソウルフルないいヴォーカリストだと以前より思っていましたが、この”Someday My Prince Will Come”には大いなる夢を感じるように思います。
”Someday My Prince Will Come”、夢と安らぎを与えてくれる名曲。
どのアーティストの演奏にも、それぞれの夢や思いがこもっていて、甲乙つけがたい魅力がある。
じっくりと耳を傾けながら、皆それぞれの夢の世界に浸っていただけたらと思います。
Niels-Henning Orsted Pedersenの王子様はテンポが若干遅いためかすごく落ち着いた感じがして好きです^^ エヴァンスの王子様はちょっとせわしない感じが…^^;
by snowman (2011-11-12 02:23)
snowmanさん
そうですね。エヴァンスの演奏は、ドラムが強くペデルセンものと比較すると確かにせわしなさを感じますね。
このペデルセンの演奏がお気に入りのならば、その元となったケニー・ドリューの演奏もお気召すかもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=qQpl0xS4QHI
よろしければ聴いてみてください。
by 老年蛇銘多親父 (2011-11-12 17:12)
いつか王子様が・・すごく素敵な曲ですよね。
テルマちゃん、大ヒットの後は少し
影が薄くなっちゃったみたいですが、
実力有るし、また頑張って欲しいですね。
by TAMA (2011-11-12 21:36)
私はビル・エヴァンスのが一番好きです[__るんるん]
マイルスのもいいですけど、確かにハンク・モブレーは聴きやすい
けどコルトレーンと比べられると。。。ですね~[__ふらふら]
それにしてもこんな時代の映像があるなんて
YOUTUBE[__ぴかぴか]ありがたいですね。
私が注目している若手ピアニスト(鍵盤王子)
宮川純の弾くSOMEDAY MY...もいいですよ[__るんるん]
機会があれば聴いてみてください~
by かなっぺ (2011-11-14 00:01)
TAMAさん
日本のポップ・ミュージック・シ―ン、いつも思うことなんですけど、本格実力派の人は、なかなか受入れられにくい土壌があるような気がします。
テルマさんも次にヒットシーンに姿を現す時は、さらに大きな歌手になっている、それを期待したいものだと思います。
by 老年蛇銘多親父 (2011-11-14 05:50)
かなっぺさん
私もエヴァンスの、この映像を見つけた時こんなものが残っていたのだと、一瞬、興奮してしまいました。
ところで、宮川純さん(一瞬 宮川進と間違ってしまいましたが。)、イケメンですね。
2009年にCDを出しているのですね。
ちょっとさわりだけ聴いてみましたが、曲のアプローチの仕方が面白いなと感じました。
しかし、かなっぺさん、このイケメンにやられたのでは?
by 老年蛇銘多親父 (2011-11-14 06:19)
itukiさん
xml_xslさん
マチャさん
ねこのめさん
yukihiroさん
niceありがとうございます。
by 老年蛇銘多親父 (2011-11-23 06:30)