若きの日の仲間との集い(その1;日本の海の守り探訪記) [閑話休題]

11月の中旬のこと、3年前より続いている学生時代の仲間との集い、この秋もまた無事に開催、旧交を温めることができました。

初回から数えて5回目の開催となった今回は、暗黙のうちに決まった行事企画を続けて2回行うとした企画幹事輪番制のルールから、今回はその企画を初めてYさんが担当することになったですけど、ところがこのYさん、実は大変な軍事通で、セミプロ並みの腕前のカメラを片手に、日本各地の軍事施設を歩き回り写真を撮り続けているという大変な強者。

果たしてどんな企画が飛び出してくるものやら、皆戦々恐々の体でいたのですが、果たしてその結果は!!


そして9月、そろそろ会の案内が来るのではと毎日メールを見ていると、そこに幹事さんからのメールが。
さて今回の企画はと恐る恐る覗いてみると、会の開催は11月、そしてその行き先は横須賀・横浜とあったのです。
企画の詳細は後日案内しますということで具体的な行き先は分からなかったのですが、軍事に詳しいYさんのこと、横須賀といえば海上自衛隊の横須賀基地があり、そして在日米軍の第7艦隊が常駐、アメリカ国外の基地を事実上の母港としている唯一の原子力航空母艦ジョージ・ワシントンが配備されている場所。

おまけに、明治時代に勃発した日露戦争の時の日本海海戦で旗艦として活躍した、戦艦三笠が記念艦として保存されている三笠公園などがある、軍事通の人にはたまらない魅力のある場所。

これはYさんらしいと思いつつ、ともあれ、一人ではなかなかいかない場所、これを機会に一度見てみるかということで出席の通知をすることにしたのです。
それから3週間、当日のスケジュールが送られてきたので、それを見てみると案の定

京急汐入駅集合→海軍カレー館で昼食→軍港めぐり(遊覧船)→三笠公園→桜木町へ
日本丸→横浜みなと未来で夕食懇親会

という予想通りのもの。

特に軍港めぐりは、日常まずは接することのない在日米軍や自衛隊の艦船を洋上で間近にすることができると聞き、ちょっとした期待を持って当日を待つことにしたのです。




そして当日、待ち合わせ場所の汐入駅に着くとすでに幹事さんは来ていていたので、今回の参加者を聞くと、この集まりを始めた直前、心筋梗塞に倒れ一命をとりとめたものの、リハビリ入院を余儀なくされ参加することができなかったⅠさんも出席とのこと。
当初、私とIK先輩の二人で皆に呼びかけ初めたこの催し、その後、会を重ねるごとに、毎回新たなメンバーが戻って来てくれると嬉さ感じることしばし。

そんな思いにふけりながら、皆の集合を待つこと数分、30年ぶりの再会となるⅠさんも大きな病気をしたとは思えない元気な姿を見せてくれ全員が揃ったところで、企画幹事のYさんから皆にこんなものが配布されたのですが。

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それは、軍港めぐりのクルーズ乗船券。
実はこのクルーズ、凄い人気でYさんも早い時期にネット予約をしようとしたのだけど予約分はすでに完売。
仕方がないので、朝5時に家を出て窓口の開業を待ち当日券をGetしたのだとか。
いやいや、本当にご苦労様でした。

そうこうしたところで、クルーズは13:00時の乗船ということでまずは腹ごしらえ。
予定通り、海軍カレーをということで、皆で海軍カレー館に向かうことにしたのです。

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ところで、どうして海軍にカレーなのか。

それは、明治期に創設された日本海軍がその手本を英国海軍に学んだからだというのです。
というのも、英国海軍では、当時英国の植民地であったインドに進駐する際は、普段の食べていたシチューが日持ちしないことから、このインドの香辛料を使ったカレーを食べていたということで、それを当時の日本海軍が将兵の健康管理のため導入し、日本人の好みにあうようアレンジしに常食とするようなったからなのだとか。

そうした曰くのあるカレー、メニューの中から、やはり明治海軍の心意気を味わいたいということで”元祖海軍カレー”を注文すると、まず運ばれてきたのがこちら。
 
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牛乳とサラダ。
今は、水とサラダというところなのでしょうけど、この牛乳も不足しがちなカルシュームを摂取するために当初海軍時代から出されたいたもの。

つまり海軍カレー、それは艦内で暮らす将兵の万能栄養食だったということなのですね。


企画幹事のY さんの話によれば、この海軍カレー、今も海上自衛隊では毎週金曜日にはカレーを食べる習慣となっており、それぞれの艦船に秘伝のレシピが伝わているのだそうなのです。
そして、中でもとりわけおいしいと言われているのが、潜水艦のカレーという話。。
それは、狭い艦内で長期間、極限状態の暮らしを営まねばならない将兵の一番の楽しみである食事の時間のために、シェフがよりよりを腕かけ作り上げた結果ということなのだとか。

そうした、Yさんのうんちく話を聞いていると、ほどなく運ばれて来たのが、こちらのカレー。

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さて、お味の方は?
今のカレーと比べるとスパイスが足りず、かなりあっさりとした感じ。
それでもこれは、その昔、まだ香辛料に馴染みのなかった日本人にとっては十分すぎるものではなかったのでは思ってみたり。

いずれにせよこのカレー、あの明治の日露戦争、その中でロシアのバルチック艦隊を完膚無きほどまでに壊滅さしめた日本海戦において、東郷平八郎や秋山真之らの活躍と共に、将兵の健康と士気の鼓舞に大きな貢献を果たした影の功労者だったのではと考えると、その拍子抜けなあっさり感にも、奥深い味わいがあるように感じられてくるのでした。



こうして昼食終え、今度はできるだけ右手前方の良い席をとるため、軍港めぐり乗船場に向け早めの出発。
乗船場に来てみると、色をつけた出した街路樹の見える岸部のさらに向こうに

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現在海上自衛隊のフラッグ・シップ、”護衛艦ひゅうが”が停泊しているの見えていました。

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この船、ヘリコプターを最大10機搭載できる、現在就航する自衛隊最大の護衛艦で、この船を見れるのはこの横須賀と、同型艦”いせ”が母港としている呉のみという代物。

そして、その街路樹の対岸にある米軍基地の中に潜水艦バースには2隻の潜水艦が。

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写真の向かって左側の潜水艦は、原子力を使わない通常動力型潜水艦では世界最大といわれる”そうりゅう型”潜水艦。
通常動力型といってもそのエンジンは、従来のディーゼル・エンジンによる発電方式によるものではなく、日本初のAIPと呼ばれる大気に依存することないスターリングエンジン搭載の、世界的にみても優れた能力を有する最新鋭艦なのです。

とまあ、クルージング乗船前に自衛隊の最新鋭艦2隻を目にしてしまって、果たしてクルーズでははどんな船に出会えるのか楽しみになってきます。

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そうした艦船を見ながら熱く語るYさんの解説、そのおかげで乗船までの待ち時間の1時間も瞬く間に過ぎ、乗船、いよいよ我々もクルーズに出発です。


それでは、そのクルーズ」この日出会った艦船、ここでご紹介することにいたしましょう。

先ほどの潜水艦2隻を見ながらさらに進んで行くと見えて来たのこちらの船。

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これはアメリカ海軍の”ミサイル巡洋艦シャイロー ”
北朝鮮の連続ミサイル発射事件の対抗処置のため横須賀に配備されたイージス艦だとか。

そしてその艦橋

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いや~ 威圧感がありますね。


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これは”補給艦おうみ”
自衛隊の保有する最大の艦船で、本来は舞鶴を母港としているため、横須賀で見れるの大変珍しいのだそうなのです。

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そして”試験艦あすか”。
1995年に就航した兵器実験艦で、というと分かりにくいかもしれませんが、、護衛艦など実戦配備するにああたって、新開発の兵器を搭載、その性能を確認するのがこの船なのです。

確かに洋上で使われる兵器、陸上のテストだけではその能力を十分につかむことはできないと考えれば、それも至極当然のこと、しかし、こんな船まであるのですね。

そして最後はこの船、

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先に見た”護衛艦ひゅうが”。
こうして洋上で近づいて見るとその大きさはかなりのもの。
この船、艦隊の司令の役割を持つほか、装備を見るとヘリコプター同時4機運用可能な能力を使っての対潜水艦哨戒・攻撃への高い能力が目につくのですが、やはりこの船で思い出すのは災害派遣での活躍。

特に2011年の東日本大震災に際しては、大きな大きな積載能力とヘリコプターの機動力を利しての迅速な支援物資の供給活動での活躍は記憶に新しいものがあるのではないかと思います。

さて、この軍港クルーズの記事、クルザーの案内人さんの懇切丁寧なガイドと、その説明をさらに補足してくれたYさん解説の受け売りでここまで書いてしまいましたが、周辺諸国の不穏な動きが取りざたされる今日、四方を海に囲まれたこの国の守り、からくもその断片に接することができたことは、有意義であったのではと思っています。
そして、またこのクルーズ機会があればもう一度乗船し、今度は、残念なことに今回見ることのできなかった横須賀を母港とする日本の”イージス艦きりしま”に出会えればと思うのです。

最後に、海上自衛隊の現在、こんなビデオを見つけましたので興味のある方は是非ともご覧ください。



                                                ≪次回へ続く≫


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ミスカラス

地元の人間でも知らない事ばかりでとっても勉強になります。私は、横須賀駅裏の東逸見の生まれです。駅裏の山・・地元で稲荷山というのですが、そこからの眺めが、地元の人間しか知らないとっておきの場所です。そんな私も・・40年以上、後無沙汰ですがガキの頃に上から見た眺めは最高でした。汐入とか逸見は谷戸に住宅が密集しているので、驚かれたのでは!。後、海上自衛隊総監部のある箱崎、あそこは一般の人は今でも立ち入り禁止の場所なので自然の宝庫だそうです。地元の人間なのに一度も軍港巡りに行った事がないのがお恥ずかしい限りです。
by ミスカラス (2014-11-30 19:34) 

ハンコック

こんばんは。
横浜に住んでいるのに横須賀には一度も
行ったことがありません。
通過したことは何度もあるんですが...
一度行ってみようかなと思いました。

by ハンコック (2014-11-30 20:09) 

老年蛇銘多親父

ミスカラスさん

そうですよね。ずっとその場所に住んでいると、それが当たり前になってしまって、結構なにも知らないとなんていうこと。

私が鹿児島に住んだ時も、外から来た私の方がその土地に興味を持ってしまって、地元の人が知らないことを私の方がよく知ってしまっていたなんてことがありました。

そうそう横須賀の高台、海軍カレー館ののそばにあった諏訪神社、あそこの高台も見晴らしが良さそうでしたね。

しかし、海の町に長野の山の中の諏訪の神様がと、不思議な気がしましたけど、考えてみれば諏訪の神様は、武の神様、日露戦争の時には白い神馬に乗って前線に赴き戦士を鼓舞したなんて伝承があるくらいですから、そう考えれば横須賀の守りにふさわしい神様なのかもしれませんと思ったりして。
by 老年蛇銘多親父 (2014-12-05 06:05) 

老年蛇銘多親父

ハンコックさん

横須賀の町、今回私も初めてゆっくりと歩いてみましたが、米軍さんが駐留する町ということもあって、町の雰囲気もちょっと変わっていて、町の様子を写真に収め歩くも面白いのかもしれないと思いました。

お近くですから、是非一度訪れてみてください。

by 老年蛇銘多親父 (2014-12-05 06:09) 

raccoon

海軍カレーですか。
一度味わってみたいですね。
 会社での昼食時に、海軍の人は曜日感覚を失わないために金曜のメニューはカレーなんだって言っていた人の話を思い出しました。
横須賀は、かなり昔、久里浜からフェリーに乗るのに、途中通過したことがあるくらいです。機会があれば軍港にも行ってみたいですね。
by raccoon (2014-12-05 10:29) 

老年蛇銘多親父

raccoonさん

横須賀の軍港めぐりの船の発着場には、自衛隊の各艦船のカレーのレシピを再現したカレーの缶詰が売られていますので、是非お出掛けになって、この缶詰で現代海軍のカレーの味を堪能してみたらいかがでしょう。
by 老年蛇銘多親父 (2014-12-06 11:57) 

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