早春の海辺の風に誘われて:The Shadow Of Your Smile(いそしぎ) [名曲名演の散歩道]

暖冬という言葉を越えて暖かい日が続く今年の2月。
街を歩くと早くも見頃を迎えた梅の花の様子が目に入って来ます。

これも、古の万葉歌人、大伴旅人が、梅の花を愛でながら催した新春の宴の章より名を取った令和の世だからとかと思ったり。

と、そんなことを考えていたところ、どういう訳か陽気の良さも手伝ってか、春の暖かい日射しがそそぎそこにまだ冬の寒さの名残を宿す風が舞う海辺情景と、The Shadow Of Your Smile(いそしぎ)”のメロディが思い浮かんで来たのです。

そして、そこから、新年早々黒田卓也の”The Shadow Of Your Smile(いそしぎ)”をご紹介させていただいて以来、私が選び入手する作品に、ことごとくこの曲が収録されているという妙な因縁が生じていることに気付き、この奇遇、どうやらこれも縁と、久々にこの”名曲・名演の散歩道”で、この曲の様々なバージョンを集め
聴いてみることに思い至ったのです。


さて、その”The Shadow Of Your Smile(いそしぎ)”、その原曲は、ヴィンセント・ミネリ(Vincente Minnelli)監督、主演 エリザベス・テイラー(Elizabeth Taylor)リチャード・バートン(Richard Burton)主演の1965年のアメリカ映画 ”The Sandpiper(邦題:いそしぎ)”のテーマ曲として発表され、その後、多くのアーティストに取り上げられ、1965年のアカデミー歌曲賞、翌1966年にはグラミー賞最優秀楽曲賞受賞したという誉れ高い名曲。

映画いそしぎ.jpg


しかし、こうした大きな評価を得たテーマ曲に対して、自由に生きる美貌の女流画家と、妻子ある学校長の恋、いわいる不倫を描いたスト-リーの映画の方の評判は、今一つ芳しくなかったようなのです。

そのためか、私も曲の方は、この曲が映画のテーマ曲であることも知らず、かなり以前から気に入り耳にしていたのですが、その原曲が映画のテーマ曲と知ったのは偶然にもTVで放映されたその映画を見てのこと。
その映画との初めての出会いは、1971年ごろ、見ることなしにつけぱっなしにしていたTVから聴こえて来たトランペットが奏でる哀愁のあるそのメロディにあれこれは!!と思い、ふとそちらの方へ目を向け見てしまったのがその始まり。

その映画、今ではそのストーリー、妻子ある男性と美貌のシングル・マーザーの不倫恋愛ドラマであったことを覚えて入るぐらいで、内容はほとんど覚えていないのですけど、このテーマ曲の流れるオープニングの海辺の美しい映像と、そこに登場するElizabeth Taylorの妖艶な美しさが、深く記憶に刻まれてしまい、以来、この曲を聴くとこの映画のシーンが目の前に浮かんでくることになってしまったのです。

それでは私の思い出のシーン、オリジナルサウンド・トラックの演奏ではありませんが、その雰囲気を感じられるこんな映像がありましたので、ここで見ていただくことにいたしましょう。



Johnny Mandel作曲、Paul Francis Webster作詞によるこの曲、本来のオリジナル・サウンドトラックでは、Jack Sheldonのトランペット・ソロによる演奏だったのですが、ここで使われている101ストリングスの演奏も映像マッチして、オリジナルの雰囲気を良く醸し出しているように思います。


オリジナルの雰囲気を味わっていただいたところで”名曲・名演の散歩道”、この後は、その名曲を歌い伝える様々な演奏を聴いて行きたいと思うのですが、映画の存在が忘れられてしまうほどのポピュラーな存在となったこの名曲、そのカヴァーをしているアーティストの顔ぶれも、Barbra Streisand、Frank Sinatra、Sarah Vaughan、Perry Como、Shirley Bassey 等々、20世紀のエンターテイナー勢揃いといった様相があります。

そうした中でも私にとって思い出深いのは、私がこの曲を知るきかっけとなった、当時日本TVで放映されていたアメリカのあるエンターテイナーによるミュージック・ショーで聴いたこの歌唱です!!



甘い歌声が光るAndrew Williamsの”The Shadow Of Your Smile”です。
この曲が、アメリカで人気を博した当時、日本では、毎週このAndrew WilliamsのTVショーが放映されていたので、このショーから私のみならずこの曲を知ったという方も少なくないのではと思います。


ここまで、しっとりとした”The Shadow Of Your Smile”を聴いて来ましたが、やはり今の方々にとって馴染みやすいのは、ボサノバ・タッチの”The Shadow Of Your Smile”演奏ではないかと思います。

そこで、次はボサノバの”The Shadow Of Your Smile”から、

1965年この映画の発表の後、いち早くこの曲をレコーディングリリースした、ボサノバの女王ことAstrud Gilberto。
今度はそのGilbertoの歌でこの曲を聴いてみたいと思います。


さあ!聴いてみましょう!!!


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