ホットなジャズを奏でたお巡りさん、余技を極めてプロ・デビュー!!・Lem Winchester.;Winchester Special [音源発掘]

前回は、花見に似合うジャズのお話をいたしましたが、その取り上げた曲が1960年代のものであったことから、以来、久々に今から60年ほど前の1950年、60年代のジャズに嵌まってしまっているところ。

確かに、1950年、60年代のジャズは現在のアーティストのような洗練されたは感覚は希薄で、テクニック的にも今一歩及ばないところがあるように思えるものの、それを凌駕するその魅力は、サウンドの中に潜み漂う熱い空気と聴く者の心を優しく包む暖かい響き。

てなわけで今回は、そうした1950年、60年代のジャズ・アーティスト中で、本職は警察官であったのに趣味余技でその心技を探求するうちにミュージシャン稼業が本職となってしまった、ちょっと風変わりな経歴を持つアーティストの作品を聴いて行くことにするとにいたしましょう。


そのアーティストの名前は、ヴィブラフォン奏者の Lem Winchester.。
30歳で、アマチュアながら1958年のニューポートジャズフェスティバルに出演し大きな注目浴びた後、数作の名演生みながらプロとしての道を歩み始めたというWinchester。

その活動期間は、1961年 ロシアンルーレット(回転式拳銃(リボルバー)に1発だけ実包(弾薬)を装填し、適当にシリンダーを回転させてから自分の頭(特にこめかみ)に向け引き金を引くゲーム )に興じ32歳で他界するまでの、わずか2年半とあって、今は知る人ぞ知る存在となってしまったのか、その彼の作品が再発されることは稀となってしまい入手もままならない状況となっているのでが、実際は、その短い活動期間にリーダー/サイドマンして10枚以上の作品を残していて、当時 ヴィブラフォン奏者の頂点のいた名匠Milt Jacksonの次を担う世代のアーティストとして大いなる注目を集めていた存在。

スタイル的にはそのMilt Jacksonの影響が色濃いものの、その音質はMiltのそれより柔らかく軽やかな感じ、中でも私が初めて聴いたWinchesterの作品である1958年のピアニストのRamsey Lewisのトリオとのコラボによる彼のスタジオ・デビュー作品の”Lem Winchester and the Ramsey Lewis Trio (Argo)”は、聴いた塗炭にその音色に一発でやられてしまい、以来愛聴盤として長きにわたって聴き続けているもの。

作品としては、このRamsey Lewis Trioとのアルバムが一般的には一番知らている彼の代表作ではないかと思うのですが、今回取り上げることにした作品は、この時期、ファンキー・ジャズの旗手として人気の頂点にあった、Art Blakey & The Jazz Messengersのテナー・サックス奏者で作・編曲家のBenny Golsonが加わった1959年制作の ”Winchester Special (New Jazz) with Benny Golson”という作品。

lem winchester special.jpg


この作品を選んだのは、Lem Winchesterというアーティスト、Milt Jacksonを敬愛していたためか、Miltと共演したアーティストと共演している作品がいくつかあり、この作品もMiltが本作の9ヶ月前に録音した本作同様Benny Golson、ピアニストのTommy Flanaganと共演した名作”Bags' Opus”

milt jackson bags opus.jpg


の後を受けてものであることから、Miltと共に名作を生んだ二人の大物アーティストを従えてWinchesterが、どんな味わいのサウンドを聴かせてくれるか、そのあたりを踏まえじっくりと聴きたくなってしまったからなのです。


それでは、前置きはこのくらいにして、Benny Golsonと繰り広げるLem Winchester の世界を聴きながらお話を進めて行こうと思います。











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