70年代プログレシッブ・ロックに新たな生命を与えたアーティスト・Fleesh:Eclipsed [音源発掘]

いよいよ梅雨入り。

今年の梅雨は、海水温度が例年に比べ高いことから、梅雨の間の台風発生が多くなり大雨となることが多くなる可能性が大の予報。

大きな災害とならなければいいなと思いながら、なんとも鬱陶しい気分になって来ます。

そんな鬱陶しさが忍び寄る6月、ここのところその鬱陶しさを少しでも忘れられればと聴きたくなってしまったのが、爽やかさを感じるロック・サウンド。

そう思うと困ったもので、自然に若き日に聴いた70年代のロック・サウンドへと食指が動きだしてしまうのですが、どうも今はその気分ではない。

なんとなく新鮮さを感じる現代のサウンドが欲しいということで、探し目に飛び込んで来たのがこのジャケット。

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なんとなく求めていたイメージと合致するそのデザインに惹かれて、作品のタイトルを見てみると”Eclipsed”とある。

なるほど、このジャケットは日食をイメージしたものなのだな思い、そこから70年代プログレの雄である Pink Floydの名作”The Dark Side of the Moon(邦題;狂気)”を勝手に連想、これならそのサウンドも求めていたものに違いないはずと、なにはともあれ早速聴いてみることにしたのです。


さて、一体どんな音が聴こえてくるものか。
まずは、ご一緒に聴いてみることに致しましょう。







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亡き友が愛した思い出のジャズ・レコード;Eric Dolphy・Outward Bound [音源発掘]

初夏を思わす日々が続いたと思ったら、その翌日は初春の頃へと季節は逆戻り。

おかげで、この激しい寒暖の変化の繰り返しに体が馴染まずとうとう体調不良となってしまった私。
幸い発熱することもなかったので、軽い夏風邪だろうと風邪薬を飲んで一日養生してみたところ何とか回復。

そして、悪い病ではなく良かったなと思ったら、今度は10年振りだと言われる早さの梅雨の入り。
おかげで今は、いつもの年にも増して気まぐれがすぎるお天気模様に翻弄さればっなしでどうも気が晴れず、悶々とした日々を送っているところ。

そんな日々を過ごしている中、最近聴いているのは、今年4月に亡くなった学生時代からの友人が、その昔、私に教えてくれた彼のお気に入りだと紹介してもらった諸作品。

その彼、学生時代まだジャズを聴き始めたばかりだった私が、よく彼の4畳半の下宿を訪ねそこで音楽を聴きながらジャズの教えを受けた、深い親交のあった友人なのですが、亡くなって1ヶ月、心の整理が出来たところで、彼を偲び、共に聴き教えてもらった作品を思い出し聴いていたのですが、今回取り上げたのは、その中でも最も思い出の深かったこの作品。

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マルチ・リード・プレヤーのEric Dolphyの初リーダ作品、 1960年制作の”Outward Bound"。

星が好きだったというその友人、音楽作品についても内容はともかく星や天体現象が作品のタイトルにあると即Getとしてしまう癖があるのだと語っていたのですが、実はこの作品も邦題に”惑星”とあったため即Get、聴いてみたところすっかり気に入ってしまったものだったとのこと。

原題”Outward Bound"、訳せば「外国行きの」はずが、どうして”惑星”という邦題がつけられたのか妙に思ったものの、この時が私としては初めて聴くEric Dolphy。
聴いてみて、ぶっ壊れたような音を響かせながら繰り広げられる異次元のインプロビゼーションの世界に、これこそ「惑星」だと惹き込まれてしまい、私にとっても記憶の底に深く残ってしまった作品なのです。


そこで、私が「惑星」を感じた、Eric Dolphyの一線画したソロの世界、まずは、お聴きいただくことに致しましょう。



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ジャズとロックの巨頭が集った夢のLive・Live in San Francisco 1988:Carlos Santana & Wayne Shorter Band [音源発掘]

ゴールデンウイークも終って、早1週間余り。

休みボケも解消、日常生活にもようやく体も馴染み再び日々忙しく過ごしていることと思いますが、今年のゴールデンウイークは、長かったコロナの猛威も収まりを見せたこともあり、どこに行ってもそれを待ち望んでいた人たちの賑わいで大盛況となっていた様子。

私の方は、皆が休みの時こそ稼ぎ時という因果な職業であることから、通常仕事の采配は若手に任せるも、老体であればこそ出馬しなければならない場面も多々あり、そのため、なんとか不連続4日間の休みは取れたもののあとは仕事。

それでも、まとめてではないけれど4日間の休みが取れたことはありがたいこと。
老骨への休養と運動を兼ね、音楽を聴きながら連休で人の出の減った街を散歩するしていたのです。

そうしたことから,
今回の作品は、その散策がてらに聴いていた作品から、

聴いていたのは、今年亡くなったJeff Beck、Wayne Shoter、 坂本龍一等の音楽。
ロック、ジャズ、クラシック・ジャンルのアーティストと、いささか支離滅裂な感のある聴き方のようにも思えるかもしれませんが、いずれも私が若き日より親しんで来た人たち。
私に、ジャンルの垣根を越えた音楽の奥深さを教えてくれた彼等、もう一度その偉業の跡を振り返ってみようと、その残された作品を聴くことにしていたのです。

そうした彼らの作品の中から今回選んだのは、その逝去を知り多くの著名人の追悼のコメントに接したことが切っ掛けで探し見つけたこの作品。

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1988年、Carlos Santana と Wayne Shorter 率いる臨時編成バンドよる”Live in San Francisco 1988”です。

1988年夏の間の限り、ラテン・ロックのパイオニアであるCarlos Santanaとジャズ界の大御所サックス奏者でクリエーターのWayne Shorterがアメリカとヨーロッパのライヴのみで活動を展開したこのバンド。

このライブ作品は、アメリカのTVネット・ワークPBSのスペシャル番組として放送された、同年6月のサンフランシスコ公演の様子を収めたもの。


その作品、私がこれを見つける切っ掛けとなったのは、たまたま見たShorterと長き渡り親交があった渡辺貞夫さんの追悼コメント。
そこで、貞夫さんが語っていたのは、Shorterとはよく酒を飲み交わした仲であり、それが縁となって二人ともSantanaとライブ共演することになってしまったのだとのこと。

そう言われてみれば、確かに渡辺貞夫さん、確かに1991年のSantanaのバンド来日の際、ライブに客演しSantanaの名曲”Europa(哀愁のヨーロッパ)”等を演奏していたのを、私はTVで放送で見て知っていたのですが、

その映像がこちら


ShorterがSantanaのステージに上がり共演していたことは全く知らず、古くからのSantanaファンである私としては、その音源があればなんとしても聴いてみたいと、探し見つけ出したのがこの作品だったのです。

そこで、ShorterとSantanaの夢のライブ、
まずはご覧にただくことに致しましょう。

本作品からの音源ではありませんが、同じ年の7月、スイスのモンタレー・ジャズ・フェスティバルの映像で、
曲は、ShorterがMiles DavisにMiles1970年発表の問題作”Bitches Brew”のために作曲、提供した”Sanctuary”です。





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春風を誘う魅惑のギター・サウンド [音源発掘]

この間、桜が咲き散ったばかりと思っていたら、早いもので4月も、もう終わり。

夏日となる日もあった、いささか初夏の面持を感じる今年の4月でしたけど、暖かく穏やかな空気に触れているうちに無性に聴きたくなって、ここところ聴いていたのが、軽やかな音の響きを心地よいジャズ・ギターのサウンド。

私の好みのジャズのギターリストと言うと、本来はWes MontgomeryやKenny Burrell,Jim Hallなのですけど、今回は、ちょっと毛色を変えて、これまで敬遠していたギタリストの作品を聴いてみようと選び聴き始めたのがこの作品。

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今やエンターテインメントして活躍するアメリカのギタリストでヴォーカリストのGeorge Benson による1968年の作品”Giblet Gravy”です。


Bensonと言えば、1976年発表の作品”Breezin”が最も有名な作品なのですが、あえて冒頭にこの初期の作品を選んだのは、Bensonの伝統的なジャズ・ギター・プレイを聴きたかったからで、”Breezin”でヴォーカルを披露してからの彼のスタイルは、ポップ化しフュージョンの色彩が濃くなってしまっていたため、選定外としたのがその理由。

そうして選んだ彼の伝統的ギター・プレイが聴けるこの作品、全体的ソウル・ジャズの色合いが濃いものの、その根底に、私の好きなWes MontgomeryやKenny のBurrell,Jim Hallなどの伝統的なジャズ・ギターのスタイルのBensonが聴け、なんとも言い難い味わいを感じるもの。

特に、ニュ-ヨークの溜息と言われるHelen Merrill の1955年の歌唱で知られる”What's New”の演奏は、Bensonのジャズ・ギタリストとしての魅力を十二分に味わうことが出来、気分爽快。

そこで、まずはその”What's New”、この曲から聴き始めることに致しましょう。






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早き春!!街を彩ったソメイヨシノ 2023 [仕事の合間に]

前回の記事でもお話致しましたが、忙しさであちらこちらへと飛び回る日々が続いた今年の3月。

しかし、歩き回りながら感じたのは、今年の春の訪れの異常な早さ。

それを感じたのは、いつもの年なら、ソメイヨシノの開花は、まだこれからという3月19日のこと。
東京府中にあるお客様のところに向かう道すがらに見かけたこんな風景。

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公園の淡いピンクの花をつけ咲かせた桜の木が!!

東京のソメイヨシノ開花は3月14日だとニュースでは聞いていたけど、例年、靖国にある標準木の開花より数日開花が遅れていたはずと思っていた府中で、ここまで花をつけたソメイヨシノに出会うとは!!

傍に寄って見るとこの通り。

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しかし、このソメイヨシノ????
いくら今年の開花が早かったとはいえ、花の特徴はソメイヨシノなれもどこの時期でこの花づきの良さ、もしかすると、いつもはこの時期満開の彼岸桜かもしれないと、この日の帰路、家の傍の彼岸桜の様子を見に行ったところ、こちらの方は既に花は落ちてしまって葉桜始まりの状態。

と言うことは、府中で出会った桜は間違いなくソメイヨシノ。

かなり早いけど、花見の季節。
なれば、行く先々で合間みて、桜を愛でて来たるべき春を楽しみながら、仕事に励むことにしたのですのです。


まず訪れたのは、桜との語呂合わせよろしく千葉県佐倉にあるお客様のところ。

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構内に入ってみると道路沿い桜の木。
どんなものかと見てみると、こちらは7分咲き程度の按配。

東京より開花の遅いここでこの状態なら、都内は満開の見頃となっていることだろうと、翌日予定の府中のお客様訪問の帰り、府中駅近くの桜並木へと足を延ばしてみることにしたのです。

そして、行ってみると思った通り。
桜の花が道路を包み込み、2023年の春到来を高らかに歌い上げています。

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さらに、この並木の先にある公園へと足を進め、園内を覘いてみると。

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桜に囲まれた園内の広場で、桜の木の下にシートを広げお花見を楽しむ人の姿や、野球に興じる子供たち姿があり、コロナが明けようやくの日常到来を実感することになりました。

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こうして見てきた桜、しかし、仕事の合間に忙しく見るのではどうも味気ない。
そこで、今度は仕事を離れてゆっくり鑑賞してみようと束の間の休日にはと考えたものの、人ゴミに巻き込まれるのは嫌だし、遠出をしては骨休みの時間がなくなるし、ということで近場のどこかでと探していたところ、目に入ったの毎日通勤の際に乗る新京成電車の中で見た、新京成沿線のお花見スポット紹介ポスター。

その中で、目に留まったスポットが習志野市にある鷺沼城址公園。

ここは、以前にも何回か訪れたことのある場所なのですけど、
その時は、この地がその昔、石橋山合戦で敗れた源頼朝が房総に逃れ、その後この地の有力武将であった千葉常胤の助力を得て再起、この城址の場所に滞在し平家打倒の兵を整えたという伝承の場所だということの興味が先で、また、桜の花の時期ではなかったこともあって、ここがお花見スポットとなっているとは思いもよらなかったのですが、そうと知ったら桜を見ながら歴史に思いを馳せるのもまた一興と、早速出掛けることにしたのです。


そしてその当日。
習志野市役所の向かいの小高い丘の横の遊歩道を歩いて、西の入口に到着すると、そこからは、

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さすが城跡と言うこともあって、結構傾斜急な階段。
とにかく、それを登って本丸跡かと言われる公園広場に来てみると。

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思っていたより見事な桜の風景!!
そして、埴輪のレプリカが!

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実は、ここには、築造年代6世紀後半と言われる全長20~25mの前方後円墳が2基あって、そこから人物や馬の埴輪の破片が出土したとため、こんな埴輪のレプリカが置かれたそうなのです。

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束の間の休日、古代・中世、歴史の余韻を身に感じながらのお花見。
ここでは、一風変わったお花見を体験することになりました。


さて、今年の桜の季節、この他にもいろいろ歩きソメイヨシノを楽しんだのですが、ここで、この桜の風景、Joe Sampleのピアノに乗せて、こんな映像にまとめてみました。
曲は、フュージョンの名曲”Carmel”、過ぎ去った桜の季節の思い出を楽しんでいただければと思います。



それにしても、異常とも言える観測史上一番と言われる早さのソメイヨシノの開花を促した今年の初春の暖かさ。
この暖かさの下、街を歩き感じたのは、桜だけではなくすべての花々の例年にはない開花の早さ。

ソメイヨシノが散り始めた3月の終りには、いつもなら4月半ばぐらいに咲くシャクヤクやチューリップが見事に春爛漫を告げていた。

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そして、4月に入ると、驚いたことに5月が見頃のはずの藤やさつき、ハナミズキも綺麗に花をつけ咲く姿を見せていた。

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1週間ほど開花が早いと報じられたソメイヨシノであったけど、それ以後、春の訪れはさらに加速して、今や、2週間近く早い花々の開花を促し、まさに百花繚乱と言う感じ。

いつも、5月にならなければ咲くことのなかった我家のマツバギクも、ソメイヨシノ満開の時には蕾をつけ、今やこの通り。

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日本列島に、超早い春をもたらしたこの暖かさ。
聞けば、列島周辺の海水温度の高さがその要因の一つなっているそうなのだが、おかげで海の流れも変わり、サンマやサバは最悪の不漁となっているのだとか。
代わって、この時期獲れるはずのないブリが、水揚げされたというのだが。
これも、温暖化の影響によるものなのだとか。

こうしたことを聞くと、一斉に花が彩を添えた一早い春の訪れも喜んでばかりいられない。
巡って私たちの日常にも悪い影響を与えることにならないかと心配になって来ます。

世界中で二酸化炭素排出を抑えるべくいといろな技術も開発が進んでいるようだけども、一刻も早く実用化され温暖化の進行を食い止めなければと、その思い痛感しました。


今日街を歩ていたら、もう八重桜が満開となっていた。
一挙にやって来た今年の春。

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日本周辺の海水温も高く、猛暑が予想されている今年の夏。
大きな台風が発生、この列島に押し寄せ日常を破壊する猛威を奮うことがないようにと、ただ祈るばかりです。




PS:
4月初めに届いた坂本龍一さんの訃報。
今年に入って、ジャンルは違うがJeff Beck,Wayne Shorterに続いて、若き日の私に音楽の楽しさを教えてくれたヴァーチュオーゾの度重なる悲報に、自分自身もそれなりの年齢なってしまったことを痛感し、いささか消沈気味となてしまていた自分。

とは言いながらも、その時知った、癌と闘いのながら亡くなる直前まで、音楽だけでなく社会活動に積極的に携わり続けていた坂本龍一さん生き方の凄まじさ。

そうと知ったからには、自分もただ消沈している場合ではない。
こうした生き方、今は自分も学ばなければと考えているところ。

坂本さんの音楽、多く人は世界に絶賛されたイエロー・マジック・オーケストラのテクノなサウンドが思い浮かぶのだろうけど、彼のピアノ・サウンドの中には、連綿と受け継がれてきた日本の心を湛えた音があった。感性を

稀有の日本の感性を感性を、表現した音楽家。

けして、私は彼の音楽を聴きこんでいた者ではありませんが、彼の残した音の遺産は、私にとって至高の名品として心に刻まれています。

ありがとうの心を込めて、その冥福を祈ることにしたいと思います。

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思い出のロック・不朽の名作品 Yes:Fragile「こわれもの」 [音源発掘]

ひっちゃかめっちゃかの忙しさが続いた今年の3月。

昨年11月にはこうなることは見えていたのが、年明けにさらに新たな仕事が飛び込み加わって、それをこなすのに日々悪戦苦闘の連続となってしまったのだが。

おかげで、普段は若手に仕事を任せて、その後ろから指導するに徹してる私の方にもその余波がやって来て、自身もあちらこちらへと飛び回なければならなくなってしまったのです。

とは言っても、ものは考えよう。
陽気も良くなって来たことで桜も咲き始め、こうした時期に外に出て花を見ながらそうした空気に身を浸すことが出来るのはこれまたラッキーと、その忙しさも楽しさに変えて過ごしていた次第。


そうした中であったけど今回は、前々回、若き日に聴いたジャズ作品を聴いてそれまでとはまた違った見え方を感じたことから、今度はそれをロック作品でも試してみようと、選び聴いてみたのがこの作品。

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プログレシッブ・ロック黎明期をけん引し、後の時代に多大なる影響を及ぼした英国のプログレシッブ・ロック・バンドのYesが1971年に発表した、彼らの第4作目の作品”Fragile(邦題:こわれもの)”です。

この作品、ギターにSteve Howeが加入しプログレ色を明瞭とした前作、”The Yes Album(邦題:イエス・サード・アルバム)”の続く作品で、さらにそのコンセプトを推し進めるべくキーボードがTony KayeからRick Wakemanに替えた後の、Yesの黄金期を築いた言われるメンバーによって制作された最初の作品。

日本では、それまで注目されることなかったYesだったのですが、この作品によってマスコミも大きく紹介、それにより、その評価を獲得、その存在を定着することになった、ロックの歴史において忘れることの出来ない作品なのです。

私も、当時ラジオ番組でこの作品に初めて耳にしたのですけど、その時は、線の細いヴォーカルとブルース・フィーリング皆無のギター・サウンドが、私の好みと合わず興味を惹かれることなかったものの、DJのすこぶる熱い紹介トークが深く耳に残り、数年してから、たまたま店頭で見かけた輸入盤を思わずゲット。

腰を据えて聴いてみると、澄んだヴォーカルの美しさと、息をつく間を与えないほどのスリリングかつ複雑なインストメンタル・パートに圧倒され、すっかりそのサウンドにのめり込んでしまうことになってしまったものなのです。


そこで、私に大きな衝撃を与えてくれたその楽曲。
今や、Yesのみならずロック史にその名を刻む名曲なってしまった、”Roundabout”をお聴きいただくことに致しましょう。





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新時代のジャズを描き続けたVirtuoso逝く・Wayne Shorterを偲んで [音源発掘]

3月、待ちに待った春到来と思ったら、そこで聴いたジャズのVirtuosoの訃報。

1月に、伝説のロックの巨匠Jeff Beckの訃報に接しばかりなのに、今度は、Beckと同様熱烈ファンではないけれど、Beckと同様、ジャズにおいて次の世代へ大きな遺産を残した、サックス奏者のWayne Shoterがこの世を去ったとの報は、先月の終りに合間を見てShoterの作品を聴き直してみようと考え、それを始めたところでの事だっただけにそのショックは、Beckの時以上。

享年89歳と聞けば天命だと思うのですけど、私としては、その年齢を知っていたことからそれ以上に、彼についてこれまで長きに渡りジャズ界をリードし影響を与えて来たことを知りつつも、そのように言われるようになった彼の音楽の本質を理解出来ずにいたことから、その理解を深めようとしていた矢先、判を押したかのように飛び込んで来たこの出来事。

これには心底堪えてしまいました。

と言うことで今回は、Shoterの歩みをご一緒に聴きながら、共に現代ジャズに及ぼした彼の遺徳を偲ぶことにいしたいと思います。



さて、このWayne Shoter、1950年代に半ばに登場、1959年には早くも名曲”Moanin”でファンキー・ブームを築き絶頂期にあった名門Art Blakey & Jazz Messengersに参加、これまでトランペットとサックスにトロンボーンを加えた3管編成となったMessengersの新しいサウンド創りに大きく寄与し、さらに1965年には、Miles Davisのクインテットのメンバーとなり、Milesが描いた次世代サウンドを開拓するに大きな能力を発揮するなるなど、ビッグ・ネームの下でその才能を大きく羽ばたかせ新時代のジャズを切り開いた巨匠とも言えるアーティスト。

特にMiles Davisに至っては、その才能を欲するあまりに、1963年に、後に60年代における黄金のMiles Davisのクインテットのリズムセクションとなる Herbie Hancock(piano); Ron Carter (bass); Anthony Williams(drums)の3人を手中に収めながらも、1965年のShoter加入まで新たなスタジオ作品の制作発表を控えさしめてしまったほどのアーティストなのです。


こうして、多くの先達よりその有り余る才能を見出され、将来を嘱望されたWayne Shoter、まずはこの辺で、この時期の彼の演奏をお聴きいただきたいと思います。

最初に、Miles Davisクインテット参加直前の1964年8月製作の作品”Ju Ju”より、

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曲は、Shoter作曲の表題曲”JuJu”と

Shoter加入後の1965年、Miles Davisのクインテットの最初のスタジオ制作作品である”E・S・P”より

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同じくShoter作曲の表題曲”E・S・P”です。





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思い出のジャズ・不朽の名作品:Sonny Clark・Cool Struttin,John Coltrane・Blue Train [デジタル化格闘記]

ところによっては、早咲きの桜の開花の報が聞こえて来るなど、春の空気の訪れが感じられるようになった今日この頃、前回取り上げたRoland Hannaの作品を聴いていたら、春の優しく和らいだ空気を浴びたせいか、無性に聴きたくなてしまったのが、若き日によく聴いていたジャズ・ファンの間では知らない人はいないのではと思われる、1950年代にBlue Noteレコードより発表されたこの名作。

その作品は、

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Sonny Clark、1958年制作の”Cool Struttin'” 

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と、
John Coltrane、1957年制作の”Blue Train”。

有名なジャケットなのでジャズを聴かない方でも、見た記憶があるという方もいるのではと思いますけど、そのサウンドも発表から60年余りを過ぎた今も、多くの人に愛され続けている名盤中の大名盤。

ということで、今回はその2作品をご一緒に聴いて行くことにしたいと思います。



さて、この2作品、私が初めて聴いたのは40年ほど前。

中でも冒頭の”Cool Struttin'”は、当時まだジャズよりロックに軸足があった私が、おりしも訪れたフュージョン時代の幕明けに触れてジャズにも目を向けるようになっていたところ、ジャズについて教えを受けていた”50年ジャズ命を”自称する友人より聴かせてもらい、軸足をジャズに移すこととなった思い出の作品。

そこで聴いたのは、ブルーな空気を多分に蓄えほんのりとした物悲しさすら感じさせるメロディと、それとは裏腹の演奏メンバーが発する熱い息吹を湛えたソロの応酬。

難しいことは全く抜きに、直感的にそのサウンド世界にのめり込んでしまった作品なのです。


と、私事の思い出話になってしましたが、蓄えられたジャズの魂が踊るそのサウンド、まずは楽しんでいただくことに致しましょう。


曲は、アルバムのタイトルなっている名曲、Sonny Clark作曲の”Cool Struttin'”です。 



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忘れていたピアノの名手、晩年の名品・Roland Hannna:Milan, Paris, New York [音源発掘]

1月は,Jeff Beckの訃報を知って以来、彼を偲びずっと彼の生涯を辿ってその作品を聴き続けていたのですけど、歳のせいなのかロックばかりを聴き続けているというのは、精神的に少々きつい。
ここ来て、しっとりとした優しさを感じるサウンドがやたら欲しくなってしまい、そこで、聴き始めたのがピアノのジャズ作品。

初めは、思い浮かぶアーティストの作品を手当たり次第に聴いていたのですが、そうした中で思い巡らし,ふと思い当たったのが、昨年末に30年ぶりに腰を据えて聴いたとあるアーティストのピアノ作品。

それは、1970年代の半ば、50年代終りに二つのリーダー作品を発表するも、それ以来70年代に入るまで新たなリーダー作品がなかったためか、半ば忘れられていていたにもかかわらず突如ジャズ雑誌等で大きく紹介され大きな評判を呼んだピアニストの作品。

当時、私も実際にそのアーティストの演奏に接してみるところ、その良さは評判以上。

とは思いながらも、若気の至りといべきか、当時の私は何とも渋く感じたそのサウンドが、好みから外れていたことで深追いすることもなく、さらに、1980年代なるとそのアーティスト自身半ば引退してしまったことから、その後は、その人のピアノも聴くこともなく半ばその名も忘れかけてしまっていたのです
ろころがどういう訳か、ここに来て急にそのアーティストの名を思い出し、聴いてみたところこれが実に良く、そのアーティストの作品を探し出して片っ端からを聴くことになってしまうことになってしまったです。

そうした中で、今回ご紹介する作品は、いろいろ聴て来た中でも特に気に入ったこの作品。

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アメリカのピアニストRoland Hannna による2002年制作の作品、”Milan, Paris, New York”です。

この作品は、2002年11月に亡くなったHannnaの最晩年の作品なのですが、中でも引かれたのが70年代半ばに彼とサックス奏者のFrank Wess率いたNew York Jazz Quartetでそのプレイを支え、その後たびたび共演を重ねながら心に残る名演を生み出して来た盟友、ベーシストGeorge Mrazとの最後の共演作品だということ。

そして、収録曲に目を移してみると、ずらっとジャズ史に残るあの偉大なる名コンボModern Jazz Quartet(MJQ)の楽曲が並んでいる。

特に不朽の名曲”Django”、この名曲にHannnaとMrazの名コンビががどんなアプローチで迫るのか、大いに興味が湧いてきて、この作品! これは聴いてみなければと耳にすることにしたものなのです。

と言うところで、HannnaとMrazが奏でる名曲”Django”。

早速、聴いて頂くことに致しましょう!!!!!





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Goodbye Six Stringed Warrio:追悼 Jeff Beck [音源発掘]

松の内も明け日常への始動を開始したところに、いきなり飛び込んで来たJeff Beckの訃報。

そして、その翌日、追悼の涙も乾かずうちに、またしても飛び込んで来た高橋幸宏逝去の報。


60年代半ばに登場、Eric Clapton、 Jimmy Page世界3大ロック・ギタリストの一人数えられるBeckと、80年代初頭、坂本龍一、細野晴臣らと共に結成、テクノ・ポップ旋風を巻き起こし世界を席巻したYellow Magic Orchestra(YMO)のドラマーとして名を知られる高橋幸宏の訃報は、7,80年代、この二人の音楽に親しんで来た私にとって、それが立て続けであっただけにかなりの衝撃。

哀しみ尽きない二人の死、ただ冥福を祈るばかりなのですが、今回は、私が、音楽に親しみ始めて以来、ロックにおけるバイブル的存在として無意識ながらも敬意を抱き、よりショックが大きかったJeff Beckを偲んでその思い出を語ることにしたいと思います。

Jeff Beckは、世界3大ロック・ギタリストとして多くの人に記憶されているアーティストなのですが、 同じく世界3大ロック・ギタリストと呼ばれるClapton、 Pageと比べてどちらかというと地味でいささか影薄い感じがするように思われるかもしれません。
それは、他の二人に比べ、人々の目を引くコマーシャル性に欠ていたことにその一因があるように思うのですけど、Beckその真髄は、ロック・ギターの革命児であるあのJim Hendrixの憧れのギタリストであったことをはじめ、QueenのギタリストのBrian Mayや同輩でLed ZeppelinのギタリストであるJimmy Pageなど、名だたるロック・ギタリストが称賛して止まないほどの偉大なるアーティスト。

その経歴は、先の世界3大ロック・ギタリストを輩出した1965年、 伝説のバンドThe YardbirdsにEric Claptonの後を受け加入、そこでの活動の後、Rod Stewart や現Rolling StonesのRon Woodを率いJeff Beck Groupを結成、70年代に入ると60年代後半台頭したアート・ロックの尖峰をなしたVanilla Fudgeの中心的メンバーTim BogertとCarmine AppiceとBeck,Bogert,Appice(BBA)を結成してソウル寄りのアプローチに迫るなど、黎明期のロック界に重要な足跡を残しています。

そして続く、1975年にはそれまでのグループによるバンド活動から脱皮、ソロに転じ”Blow by Blow”を発表、さらに1976年にキーボ-ド・ドラム奏者のJan Hammerらとフュージョン・インストメンタル作品とも言える”Wired ”を発表、大きな成功を収めることになります。

こうして、ステージの頂点を極めたBeck、その旅はさらに続き、今度は1989年、Jeff Beck's Guitar Shop”で、とうとうグラミー賞のベスト・ロック・インストルメンタル・パフォーマンス賞を受賞、11年後の2000年には、テクノ・ロックに迫ったの作品”You Had It Coming” 、2003年の作品”Jeff ”で再びグラミー賞のベスト・ロック・インストルメンタル・パフォーマンス賞を受賞するなど、たゆまなくロック・ギターの新しい世界への挑戦を続けて来た革新的アーティストなのです。



さて、こうして、時代ごとに様々な顔を生み出してして行ったJeff Beck。
ここからは、私のお気に入りのBeck作品より、1曲を聴きながら彼の歩んだ軌跡を偲び辿って行こうと思います。






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